2013.05.21
未来の建築設計は、システム開発に近いものになるのでは
未来の建築設計は、いまのシステム開発に近いものになっていくのではないだろうか。

未来の建築設計では、設計の成果物は図面や模型ではなく、おそらくデータとプログラムになる。いまのCADデータがさらに精緻化したようなものだ。

いっぽう、施主が求める仕様や、守るべき建築法規などのほうは、受け入れテストのかたちで表現される。設計の成果物であるデータとプログラムが、この仕様や法規を満たしているかどうか、ソフトウェア的に自動チェックできるわけだ。

部材や設備などの価格もだいたい決まっているので、完成までにかかる費用も自動的に出てくるだろう。

いっぽう、設計の成果物はデータとプログラムになるとしても、クライアントの要望を具体化していく過程では、やはり従来的な「デザイン」も必要だろう。その意味では、未来の建築設計は、いまのウェブデザイナーの仕事に近い位置づけになるかもしれない。

ウェブデザイナーは、純粋な「デザイン」と、それを実際のHTMLやCSSに落とし込む「コーディング」、主にこの2種類の作業をおこなう。このうち後者の「コーディング」は、創造性というよりは技術力が求められる作業なので、専門的な「エンジニア」が担当することもある(関連:「フロントエンド・エンジニアの重要性が増している」)。

未来の建築設計も、「デザイン」的な部分と、「コーディング」的な部分にわかれるだろう。「デザイン」的な部分は自動化できないので、デザインのスキルをもつ人間がやるしかない。「コーディング」的な部分は、おそらくライブラリやフレームワークが充実していくので、ゼロから作るのではなく、それを組み合わせる仕事になるだろう。

その頃にはロボット技術も発達しているだろうから、その設計データから、ロボットが建物を自動で組立てできるようになっているかもしれない。


関連:
ウィキペディア - BIM
http://ja.wikipedia.org/wiki/BIM

関連エントリ:
積水ハウスが住宅用鉄骨の生産をロボットで95%自動化
http://mojix.org/2010/12/20/sekisui-robot-auto
プログラミングは「設計」である
http://mojix.org/2008/07/11/programming_is_design