2010.04.05
田原総一朗、小泉・竹中路線を3ツイートで簡潔に要約
田原総一朗氏がツイッターで、小泉・竹中路線を3つのツイート(つぶやき)で簡潔に要約している。

<竹中さんは規制緩和を主張した。日本は規制が強いのでもっと自由化すべきと主張したのです。小泉内閣の後半は景気が良くなりました。そこで企業は従業員を増やしたのですが、正社員は解雇出来ないので、派遣労働者など非正規社員を増やしたのです>(7:40 AM Mar 29th

<ところがその後アメリカの金融パニック等起き日本も景気が超悪化した。その為に企業は派遣労働者や非正規社員を大量にリストラした>(7:51 AM Mar 29th

<そこで格差の広がりが大問題となった。小泉さんと竹中さんはセーフティネットをやろうと思っていたが出来ないで終わってしまった。その為批判の的となったのです>(7:52 AM Mar 29th

(以上の3ツイートはいずれも、freetibet1111さんへの返答のかたちで書かれている。半角カナは全角カナに直した)

この田原氏の見方は、私の見方と同じだ。

小泉・竹中路線は「格差を拡大した」ということでしばしば責められるが、格差という点では、経済を立てなおすことで、格差はむしろ縮小した。経済を立てなおすことこそ、最大の格差対策である。格差解消を狙って規制強化や増税をしても、ますます不況を深めてしまい、下位層の「フリーフォール」を誰も支えられなくなって、格差はむしろ拡大してしまう。

小泉・竹中路線の問題点は、(1)労働ビッグバン(雇用の流動化)とセーフティネットにまで改革を進められず、正社員の過剰保護が残ってしまったこと、(2)公務員改革ができず、「政府のリストラ」があまり進まなかったこと、この2点において「改革が不徹底」だったことだろう。

前者(労働ビッグバンとセーフティネット)はひとことでいえば「フレキシキュリティ」であり、後者(公務員改革)はひとことでいえば「小さな政府」だ。小泉・竹中路線は、郵政民営化と金融の不良債権処理では成果を上げたが、労働改革と公務員改革ができなかった。小泉を継いだ安倍内閣がその2つを部分的にやろうとしたが、あまりうまくいかなかった。

そしていまや、亀井氏を郵政・金融担当相に据えた鳩山政権が、郵政も金融もひっくり返してしまい、「民から官へ」「金融社会主義」「大きな政府」への逆流が起きている。労働改革と公務員改革ができなかったために、日本の「構造」を真に変えることができず、古い体質への揺り戻しが起きてしまった、というふうに私は捉えている。


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