2009.07.01
ポスドク採用で480万円支給 これはもう「税金をいかにムダ使いしつづけるか」というゲームだ
asahi.com - ポスドク採用で480万円支給 文科省、企業の募集開始(2009年6月30日5時41分)
http://www.asahi.com/politics/update/0629/TKY200906290253.html

<大学や研究機関の「ポスドク」と呼ばれる任期付き博士研究者(ポストドクター)を採用した企業に、1人あたり480万円支給――。科学技術振興機構が29日、対象企業の募集を始めた。不安定な立場のポスドクの就職を促すための緊急措置だ>。

<企業側が出したポスドクの研究計画をもとに審査を行い、採用時点で480万円を支給。1年間だけの「使い捨て」にならないように、成果や雇用が継続されているかの確認もする>。

政府の税金ムダ使い事例は枚挙に暇がないが、この「ポスドク採用に補助金」というのは、ほんとうにマンガみたいな話だ。

さんざん税金をかけて育てた博士(ドクター)が、就職できないので、補助金を出すというのだ。その補助金も、もちろん税金だ。

<1年間だけの「使い捨て」にならないように、成果や雇用が継続されているかの確認もする>という。こんな無意味なことに、えんえん税金が投入されていく。カフカも真っ青の不条理さだ。

<文科省によると、ポスドクは06年度で1万6千人。大学や研究機関のポストは限られ、安定した職に就けない博士が増えている。35歳以上が約3割を占め、社会保険の未加入者も全体の4割に上る。
 7割以上が企業への就職を希望するが、日本企業の新規採用は修士までが多く、採用状況は厳しい。企業で働くのは博士全体の2割以下で、米国の半分に満たない>。

<文科省は「採用はまだ少ないが、採用した企業の評価は高い。『食わず嫌い』解消の呼び水にしたい」としている>。

なぜ企業がポスドクを採用しないのか、ちゃんと企業に話を聞いているんだろうか?

「なぜを5回繰り返す」をやって、真の原因を探れば、解雇規制があるからに決まっている。日本はいったん採用したらほぼ解雇できないんだから、ポスドクだろうがなんだろうが、失敗時のリスクが高すぎて採用できない。それだけだ。

解雇規制を撤廃するという「労働ビッグバン」、この構造改革から逃げまわり、こういうバラマキを続けても何も解決しない。これが真の原因であることを、頭のいい役人が知らないはずがない。いつまでも知らんぷりをして、バラマキを続けているのだろう。そして財政はどんどん悪化していく。

政府がやっていることは、「税金をいかにムダ使いしつづけるか」というゲームだと考えると、全部理解できる。悪い医者みたいなもので、問題を根本的に解決してしまうと自分が儲からなくなるから、問題を解決するフリをしつつ、実際は問題を悪化させて、えんえん「治療」や「投与」を繰り返すのだ。

この不条理な「ゲーム」をやめさせるには、国民がそのゲームのからくり、「構造」を理解して、声を上げるしかない。これは「悪い医者」だ、と気づく必要があるのだ。


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