2009.11.02
「作る人」と「売る人」
会社にはさまざまな部署がある。その会社の商品やサービスを開発する人、それを顧客に売る人、それをサポートする間接部門や管理職など、さまざまだ。そうしたさまざまな役割のうち、会社やビジネスの最も本質的な役割・機能を抽出すると、「作る人」と「売る人」の2つに集約できそうに思う。

最初から「作る人」中心の会社や、「売る人」中心の会社もあるし、同じ会社に「作る人」と「売る人」が共存している場合もある。同じ会社に「作る人」と「売る人」が共存している場合は、その2つで分社化してみると、それぞれのポテンシャルをより活かせる場合がありそうだ。

「作る人」に力があるのに、「売る人」に力がない場合がある。この場合は「作る」ことに特化し、さまざまな別会社の「売る人」と組んでみるといいかもしれない。反対に、「作る人」に力がなく、「売る人」は力があるという場合もある。この場合は「売る」ことに特化し、さまざまな別会社の「作る人」と組んでみたほうがいいかもしれない。

「作る人」の価値とは、一定の時間や労力、材料などから、どれだけの質と量を持った成果物を作り出せるかというところにある。いっぽう「売る人」の価値とは、顧客のニーズを見つけ出して「作る人」の成果物とマッチングさせたり、「作る人」の成果物を顧客に対して魅力的に見せる、というところにある。

「作る人」と「売る人」では、担う役割が違うので、その持つべきスキルも大きく異なる。音楽でいえば、音楽を作ったり、演奏することと、CDを作ったり、宣伝したり、店頭で売ること、それくらいの違いがある。

ビジネスというものを「価値をお金に変える」プロセスだと見なせば、「作る人」と「売る人」のうち、より本質的な役割を担っているのは「売る人」のほうだろう。たしかに、「作る人」がいなければ売るものがなくて困るが、「売る人」がいなければそもそもビジネスにならない。ビジネスとは「作ったものを売る」というよりも、「売れるものを作る」と表現したほうが本質に近いと思う。

このように考えれば、ビジネスでは多くの場合、得られる名誉や満足感では「作る人」のほうが大きいが、実利や報酬の点では「売る人」のほうが大きいというのも納得できる。大体どの世界でも、「作りたい」という人は多いが、「売りたい」という人は少ない。「売る人」のほうが希少だから、より儲かるのだ。


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