2009.12.30
クラシックという音楽ジャンルの強みは、「設計」の良さが保証されていること
クラシックという音楽ジャンルがいい点のひとつは、「ハズレ」の作品にあたることが少ないことだ。

私がこれまでに買ったクラシックCDはおそらく数百枚くらいで、クラシック以外のCDはその10倍くらい買っていると思うが、クラシックCDで「これはクソだ」と思わされたことはほとんどない気がする。

大半のクラシックCDは、まさに「クラシック」である大作曲家の定番曲を演奏しているので、少なくとも曲自体はいい。もちろん好みはあるにしても、曲自体の完成度が保証されているわけだ。

ソフトウェアふうに言うと、「楽譜という設計」と「演奏という実装」が分離していて、そのうち「楽譜という設計」の部分の完成度が保証されている。だからこそ「クラシック」なわけだ。

そして特にオペラの場合は、1人の作曲家について多くても10作品くらいしかないようで、演奏する側も通しで全曲演奏するとなると、とんでもなく大がかりなものになる(時間も長いうえに、オペラ歌手も含む大編成になる)。オペラというのは、作曲家にとっても、演奏家にとっても、敷居が高いわけだ。よって、オペラはクラシックの中でも特に「選び抜かれている」感じがする。

私がいまのところ最も聴いているオペラであるビゼーの『カルメン』でいえば、私が買った5~6枚くらいのCDのうち、以下の4枚はいずれも「大当たり」と言えるレベルに達している。



左上:
『STOKOWSKI MAESTRO CELEBRE』(ストコフスキー10枚組CD)内「French Masters」
ストコフスキー指揮、フィラデルフィア管弦楽団(1945)

右上:
『FERENC FRICSAY - CARMEN』
フリッチャイ指揮、RIAS-Kammerchor、RSO Berlin(1951)

左下:
『ビゼー:カルメン&アルルの女/チャイコフスキー:くるみ割り人形』
シャルル・ミュンシュ指揮、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団(1967)

右下:
『BIZET CARMEN - Lorin Maazel』(RCA Classics/BMG)
ロリン・マゼール指揮、ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団&合唱団 (1970)

(マゼールのものだけ全曲、他の3枚は抜粋。どれか1枚買うならミュンシュのやつが1000円で、内容も手ごろでオススメ)

これらのCDは、もちろん適当に買ったわけではないが、それほど事前に名盤などを調べて買ったというほどでもない。レコード屋の店頭で見て、指揮者や年代、ジャケットの情報や雰囲気などから、たぶん私の好みだろうと思って選んでいる、という程度なのだ。

その程度の選び方でも、これほどいい作品にガンガン当たってしまう、というそのヒット率の高さには驚かされる。それは私の直感が鋭いというのもあるが(笑)、たぶんクラシックという音楽ジャンルの水準が高く、「当たり」が多いのだと思う。さらに、いま私はクラシックやオペラに前のめりなので、点が甘いのもあるかもしれない。

そのうえ、クラシックのCDは安い。新品でも1000円くらいのものがざらにある。ヒット率が高いうえに値段は安いのだから、いったんクラシックにハマってしまうと、買わずにはいられないのだ。


関連エントリ:
カッコいいオペラの序曲
http://mojix.org/2009/12/28/opera_overtures
楽譜は設計、演奏は実装
http://mojix.org/2008/04/02/score-and-performance