2009.12.08
田村耕太郎参議院議員が楽天・三木谷社長に対して政治家になるよう口説く
田村耕太郎参議院議員のブログに、楽天・三木谷社長に対して政治家になるよう口説いた話が書かれている。

参議院議員 田村耕太郎 公式ブログ - 三木谷社長を口説く!
http://kotarotamura.net/b/blog/?itemid=5306

<今日の新世代保守の会のゲストは楽天の三木谷社長。IT産業を育成することがいかに国益となるか、このまま何もしなければ日本がいかに衰退していくかについて興味深い鋭いプレゼンをいただく>。

プレゼンのあとの質疑で、田村議員は三木谷社長に対してこう言ったとのこと。

<「三木谷社長!私は経営者こそが政治家になるべきだと思う。国家経営は企業経営と本質的には同じ。基本は税金と保険料の運用だ。後援会にしても政府にしても組織作りの要諦も同じ。プレゼン能力や交渉力もそうだ。また、退路を断っても帰るところはあるし、すでにお金に多少の余裕あるから、選挙怖くない。三木谷さんどうですか?」>

このストレートすぎる口説きに対して、三木谷社長のリアクションは、<趣旨はご理解頂き、経営者が政治に建設的にさらに関わっていくことに賛同いただいた>、といったものだったらしい。要するに、軽くかわされたようだ。

このくだりには思わず苦笑してしまった。私も考え方としては田村議員に賛成で、<国家経営は企業経営と本質的には同じ>だと思うし、三木谷社長ならきっといい政治家になれると思う。しかし、経営者が何かとワルモノにされがちな現在の日本では、三木谷氏のように成功した経営者が出馬しても、反感を持たれたり、あちこちから妨害を受けて、うまくいかないと思う。

特に三木谷氏の場合は、目立ちすぎたホリエモンが潰されるのを真横で見ていたわけで、その「日本の力学」を誰よりも、痛いほど学んでいるはずだ。だから三木谷氏は、仮に政治に対して情熱や使命感を持っていたとしても、出馬しようとはまず考えないだろう。三木谷氏は物事がよく見えているからこそ、よほど日本の状況が変わらない限り、政治では「勝ち目」がないことをわかっていると思う。

おそらく田村議員もそれは承知の上で、持ち前のキャラで軽くストレートな質問をぶつけてみたのだとは思う。しかしそれにしても、よりによって三木谷氏である。「ゼッタイ出馬しないよな~」と、私は苦笑してしまったわけだ。

<「成長戦略の基本は、特定産業育成もあるが、規制緩和と減税だと思う。今こそ減税!法人税、所得税、研究開発税制等々!今の税の高さならば、税率減らした方が税収は増えると思う。三木谷さんいかが思われるか?」>

田村議員はこうも質問して、これには三木谷氏も賛同したとのこと。成長戦略とは「規制緩和」と「減税」のことであるというのは、三木谷氏に限らず、経営者ならほとんど全員賛成するものと思う。それは経営者としてビジネスがやりやすくなるというだけでなく、それが日本経済の成長につながることを、日々のビジネスを通じて肌感覚で理解しているからだ。特に三木谷氏は、ネットの薬販売規制などとも「現場」で戦ってきており、いかに規制が日本経済をダメにしているかを日々痛感しているはずだ。

田村議員が最後に「成功した企業家として政治に物申してください」と言ったのに対して、三木谷氏は「でしゃばらない程度にやらせていただきます(笑)」と答えたとのこと。この「でしゃばらない程度に」という表現に、三木谷氏の気持ちがよく出ている。

それにしても、田村議員は異色なだけでなく、ほんとうに貴重な政治家だと思う。経営者や投資家の「ネイティブ感覚」をここまでわかっている政治家というのは、なかなかいないだろう(キャリアを見れば、ある程度は納得できる)。「日本を30のシンガポールに分ける」という発想など、国のあるべき姿という根本的なレベルで共感できるし、いまの日本にぜひとも必要な考え方だと思う。


関連エントリ:
成長戦略とは「規制緩和」と「減税」のことである
http://mojix.org/2009/11/22/seichou_senryaku
田村耕太郎参議院議員「日本を30のシンガポールに分ける」
http://mojix.org/2009/10/01/30_singapore_in_japan
体育会系のガタイに派手なファッション、アツい語りという異色の政治家 参議院議員・田村耕太郎
http://mojix.org/2009/02/13/kotarotamura