2010.11.23
自転車の事故が増えたのはなぜか マナーで解決する問題ではない
asahi.com - マナー守られぬ自転車 歩行者と事故、10年で3.7倍(2010年11月22日7時1分)
http://www.asahi.com/national/update/1121/TKY201011210418.html


車道を鉄さくで仕切り自転車専用道を確保した国道14号=東京都江東区亀戸6丁目、竹谷俊之撮影

<歩行者を巻き込む自転車の事故が絶えない。昨年は全国で2934件。10年間で約3.7倍に増えた。自転車は幅広い年齢層が愛用するが、マナーが守られているとは言い難い。「エコブーム」で自転車人気はさらに広がるが、万一に備えた保険の加入率は上がらず、専用レーンなどの整備も進んでいない>。

<警察庁によると、自転車と歩行者の事故は1999年は801件だったが、翌年に1827件に急増。最近は2千件台の後半で推移している。
 交通事故全体は減る傾向だが、自転車事故は2009年に15万6373件(21.2%)あり、全体に占める割合は増えている>。

自転車事故が増えてきた、という記事。

マナーが悪い自転車乗りがいるのはその通りなのだろう。しかし、マナーが悪い人が増えてきたというよりは、通勤・通学に自転車を使う人の数そのものが、おそらく「10年間で約3.7倍」以上のペースで増えているのだと思う。

自転車に乗る人の数そのものが増えていれば、それに占める事故の発生率や、マナーの悪い利用者の割合が一定だとしても、事故の発生件数自体も当然増える。つまりこれは、マナーが悪くなってきたことが問題というよりも、自転車に乗る人そのものが増えてきたので、それにどう対処すべきかというのが問題の本質ではないだろうか。要するに、自転車に対する「社会的要請」が高まっているのだ。

だとすれば、単に自転車の利用者にマナーを呼びかけても、改善には限界がある。記事にもあるように、自転車専用のレーンを増やすなど、「構造」的な解決が必要だろう。道路は公共物なのだから、自転車に対する「社会的要請」が高まっているのなら、「制度」の上でそれに対応する必要があるのではないか。

いまの道路事情で「自転車は車道が原則、歩道は例外」といくら呼びかけても、危なくて車道は走れないという場所が少なくないだろう。「車道」と「歩道」しかなければ、自転車はどちらかを走るしかない。「自転車道」を作るというのが、フェアな解決方法ではないだろうか。全部の道路はもちろん無理でも、一定の割合で「自転車道」があれば、それだけでも状況はだいぶ改善するように思う。

現状の制度に問題があり、それが何らかの「社会的要請」と矛盾をきたしている場合、当事者のマナーに訴えるという「精神論」では限界があり、「制度論」を考える必要がある。この自転車問題だけでなく、住宅の「追い出し屋」問題や、大学生の就職内定問題など、日本にはこの種の話がいくらでもある。


関連エントリ:
大学生の就職内定率は「景気の指数」であり、かつ大学生が増えつづけている限り下がるしかない
http://mojix.org/2010/03/15/daigaku_baramaki
「精神論」より「制度論」を
http://mojix.org/2009/07/19/seishinron_seidoron
「追い出し屋」が出てくるのは、そもそも家賃滞納という「食い逃げ」を許しているからだ
http://mojix.org/2009/05/13/oidashiya_kisei