2010.01.17
「理系」「文系」の区分は日本だけ 「人文科学」「社会科学」「自然科学」の違い
読書猿Classic - サルでも分かる人文科学/社会科学/自然科学の見分け方(分割図つき)
http://readingmonkey.blog45.fc2.com/blog-entry-199.html

これは素晴らしいエントリ。「人文科学」「社会科学」「自然科学」の違いがあやふやだと感じている人は必読。



茶・青・赤の3色で示されている3種類の「線引き」は次の通り。

(1)理系/文系の区分……茶色の実線
(2)humanities と the science (あるいはartsとsciences)という区分……青色の二重線
(3)本質主義(essentialism)と構成主義(constructivism)の区分……赤い点線

<ぶっちゃけて言えば、理系/文系の区分は「日本だけ」である>。

<humanities(ヒューマニティ)とscience(サイエンス)が「文系/理系」の訳語とされることがあるけれど、分割図のとおり、まるで違う>。

この3つの区分をいっぺんに見るとやや複雑なので、ひとまず(1)の「理系」「文系」の区分(茶色)と、(2)の「ヒューマニティ」「サイエンス」の区分(青色)の2つに注目するといいと思う。上のエントリの主眼も、(1)と(2)の違いに重点がある。

「理系」「文系」という日本的な区分にしたがうと、人文科学と社会科学が同じグループに入るので、社会科学の「サイエンス」性がやや見えにくくなる。かつての私がまさにこれだった。私は理系で、かつ人文科学には興味があったのだが、社会科学にまるで興味がなかったので、社会科学が「サイエンス」だという見方に欠けていた。さらに理系の場合、スッキリ決着がつかない社会科学に対しては「こんなのは科学とは言えないよ」という気持ちがあり、「サイエンス」としては一段下に見がちなところもあると思う(この「スッキリ決着がつかない」部分が「構成主義」につながる)。

この「社会科学の軽視」については、<「社会科学」を科学扱いして来なかった発展途上国developing countryとしての事情があるので、その人個人だけを責めるのも酷である>と書かれており、かつての私のような「個人の無知」だけに帰せられる問題ではなく、日本の教育や社会に根ざした「構造」問題のようだ。このテーマについては「『日本の社会科学を批判する―OECD調査団報告』(講談社学術文庫) 」という昨年10月のエントリで書かれており、上のエントリはこれの続編ともいえる内容になっている。


関連エントリ:
ITは「理系」なのか?
http://mojix.org/2008/12/27/it_rikei
リベラル・アーツは 「自由人の技術」
http://mojix.org/2008/06/01/liberal_arts