2009.06.23
蔵研也「貧困問題のための新しいネットワークをリバタリアニズムはどう構想するか」
蔵研也さんのブログに、蔵さんが『情況』7月号に寄稿した「貧困問題のための新しいネットワークをリバタリアニズムはどう構想するか」が掲載されている。

kurakenyaの日記 - 2009-06-22 『情況』7月号への寄稿
http://d.hatena.ne.jp/kurakenya/20090622

<さて先日小生は『情況』編集部からの依頼を受けて、7月号に向けて、
「リバタリアンの構想するネットワークはどのようなものか」というような短文を書きました。
ご存知の方もいるかもしれませんが、「情況」は基本的に左翼誌なので、
そういうところに「貧困問題」への対処法と言う形で、
説得力のある短文を書くというのは大変困難なものだと痛感しました。
なんというか、そもそも常識と言うものを否定するための論述を展開するには
雑誌の数ページ程度と言う長さは、あまりにも短すぎるのです(苦笑)>。

こう前置きされているが、これがとてもわかりやすく、素晴らしい内容になっている。

蔵さんの書くものはいつもわかりやすいが、この論考は特に、(1)主に左翼的な考えの読者層に対して、(2)数ページでリバタリアンの見方を説明する、という2つの制約があるためか、実にていねいできめ細かく、かつ凝縮された内容になっている。

もともと左翼的な考えを持っている人はもちろん、そうでなくても、リバタリアニズムというものがどういう考え方なのか、主に左翼的なスタンスと比較することで、わかりやすくなっていると思う。

ウヨクでもサヨクでもない」リバタリアニズムという考え方があること自体、日本ではまだほとんど知られていないと言っていい。それをどれくらいの人が支持するかという以前に、まずはリバタリアニズムというものが存在することと、それが大体どういう考え方なのかということ、この2点をもっと知ってもらう必要がある。

今回の蔵さんの論考は、「リバタリアニズムとは何か?」というのを手っ取り早く知るための素材としては、ほとんど理想的なものだという気がする。貧困問題というテーマにフォーカスを絞り、リバタリアニズムのスタンスをわかりやすく説いている。ぜひ読んでみてほしい。


関連:
analog - リバタリアニズムと右翼・保守・左翼・リベラルとの違い
http://hidetox.com/blog/2009/02/14/libertarianism/

関連エントリ:
リバタリアニズムを知るためのリンク集
http://mojix.org/2009/02/26/libertarianism_links
小さな政府、大きな市民社会がつくる「新しい公共」
http://mojix.org/2008/10/27/small_gov_big_civil_society
ノーラン・チャート
http://mojix.org/2008/04/20/nolan_chart