2009.05.28
「派遣切り」から「外注切り」へ 日本のメーカーを「終了」させているのは誰か 
はてな匿名ダイアリー - 日本のメーカー終了間近?
http://anond.hatelabo.jp/20090526155652

某大手メーカーに外注で雇われていたプログラマーが、その大手メーカーの若手社員に引継ぎした、という話。

別の会社でも、とにかく外注を切るという動きが進んでいる、と耳にしたとのこと。

<面接が終わり、その会社の人達と談話していた時だった。
今、殆どの仕事が「外注だから」という理由だけで切られている。そして殆どの仕事が「引継ぎ中」であるらしい。
そして引き継ぎ先は、やはり雇い主の若手社員。
そう、俺の前の仕事の引継ぎの際にあったデタラメ。あれは珍しい話じゃなかったんだ。
どの会社も、目先の事を考えてどんどん外注切り、引継ぎを若い社員に押し付けている>。

「派遣切り」ならぬ「外注切り」だ。

これも、雇用規制のツケだろう。もし正社員を自由に解雇できるなら、この大手メーカーは有能な外注を切る必要がなく、無能な正社員を切ることができる。「正社員を切れない」という制約のもとで、経費を減らそうと思ったら、派遣や外注といった「切れるところ」を切るしかないのだ。

しかしこの話のように、製品のコア技術をつかんでいる外注を切ってしまったら、どうなるか。技術はちょっとやそっとじゃ身につかないから、余っている正社員にこなせるはずがない。

これでは製品の質を維持できず、その製品は成立しなくなるだろう。そういうことが続けば、会社そのものが崩壊する。どの大手メーカーでもこの調子だとすれば、恐ろしい話だ。

日本の大手メーカーはたいてい多重下請け構造で、数えきれないくらい子会社・系列会社があるから、こういうことが今あちこちで起きているとしても不思議はない。多重下請け構造・子会社構造が「収縮」しているわけだ。

外注・下請けというのは、こういう下降局面で「調整可能」だということがそもそも存在意義のひとつだから、これは「派遣切り」が進むのと同じ構図であって、必然とも言える。しかし、コア技術をつかんでいる外注を切ってしまうのは、そのメーカーにとってまさに致命的だろう。

結局のところ、日本のメーカーを「終了」させているのは、雇用の「保護」を会社に押しつけている国の政策だ。「派遣切り」も「外注切り」も、「正社員保護」という制約条件からの帰結なのだ。

環境の変化に対応できないものは滅びる。これは自然の摂理だ。強い規制と高い税金が、日本の会社から柔軟性と競争力を奪っている。いくら技術力があっても、これでは世界と戦えない。

日本の会社に必要なのは、バラマキや補助金、延命策といった「保護」ではない。それはむしろ会社を弱くする。「保護」ではなくて、強い雇用規制や高い法人税といった障害を取り除くこと、つまり「自由」が必要なのだ。


関連エントリ:
「雇用を守れ」という声が、日本の「労働者カースト構造」を強化している
http://mojix.org/2008/12/21/japan_workers_caste
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http://mojix.org/2008/10/18/fair_competition