2008.08.01
企業が大学を作ればいいのでは
きのうの「学歴もコミュニケーション能力も過大評価されすぎでは?」に関連して、考えたこと。

この平成版「大学は出たけれど」問題は、大学が輩出する人材と、企業が欲しい人材にギャップがあるのも原因だ、というのをよく聞く。そのギャップが問題であれば、企業が大学を作ってしまえばいいのではないだろうか。

企業はつねに、いい人材が欲しいと思っている。しかし、いまの「面接」という方法では、いくらていねいに面接しても、それだけでその人材の能力や特性を見極めるのは限界がある。

企業が大学からやってしまえば、いい人材、自社で欲しい人材を、4年間かけてじっくり育てて、選ぶことができる。その企業の新人研修でやるような内容も、大学の時点で教え込んでおけば、入社時にはすぐ即戦力になれる。

学生のほうも、ほんとうにその企業に入りたければ、大学でいい成績を残す必要があるので、普通の大学生よりもむしろ熱心に勉強するかもしれない。真面目に勉強しない学生、ついてこれない学生は、どんどん留年・落第させてもいい。中退したければ、それも自由。

大学の「経営」も、その企業の経営ノウハウを使えば、効率的で個性的な大学運営が期待できそうだ。

このような大学、企業にとって「人材養成機関」としての機能を持つ大学であれば、授業料も安くできたり、無料にできる可能性すらある。

大企業であれば、採用や新人研修のためのコストをそれなりにかけている。それを全部、大学というかたちで展開する。大学を広報的にもうまく活用し、世間に自社をアピールする機会にしていけば、マーケティング費用としてもコストを投入することができるだろう。現場の社員を講師としてどんどん教壇に立たせれば、講師を別途雇うコストが減らせて、教壇に立つ社員は刺激・勉強にもなる。

すべての大学がこのようになる必要はないが、もし大学の半分くらいがこういう「企業大学」だったら、きっと面白いと思う。企業大学ではものすごく実践型の人材が育ち、並の大学生よりもむしろ勉強するかもしれない。授業も実践型で面白いはずだ。

トヨタ大学、セブン大学、任天堂大学、東芝大学、ホンダ大学、ヤマハ大学、NTT大学、JR大学、日経大学‥などなど、いくらでも考えられる。ヤフー大学、楽天大学、はてな大学といったネット系も楽しそうだ。オシャレなフランフラン大学、ギャル系の109大学などもいいかも。

横並びで個性のない大学よりも、企業の「ブランド」がはっきりしているし、その企業への就職も手堅いならば、きっと人気が出ると思う。これで授業料も格安だったり、無料だったりすれば、入学希望者が殺到するだろう。

企業から見れば、入るまでに学んでおいてほしい知識やスキルはいくらでもあるから、きっと4年間でも学びきれないほど、やることがあるだろう。「実践型」の内容ということで、学生も企業も、互いに張り合いがありそうだ。

こうして企業が日本の高等教育をある程度担っていけば、日本の国家予算のうち大学が占めている部分をかなり削減できるし、企業も人材を育成しつつ、日本社会に貢献できる。

関連エントリ:
税金を使わずに高等教育を無料化できないか
http://mojix.org/2008/05/21/free_higher_edu
ブログ大学
http://mojix.org/2005/12/24/211938