2009.08.06
渡辺喜美元行革相の新党は「みんなの党」に 山内康一氏、浅尾慶一郎氏ら参加
産経ニュース - 【09衆院選】渡辺喜美氏が「みんなの党」結成へ 江田氏らが参加(2009.8.4 23:30)
http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090804/elc0908042330016-n1.htm

<自民党を1月に離党した渡辺喜美元行政改革担当相(無所属)が、新党を結成する方向で最終調整に入ったことが4日、分かった。党名は「みんなの党」に内定。今週末に政党の届け出をし、新党結成を発表する見通し。渡辺氏は天下り禁止や行政の無駄遣い撲滅などの「霞が関改革断行」をマニフェスト(政権公約)の柱に据え、政界再編を見据えて非自民、非民主勢力の結集を目指す方針だという。
 関係者によると、新党には、政治集団「日本の夜明け」で行動を共にしてきた無所属の江田憲司(神奈川8区)、自民党に離党届を提出した山内康一(同9区)、自民党を離党した広津素子(比例九州)-の各前衆院議員、民主党を除名された浅尾慶一郎参院議員(神奈川選挙区)の計4人が参加する見通し。ほかにも参加を模索する前議員もいるとみられている。
 渡辺氏は、自らが出馬する栃木3区に、自民党が森山真弓元官房長官を擁立したことを受け、県内の選挙区に「逆刺客」を送ることを検討。4日には山内氏の関係者が栃木県選挙管理委員会の事前説明会に出席し、栃木1区関係の書類を受け取った>。

渡辺喜美江田憲司の両氏が始めた政治運動「国民運動体 日本の夜明け」を母体にした新党がついに結成される。

名称は「みんなの党」。これはわりと不評のようだが、個人的には見事なネーミングだと思う。新党はとにかく注目され、話題を集めることが重要なので、このユーモラスな名前が「つかみ」になるだけでも大きい。これまでの新党は「日本」とか「新」とかがつくありきたりの名前が多かったが、政党名に「ひらがな」は斬新だと思う。

渡辺喜美元行革相は、「行革(行政改革、霞が関改革、公務員改革)」に命を懸けている政治家だと言えるだろう。行革が停滞した自民党をいち早く離党しており(2009年1月)、信念に行動力が伴っている。その渡辺氏が立ち上げる新党に、当ブログでもっとも登場回数の多い政治家、山内康一氏が加わるとのこと(記事中には「見通し」とあるので、正式発表はまだのようだが)。行革路線では一致しているし、全体的な政策の方向性も近いと思われるので、個人的にも賛同できる動きだ。というよりも、私は内心、渡辺元行革相が新党を作り、そこに山内氏が加わることを半ば予想し、かつ希望していたのだ(「政党は必要なのか?」や「「小さな政府」、構造改革、経済成長路線の新党を待望する」などをあらためて読んでもらえれば、そのことをおそらく理解してもらえると思う)。

さらに民主党の「次の防衛相」だった浅尾慶一郎参院議員(7月末に民主党離党)も加わるとのことで、これは「みんなの党」にとって大きいポイントになるのではないか。浅尾氏について私はそれほど詳しくないが、かなり有能な政治家であるという印象で、TwitterTumblrなども使いこなしており、感性が若い(氏のサイトの下部にリンクがある)。これだけ有利な状況にある民主党をあえて離れたこと、それも「次の防衛相」というポストを手放したということで、信念に行動力がともなっていることも証明済みだ。山内氏同様、「みんなの党」にピッタリの政治家だと思う。

7月18日の「渡辺元行革相:新党結成、「自民の壊れ方見極めてから」/栃木」(毎日jp)という記事で、渡辺元行革相は新党への参加者数について、「現職、新人、元職で2ケタはいる」と話している。この時点で2ケタいるということは、今後は数十人くらいの規模になってもおかしくない。党の規模は小さくても、人選にブレがなく、党の政策を明確に打ち出すことができれば、一定の支持を集めるはずだ。

渡辺元行革相はまさに「行革」の代名詞のような人だから、「みんなの党」=「行革」というイメージを強く打ち出してくるだろうし、そうすべきだと思う。2005年の「郵政選挙」のように、「行革」や「霞が関改革」が選挙の主要な争点、「シングルイシュー」として浮上してくれば、「みんなの党」への期待は高まっていくだろう。

少なくとも私は、いまの民主党には「行革」「霞が関改革」を断行することはできない、と考えている(その主な理由は、民主党の支持母体と、規制強化好きの体質)。「行革」「霞が関改革」を断行するには、小泉元首相くらいの信念の強さや勇気が必要であり、いまの自民党や民主党のように腰が引けていて、しがらみだらけで方向感のない政党には、「行革」などできるはずがない。その点、渡辺元行革相はどこか小泉元首相にも重なる「信念の人」で、自民党を飛び出す勇気や行動力も証明済みだ。その人が作る新党に、山内氏や浅尾氏のような勇気ある政治家が合流していくわけだから、これは「行革」のために生まれたような政党になるはずだ。民主党と「みんなの党」のどちらが「行革」を断行できるかといえば、当然「みんなの党」だろう。

「行革」という方向では、自民党の中川秀直氏ら「上げ潮派」や、小泉元首相などの路線とも一致しているし、民主党の一部にも共感する政治家は少なくないはずだ。2005年の「郵政選挙」での小泉自民党の圧勝が、国民レベルでも「行革」や「構造改革」への期待が大きいことを既に証明しており、その期待は2009年の現在でもまだ根強いはずだ。しかし、いまの自民党も民主党もバラマキばかりで「行革」や「構造改革」を放棄しているように見えるので、その「ポジション」はガラ空きだと思える。「みんなの党」がこのポジションに収まり、存在感が増してくれば、政界再編はありえると思う。

山内氏が先日書いていた「ベンチャー政党」というエントリは、あらためて読んでみると、「みんなの党」を想定して書かれていたのかもしれない、と思う。

<ベンチャー政党には、いわば「政策起業家」が必要です。
シンクタンク、NPO、大学教授、企業人、脱藩官僚など、
いろんな人の知恵を借りながら、霞が関とは異なる視点で、
新しい政策、新しい仕組みを提案していく必要があります>。

<いわば「政策の生産プロセス」から新しい方式を採用し、
政策コミュニケーションのやり方も、
まったく新しいものをつくっていかなくてはいけません>。

「みんなの党」がこのような政党になるのだとすれば、これは日本の政治そのものを変えていき、まさに「国民運動体」のようなものになる可能性すらあると思う。浅尾氏が加わっているところからしても、TwitterやTumblrなどで政策や意見、アイディアを集める、といったネット活用も当然やるだろう。「みんなの党」は、日本の政治をもっと面白く、身近なものにしてくれるかもしれない。


関連:
国民運動体 日本の夜明け
http://www.kokumin.net/
産経ニュース - 【09衆院選】渡辺喜美氏が「みんなの党」結成へ 江田氏らが参加
http://sankei.jp.msn.com/politics/election/090804/elc0908042330016-n1.htm
asahi.com - 渡辺元行革相の新党名は「みんなの党」
http://www.asahi.com/politics/update/0805/TKY200908040418.html
アナルコ・キャピタリズム研究(仮)ブログ - 山内康一さん、渡辺新党で栃木1区から出馬か
http://anacap.jugem.jp/?eid=321

関連エントリ:
山内康一氏が自民党を離党 構造改革路線、「小さな政府」路線の正統な継承者
http://mojix.org/2009/07/24/yamauchi_ritou
政党は必要なのか?
http://mojix.org/2009/01/14/seitou_hitsuyou