2010.12.06
経済の本質は「お金」でなく「物々交換」で考えたほうがわかりやすい
経済の本質は、「お金」でなく「物々交換」で考えたほうが、むしろわかりやすいと思う。

経済活動とはつまるところ「価値の生産」であり、「お金」というのはその交換を媒介したり、保存するためのものに過ぎない。

その人が「経済活動」をしているかどうか、「価値の生産」をしているかどうかは、他の人が欲しがるようなモノやサービスを、その人が生み出しているかどうかでわかる。

人間が生きていくには、衣食住をはじめ、さまざまなものが必要だ。普通、これをすべて自前で調達することはできないので、他の人から調達することになる。よって、恵んでもらったり、強奪するのでなければ、すべてのものを「交換」によって調達するしかない。これが「物々交換」であり、これは通常、互いに納得のうえで、だいたい価値が等しいと思われるものを出し合うというものだろう。

「タダメシ(フリーランチ)はない」という経済の鉄則は、もっとも原始的な経済とも言えるこの「物々交換」において、すでにあらわれている。自分は何も与えずに、相手から一方的に何かを得る、ということはできない。経済では、「与えること(ギブ)」と「得ること(テイク)」はつねにセットなのである。

自分では「仕事」をしていて、「価値の生産」をしているつもりでも、その成果が誰も欲しがらないようなものであれば、それを何かと交換することはできない。これは「物々交換」という原始的な経済であっても、「お金」によって媒介される、より進んだ経済であっても、変わらない本質である。「他人が欲しがるもの」を生み出さなければ、「自分が欲しいもの」を得ることはできない。


関連エントリ:
市場とは「自分の欲しいものにしかカネを出さない人の集まり」である
http://mojix.org/2009/11/25/what_is_market
「必要とされている仕事」と「必要とされていない仕事」
http://mojix.org/2009/11/21/hitsuyou_sigoto