2010.07.12
参院選は民主党敗北、自民党復調、みんなの党躍進
時事ドットコム - 与党過半数割れ=民主敗北、消費税響く-自民復調、改選第1党・参院選(2010/07/12-01:58)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010071100256&j1

<民主党政権発足後、初の全国規模の国政選挙となった第22回参院選は11日投票が行われ、即日開票された。民主党は40議席台にとどまり、獲得議席で自民党を下回るのは確実な情勢。国民新党と合わせて与党は56議席に達せず、非改選を含め過半数の122議席を割り込んだ。菅直人首相が消費税増税に意欲を示したことが響いたとみられ、責任論が浮上するのは必至だ。これに対し、自民党は選挙区で大幅に議席を伸ばし、50に達する勢いだ。初めて候補者を擁立したみんなの党は10議席程度に躍進し、公明党は改選11議席の維持は困難だ。共産、社民両党は今回も選挙区で議席を得られなかった>。

11日の参院選は、ひとことで言うと「民主党敗北、自民党復調、みんなの党躍進」という結果になった。獲得議席で自民党を下回った民主党は、大敗北と言えるだろう。

与党が参院過半数を割り込むことになったのを受けて、菅首相は政策ごとに各党と連携する意向を発表。

asahi.com - 各党と政策ごとの連携を模索 菅首相、会見で意向(2010年7月12日1時12分)
http://www2.asahi.com/senkyo2010/news/TKY201007110437.html

<民主党は衆議院で多数を占める半面、参議院では連立与党で過半数割れの「ねじれ」状態となる。今後は困難な国会運営が予想されるが、「まず政策的な協議を行い、できるだけ合意形成を図ることで進めていく。一足飛びに連立という発想ではなく、やれるところから政策的に共同作業を進めていく」と述べ、各党と政策ごとに連携を模索していく意向を示した>。

躍進が予想されていたみんなの党は、ほぼ事前の予想通り10議席を獲得。渡辺喜美代表も大満足の結果だ。

毎日jp - 参院選:渡辺代表、フィーバー みんなの党
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100712k0000m040177000c.html


当確した候補者の名前に花を付け、笑顔を見せるみんなの党の渡辺喜美代表=東京都千代田区で2010年7月12日午前0時17分、森田剛史撮影

<改選議席ゼロから躍進したみんなの党。渡辺喜美代表は、東京都千代田区のホテルに設けられた開票センターで記者会見し、「ぶれないみんなの党が見直された結果だと思う」と胸を張った。
 江田憲司幹事長、川田龍平参院議員らとひな壇に座った渡辺代表は、ホテルの従業員に冷たいおしぼりを持ってきてもらい、額に押し当てた。党の勢いに興奮して体がほてるのか、その後も度々おしぼりを使った。報道陣が当選者数について水を向けると「できればPK戦で、もう1、2議席」とおどけた>。


おしぼりを額に当てる渡辺喜美・みんなの党代表=東京都千代田区で2010年7月11日午後8時31分、森田剛史撮影

asahi.com - 「驚嘆すべき数字ですっ」みんなの党・渡辺代表が自賛(2010年7月12日2時2分)
http://www2.asahi.com/senkyo2010/news/TKY201007110375.html

<「改選議席がゼロですから大躍進。大変驚嘆すべき数字ですっ」
 東京都千代田区のホテルに設けられた、みんなの党の開票センター。渡辺喜美代表は、議席の伸びをこう自賛した。出口調査などの結果から報道各社は10議席前後を予想し、その通り2けたに乗せる展開に。渡辺代表の顔には、自然に笑みがこぼれた>。

みんなの党は、東京選挙区でタリーズ元社長の松田公太氏が当選、神奈川選挙区で元外資証券マンの中西健治氏が当選するなど、都市部の無党派層から支持が強いことをあらためてうかがわせた。

asahi.com - タリーズ元社長の松田氏当選 「コウタ」コールわく(2010年7月12日1時14分)
http://www2.asahi.com/senkyo2010/news/TKY201007060483.html


当選を決め、笑顔を見せる松田公太氏=11日午後11時46分、東京都港区、戸村登撮影

<東京選挙区(改選数5)のみんな新顔の松田公太氏(41)の事務所では、当選確実が伝えられると「コウタ、コウタ」というコールがわき起こった。松田氏は「景気を回復させたい。規制緩和や法人税率の引き下げなどを実施し、日本企業が国際的に戦えるようにしたい」と話した。
 今回の選挙では、タリーズコーヒージャパンを創業し、一大チェーンに育てた経歴を前面に打ち出した。街頭演説では「消費増税は景気に壊滅的な打撃を与える」と民主政権との対立軸を明示。若者の政治参加も訴え、渋谷など繁華街での演説を重視して支持を広げた>。

asahi.com - 元外資証券マン・中西氏、みんなの党から初当選(2010年7月12日1時54分)
http://www2.asahi.com/senkyo2010/news/TKY201007110501.html

<神奈川選挙区(改選数3)でも、みんな新顔の中西健治氏(46)が初当選した。中西氏は「経済の成長を訴えてきたことがみなさんの心に響いたのでは」と話した。
 中西氏は外資系証券会社に21年間勤務し、日本法人の副社長も務めた。昨夏の横浜市長選では自民の支援を受けて無所属で挑んだが、約3万5千票差で敗れた。
 今回の参院選では、消費増税反対など掲げている政策が近く、大学以来の友人でもある浅尾慶一郎衆院議員が所属するみんなを選んだ。「特別な支援組織も何もない。街頭がすべて」と昨年12月から駅頭に立って支持を広げた>。

連立与党の国民新党は、議席獲得ゼロだった。

asahi.com - 国民新党、議席獲得ゼロ(2010年7月12日1時18分)
http://www2.asahi.com/senkyo2010/news/TKY201007110478.html

<連立与党の国民新党(亀井静香代表)は参院選で議席を獲得出来なかった。全国郵便局長会(全特)の支援を受け、比例区で立候補していた郵政族の長谷川憲正氏も落選し、郵政改革法案の行方にも影響する可能性がある>。

これによって、郵政改革法案の成立は微妙な情勢になった。

毎日jp - 参院選:国民新党、改選数割る 郵政改革法案、成立微妙に
http://mainichi.jp/select/seiji/10saninsen/flash/news/20100712k0000m010195000c.html

<国民新党は改選数3を割り込み、危機感を強めている。民主党との連立は維持する方針だが、与党の過半数割れで、民主党が独自にみんなの党や公明党などを相手に連立組み替えに動くことを懸念。国民新党が最優先で取り組んできた郵政改革法案の成立が微妙な情勢となったことにも警戒感を強めている>。

獲得議席で民主党を超えた自民党は、谷垣総裁が最近お得意の「いちばん」ポーズを連発。

asahi.com - 谷垣総裁は満面の笑み 「1番ポーズ」党役員全員で(2010年7月12日2時14分)
http://www2.asahi.com/senkyo2010/news/TKY201007110382.html


得意のポーズで笑顔を見せる自民党の谷垣禎一総裁(中央)。左は田野瀬良太郎総務会長、右は大島理森幹事長=11日午後10時57分、東京都千代田区、筋野健太撮影

<東京・永田町の自民党本部4階に設けられた開票センター。午後9時54分に姿を見せた谷垣禎一総裁は、大島理森幹事長や石破茂政調会長と両手でがっちり握手をした。
 新たに当選確実の一報が出た候補者の名前への花付けでは、谷垣総裁が選挙中繰り返してきた人さし指を立てる「1番ポーズ」で笑顔。谷垣総裁ら9人の党役員らが当選確実の候補者の名前をはさんで立ち、全員で「1番ポーズ」をとる一幕もあった>。

もともと消費税10%を言い出したのは自民党で、菅首相の消費税発言は、その自民党案にそのまま乗るという「抱きつき戦略」だった。ところが、これが民主党にとって手痛い一手になり、この「敵失」によって自民党が勝利したわけだ。話を消費税論議に絞れば、これは実に不思議な結果で、つじつまが合わない。つまり実際のところは、この結果は消費税論議に対する国民の審判というよりも、民主党政権そのものに対する国民の「ノー」の声が、自民党支持に流れたと見るべきだろう。

つまり、昨年の総選挙では、自民党政治に対する「ノー」が民主党への政権交代をもたらしたのと同様に、いまの民主党政権への「ノー」が、今回の参院選では自民党に勝利をもたらしたのだ。しかし、自民党は総選挙での敗北以降、まったく進化していないどころか、政権を失って存在意義を失い、むしろ混迷を深めているのが実情だろう。民主党の敵失による今回の「ヘタな勝利」は、むしろ自民党の「解党的出直し」を遅らせてしまうのではないか。谷垣総裁は「いちばん」ポーズを連発している場合ではなさそうに思う。


関連エントリ:
消費税を上げて法人税を下げ、再配分は所得税で調整すべし
http://mojix.org/2010/07/02/zeisei
郵政法案先送りか 国民新党は連立離脱へ?
http://mojix.org/2010/06/11/yuusei_sakiokuri
民主党の非小沢系、みんなの党、自民党の改革派が「行政改革」で結集するのが日本政治のベストシナリオだ
http://mojix.org/2010/05/13/gyoukaku_scenario