デザインには終わりがない
先日、当サイトをレスポンシブWebデザインにした旨を書いた。それ以降も、CSSとHTMLの調整をちょこちょこやっている。これまでの当サイトは、CSSもHTMLもすごいテキトーで、ずさんなシロモノだったので、これをちょっとずつ直している。
例えば、全ページでいちばん下にある、「このサイトについて」「アーカイブ」「タグ一覧」というフッターの部分。ここは以前、文字の「|」で3つの要素を区切っていた。これをやめて、ulタグとliタグでマークアップして、区切りはCSSのborder属性で出すようにした。
表示の上では同じように見えるとしても、文字の「|」を使う、といった方法は筋が良くない。実現したいのは、要素を「|」で区切るという表示上の効果なのだから、「|」は文字ではなく、CSSのborderのほうがベターなのだ。そして、同じようなものが3つ並んでいるのだから、ulとliでマークアップしたほうがベターだ。CSSで「display:inline」と指定すれば、リストの要素を横に並べることができる。
こういうことができるのも、最近のCSSが強力になってきているからだ。むかしはワクをつけるためにtableタグを入れ子にするとか、一定の表示効果を得るために、たくさんのHTMLを書く必要があった。その後、CSSでボーダー指定ができるようになり、tableタグの入れ子みたいな、汚いHTMLを書かなくてもよくなった。CSSが強力になればなるほど、HTMLはきれいになるわけだ。
それにしても、この手の調整をやっていると、わりとおもしろいし、ちょっとした達成感もある。しかしいっぽうで、時間が無限に吸い取られていくような感じもする。
この「時間が無限に吸い取られていくような感じ」は、ウェブデザインに限らず、広く「デザイン」に共通しているものではないだろうか。
私の仕事はシステム開発なので、仕事ではデザインをしていない。しかしシステム開発でも、システムの設計を改善する「リファクタリング」というのが、わりとデザインに近いところがある。
情報システムの場合、一定の仕様を満たせば、内部の設計までは問われないことが多い。しかし、内部の設計がどうなっているかによって、開発の効率や、システムの柔軟性などに大きな差が出てくる。だから、設計を改善するリファクタリングというのは、仕様として表にあらわれないとしても、きわめて重要である。
しかし、リファクタリングには「終わりがない」のだ。どこまで設計を改善しても、「いい設計」を追求する、ということには終わりがない。リファクタリングはやったほうがいいのだが、そればかりやっていると、「時間が無限に吸い取られていくような感じ」がするのだ。よって現実的には、そればかりやっているわけにもいかない。
デザインというものが、「時間が無限に吸い取られていく」ものだとすれば、これを仕事にしている人は、たいへんである。そのうえ、デザインを仕事で請ける場合、お客さんとの意思疎通もむずかしい(関連:「デザイナーはたいへんだ」「デザイナーはやっぱりたいへんだ」)。自分1人でやっていてもデザインには終わりがないのに、さらにお客さんとの意思疎通もあるのだから、二重の苦しみである。
文章を書くというのも、一種のデザインだろう。文章を手直ししていく「推敲」というのは、まさにリファクタリングであり、設計の改善である。よって、文章を手直しする、ということにも終わりがない。
関連エントリ:
レスポンシブWebデザイン、CSS3の「メディアクエリ(Media Queries)」
http://mojix.org/2013/04/07/responsive-web-design
デザインパターンよりも、まずリファクタリングを学んだほうがいい
http://mojix.org/2013/02/10/design-pattern-refactoring
デザイナーはたいへんだ
http://mojix.org/2013/02/04/designer-taihen
例えば、全ページでいちばん下にある、「このサイトについて」「アーカイブ」「タグ一覧」というフッターの部分。ここは以前、文字の「|」で3つの要素を区切っていた。これをやめて、ulタグとliタグでマークアップして、区切りはCSSのborder属性で出すようにした。
表示の上では同じように見えるとしても、文字の「|」を使う、といった方法は筋が良くない。実現したいのは、要素を「|」で区切るという表示上の効果なのだから、「|」は文字ではなく、CSSのborderのほうがベターなのだ。そして、同じようなものが3つ並んでいるのだから、ulとliでマークアップしたほうがベターだ。CSSで「display:inline」と指定すれば、リストの要素を横に並べることができる。
こういうことができるのも、最近のCSSが強力になってきているからだ。むかしはワクをつけるためにtableタグを入れ子にするとか、一定の表示効果を得るために、たくさんのHTMLを書く必要があった。その後、CSSでボーダー指定ができるようになり、tableタグの入れ子みたいな、汚いHTMLを書かなくてもよくなった。CSSが強力になればなるほど、HTMLはきれいになるわけだ。
それにしても、この手の調整をやっていると、わりとおもしろいし、ちょっとした達成感もある。しかしいっぽうで、時間が無限に吸い取られていくような感じもする。
この「時間が無限に吸い取られていくような感じ」は、ウェブデザインに限らず、広く「デザイン」に共通しているものではないだろうか。
私の仕事はシステム開発なので、仕事ではデザインをしていない。しかしシステム開発でも、システムの設計を改善する「リファクタリング」というのが、わりとデザインに近いところがある。
情報システムの場合、一定の仕様を満たせば、内部の設計までは問われないことが多い。しかし、内部の設計がどうなっているかによって、開発の効率や、システムの柔軟性などに大きな差が出てくる。だから、設計を改善するリファクタリングというのは、仕様として表にあらわれないとしても、きわめて重要である。
しかし、リファクタリングには「終わりがない」のだ。どこまで設計を改善しても、「いい設計」を追求する、ということには終わりがない。リファクタリングはやったほうがいいのだが、そればかりやっていると、「時間が無限に吸い取られていくような感じ」がするのだ。よって現実的には、そればかりやっているわけにもいかない。
デザインというものが、「時間が無限に吸い取られていく」ものだとすれば、これを仕事にしている人は、たいへんである。そのうえ、デザインを仕事で請ける場合、お客さんとの意思疎通もむずかしい(関連:「デザイナーはたいへんだ」「デザイナーはやっぱりたいへんだ」)。自分1人でやっていてもデザインには終わりがないのに、さらにお客さんとの意思疎通もあるのだから、二重の苦しみである。
文章を書くというのも、一種のデザインだろう。文章を手直ししていく「推敲」というのは、まさにリファクタリングであり、設計の改善である。よって、文章を手直しする、ということにも終わりがない。
関連エントリ:
レスポンシブWebデザイン、CSS3の「メディアクエリ(Media Queries)」
http://mojix.org/2013/04/07/responsive-web-design
デザインパターンよりも、まずリファクタリングを学んだほうがいい
http://mojix.org/2013/02/10/design-pattern-refactoring
デザイナーはたいへんだ
http://mojix.org/2013/02/04/designer-taihen