「ブログ市長」竹原氏が再選された阿久根(あくね)市長選は行政改革の光明
毎日jp - 阿久根市長選:「ブログ市長」竹原氏が再選(2009年5月31日 21時42分 更新:6月1日 0時39分)
http://mainichi.jp/select/today/news/20090601k0000m010074000c.html
<2度にわたる市長不信任案可決に伴う鹿児島県阿久根市の出直し市長選が31日投開票され、ブログなどで議会や市職員を批判し「ブログ市長」と呼ばれた前市長の竹原信一氏(50)が、反竹原派の市議らが擁立した新人で元国土交通省職員の田中勇一氏(56)を破り、再選を果たした。1日の選管告示で市長に復帰する。2期目も議会攻撃などを続けるとみられ、市の混乱は今後も続きそうだ。
竹原氏は選挙中も「仕事内容に見合わず、市民に比べて給与が高過ぎる」と市職員を批判し、争点化を図った。人件費を削減し給食費を無料化するなどと訴えた。過激な言動には批判もあったが、改革が遅れがちな議会や市職員への不満を幅広く取り込む形になった。
これに対し、田中氏は「ビジョンなき改革は、破壊に過ぎない」と竹原氏の市政運営を批判。混乱が続く市政の正常化を訴えたが、出馬表明が今年4月と出遅れたこともあり、浸透できなかった>。
「ブログ市長」竹原氏が再選されたこの阿久根(あくね)市長選は、<有権者数は1万9876人>という小さい選挙ながら、今後日本全体にわたって進められるべき行政改革の光明となる、素晴らしいニュースではないだろうか。民意によって選ばれたというだけでなく、「ブログ市長」と呼ばれるほどブログを政治に使いこなしているところもいい。竹原氏も<自治体の財政規律やビジネスモデルに意識的な首長が地方から出てきて、支持を集めている>例の1人かもしれない。
<ブログなどで議会や市職員を批判し「ブログ市長」と呼ばれ>、<「仕事内容に見合わず、市民に比べて給与が高過ぎる」と市職員を批判、争点化を図った>竹原氏が、8割以上の高い投票率になった市長選で勝ったということは、まさにそれが民意だということを示している。
<再選を決めた竹原前市長は午後9時半すぎ、事務所で支持者と万歳三唱。記者団に2期目の抱負を聞かれると、笑顔は消え「市長という職が続くだけ。特別な感慨はない。責任者はあくまで市民の皆さん」と、淡々と語った。市職員に対しては「自治労は阿久根から出ていってもらう」と容赦なく攻撃した。
50代の男性市職員は「大変なことになった。やりたい放題の独裁になってしまう。市政に具体的な弊害が出てからしか、有権者は選択の誤りに気づかないだろう」>。
私は竹原氏の具体的な市政内容を知らないので、この50代の男性市職員が言うことも真実を含んでいるかもしれないが、少なくとも「市職員の人件費」が大きな争点になっているところからして、この50代の男性市職員のコスト意識がぬるすぎるという可能性が大きそうに見える。
阿久根市では、市長が議会や市職員を批判しているそうだが、こういうケースでは、「議会」と「市職員」の立場は大きく異なることに注意が必要だ。「議会」つまり市議会議員は、市長と同じく選挙で選ばれているので、「民意」によって選ばれた人たちであり、任期もある。だから「議会」は仮にどんなにバカであっても、市民が選んだ人たちであり、市民が直接クビにできる人たちだ。これに対して「市職員」は選挙で選ばれるわけではなく、いったん採用されれば終身雇用で、クビはないだろう。
この状況で「市職員の人件費」が大きな争点になり、竹原氏が勝ったということは、クビがない市職員の給与が高すぎるので、それを民間レベルに下げるべきだというのが「民意」だということを意味している。この結果に対して、おそらく高すぎる給与をもらっていてクビになることもない50代の男性市職員が、竹原氏の再選をなげくというのは、その働きぶりが仮にどんなに立派であっても、あまり説得力を持たない。市の財政に関しては、市職員よりも一般市民のほうがはるかに危機意識が高いはずで、それが竹原氏を勝たせたのだ。財政立て直しに意識的な大阪府の橋下知事が支持されるのと同じ構図だ。
税金というのは、その使われ方に納得できなくても、支払いを拒否することができない。それは自由意志に基づいた市場取引ではなく、行政サービスの「強制的な押し売り」であって、国・自治体による「合法的な収奪」である。だから、税金から給料を得ている人は全員、その仕事内容だけでなく、その給与レベルに関しても、国民から文句を言われることを受け入れる必要がある。
阿久根市に限らず、税金から給料を得ている人は全員、「仕事内容に見合わず、市民に比べて給与が高過ぎる」という国民からの批判を受け入れる必要があるのだ。日本各地に「ブログ市長」や「ブログ知事」が出てきて、民意を託された政治家が主導する行政改革が進むことを期待したい。「ブログ総理」も出てきてほしいところだ。
関連:
asahi.com - 「ブログ市長」の竹原氏再選 鹿児島・阿久根市長選(2009年5月31日21時43分)
http://www.asahi.com/politics/update/0531/SEB200905310007.html
YOMIURI ONLINE - 「苦労や犠牲覚悟を」竹原市長、就任式で職員に訓示(2009年6月2日)
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news-spe/20090210-154510/news/20090602-OYS1T00245.htm
ウィキペディア - 阿久根市
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF..
関連エントリ:
国民が政治を育てる
http://mojix.org/2009/05/05/kokumin_seiji
政治家と官僚と国民はジャンケンの関係
http://mojix.org/2009/03/14/janken_kankei
http://mainichi.jp/select/today/news/20090601k0000m010074000c.html
<2度にわたる市長不信任案可決に伴う鹿児島県阿久根市の出直し市長選が31日投開票され、ブログなどで議会や市職員を批判し「ブログ市長」と呼ばれた前市長の竹原信一氏(50)が、反竹原派の市議らが擁立した新人で元国土交通省職員の田中勇一氏(56)を破り、再選を果たした。1日の選管告示で市長に復帰する。2期目も議会攻撃などを続けるとみられ、市の混乱は今後も続きそうだ。
竹原氏は選挙中も「仕事内容に見合わず、市民に比べて給与が高過ぎる」と市職員を批判し、争点化を図った。人件費を削減し給食費を無料化するなどと訴えた。過激な言動には批判もあったが、改革が遅れがちな議会や市職員への不満を幅広く取り込む形になった。
これに対し、田中氏は「ビジョンなき改革は、破壊に過ぎない」と竹原氏の市政運営を批判。混乱が続く市政の正常化を訴えたが、出馬表明が今年4月と出遅れたこともあり、浸透できなかった>。
「ブログ市長」竹原氏が再選されたこの阿久根(あくね)市長選は、<有権者数は1万9876人>という小さい選挙ながら、今後日本全体にわたって進められるべき行政改革の光明となる、素晴らしいニュースではないだろうか。民意によって選ばれたというだけでなく、「ブログ市長」と呼ばれるほどブログを政治に使いこなしているところもいい。竹原氏も<自治体の財政規律やビジネスモデルに意識的な首長が地方から出てきて、支持を集めている>例の1人かもしれない。
<ブログなどで議会や市職員を批判し「ブログ市長」と呼ばれ>、<「仕事内容に見合わず、市民に比べて給与が高過ぎる」と市職員を批判、争点化を図った>竹原氏が、8割以上の高い投票率になった市長選で勝ったということは、まさにそれが民意だということを示している。
<再選を決めた竹原前市長は午後9時半すぎ、事務所で支持者と万歳三唱。記者団に2期目の抱負を聞かれると、笑顔は消え「市長という職が続くだけ。特別な感慨はない。責任者はあくまで市民の皆さん」と、淡々と語った。市職員に対しては「自治労は阿久根から出ていってもらう」と容赦なく攻撃した。
50代の男性市職員は「大変なことになった。やりたい放題の独裁になってしまう。市政に具体的な弊害が出てからしか、有権者は選択の誤りに気づかないだろう」>。
私は竹原氏の具体的な市政内容を知らないので、この50代の男性市職員が言うことも真実を含んでいるかもしれないが、少なくとも「市職員の人件費」が大きな争点になっているところからして、この50代の男性市職員のコスト意識がぬるすぎるという可能性が大きそうに見える。
阿久根市では、市長が議会や市職員を批判しているそうだが、こういうケースでは、「議会」と「市職員」の立場は大きく異なることに注意が必要だ。「議会」つまり市議会議員は、市長と同じく選挙で選ばれているので、「民意」によって選ばれた人たちであり、任期もある。だから「議会」は仮にどんなにバカであっても、市民が選んだ人たちであり、市民が直接クビにできる人たちだ。これに対して「市職員」は選挙で選ばれるわけではなく、いったん採用されれば終身雇用で、クビはないだろう。
この状況で「市職員の人件費」が大きな争点になり、竹原氏が勝ったということは、クビがない市職員の給与が高すぎるので、それを民間レベルに下げるべきだというのが「民意」だということを意味している。この結果に対して、おそらく高すぎる給与をもらっていてクビになることもない50代の男性市職員が、竹原氏の再選をなげくというのは、その働きぶりが仮にどんなに立派であっても、あまり説得力を持たない。市の財政に関しては、市職員よりも一般市民のほうがはるかに危機意識が高いはずで、それが竹原氏を勝たせたのだ。財政立て直しに意識的な大阪府の橋下知事が支持されるのと同じ構図だ。
税金というのは、その使われ方に納得できなくても、支払いを拒否することができない。それは自由意志に基づいた市場取引ではなく、行政サービスの「強制的な押し売り」であって、国・自治体による「合法的な収奪」である。だから、税金から給料を得ている人は全員、その仕事内容だけでなく、その給与レベルに関しても、国民から文句を言われることを受け入れる必要がある。
阿久根市に限らず、税金から給料を得ている人は全員、「仕事内容に見合わず、市民に比べて給与が高過ぎる」という国民からの批判を受け入れる必要があるのだ。日本各地に「ブログ市長」や「ブログ知事」が出てきて、民意を託された政治家が主導する行政改革が進むことを期待したい。「ブログ総理」も出てきてほしいところだ。
関連:
asahi.com - 「ブログ市長」の竹原氏再選 鹿児島・阿久根市長選(2009年5月31日21時43分)
http://www.asahi.com/politics/update/0531/SEB200905310007.html
YOMIURI ONLINE - 「苦労や犠牲覚悟を」竹原市長、就任式で職員に訓示(2009年6月2日)
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news-spe/20090210-154510/news/20090602-OYS1T00245.htm
ウィキペディア - 阿久根市
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%98%BF..
関連エントリ:
国民が政治を育てる
http://mojix.org/2009/05/05/kokumin_seiji
政治家と官僚と国民はジャンケンの関係
http://mojix.org/2009/03/14/janken_kankei