2010.04.22
日本にこんな政治家がいることに感動 吉田鈴香「世界の中のニッポン」 みんなの党・渡辺喜美代表インタビュー
日経ビジネスオンライン : 吉田鈴香の「世界の中のニッポン」
みんなの願いは、なぜ官邸、自民党に届かないか みんなの党の渡辺喜美代表にインタビュー
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20100419/214062/

いつも楽しみに読んでいる、吉田鈴香「世界の中のニッポン」

前回の記事では、以前に募集した読者からのウィッシュリストの集計結果を報告していたが、今回はその結果を官邸、自民党の河野太郎議員、みんなの党の渡辺喜美代表、の3箇所に持っていった、というもの。

冒頭にあるように、官邸には冷たくあしらわれ、河野太郎議員からもいまのところ応答がなく、みんなの党の渡辺喜美代表だけがすばやく返事をくれ、30分のインタビューができたとのこと。

その経緯から、今回は読者からのウィッシュリストを元にした、渡辺喜美代表へのインタビューという形式になっているのだが、これが素晴らしい内容なのだ。

このブログでもたびたび書いてきたように、私は渡辺喜美氏の考え方やみんなの党の路線についてはおおむね把握しているつもりで、その大部分に共感している。その私が読んでも、このインタビューはものすごくわかりやすく、要点がまとまっていて、何か感動してしまった。ここまでよくわかっていて、信用できる政治家が日本にいるというのは、あらためて考えてみると、ちょっと奇跡的なことだと思う。日本の政治や政治家が、「どうせダメだ」という「あきらめ」の気持ちでなく、これほど前向きな「希望」を感じさせてくれることは、これまでほとんどなかった気がする。

それも、渡辺氏が率いるみんなの党自体がその路線で、みんなの党への注目度・支持率は、いま急上昇しているところなのだ。まだみんなの党は政権を獲ったわけでもないし、参院選でもどこまで伸びるか未知数ではあるが、現時点でここまで支持されていることだけでも、日本に対して前向きな気持ち、「希望」がわいてくる。

以下、記事のインタビューからいくつか抜粋しておく。全編、ほとんど完璧な内容だと思うので、ぜひ記事のほうも読んでみてほしい。

■ 「オピニオンリーダーと言われる人の声」

<(吉田鈴香氏が持ってきたウィッシュリストについて)たぶんこの調査は、日本のオピニオンリーダーといわれる人たちの声を集約しているものじゃなかろうか、と思うんですね。したがって、ある意味、時代の先行指標になっている可能性が高いと思います>。

<自由社会というのは、まさに国民が主役の、希望と安全と安心できる社会であり、自由社会の一番大切な倫理は、力の強い人がやりたい放題やってはいけませんということなんですね。強者がやりたい放題やる社会は、弱肉強食。自由社会はそれを超越した社会。だからですね。自由社会では困ったときには助け合うという互助の精神が隅々にまで張り巡らせられねばならない>。

<普段、国家というのは、一番力が強い存在なので、おとなしくしていますが、非常事態に見舞われたときにはまさに国家の出番。自然災害もあれば、大不況もあればテロも戦争もある。こういう非常事態にこそ国家の真価が問われると。残念ながら日本は、自由社会としてもいびつ、国家としても半人前。そこに、日本の構造的な問題が潜んでいる、というのが私の理解でした。だから、当たり前の自由社会、一人前の国家を目指しましょう、ということになったわけです。おそらくそういう問題意識と共通する回答が出ているんじゃないでしょうか>。

■ 民が主役の経済成長とセーフティネット

<次に何に重点を置くかということですが、経済成長、というのはその通り。これは民が主役であるのは当たり前。民間のチャレンジ精神とイノベーションで成長していくしかないわけですね。一方セーフティネットというのも必要であって、市場原理主義ではセーフティネットをおろそかにしがちだとの批判は、当然と思いますね。みんなの党は市場原理主義かとよく聞かれますが、われわれはきちんとセーフティネットも用意していますよといっています>。

■ 教育改革で官僚統制、中央集権からの脱却を推進

<優先政策は何か、というところでも、成長戦略、どうやって稼いでいくか、ということが大事ですね。日本でこれまで毎年のように成長戦略が作られては消えていったんですが、なぜうまくいかなかったといえば、脱官僚、地域主権が入っていなかったから、につきますね。つまり、官僚統制、中央集権で個別産業ごとに官僚が規制と補助金で統制する、それを全国一律の基準で押し付ける。こういうことになじみすぎた産業が、たとえば、航空産業とか、農業林業とか、建設業とか、みんな衰退の一途をたどっていますね>。

<民間のチャレンジ精神を生かしながら現場のイノベーションを積み重ねていく。そういうサポートが一番身近なところにある人がやればいいわけで、ミクロの産業振興を地域に任せることによって、今までとは全く違った創意工夫が生かされ効率的な税金の使い方が実現できるようになる。そのためには公務員改革、政治改革は避けて通れない。官僚統制、中央集権の土台になっているのが公務員制度。この認識も正しいし、中長期的には国民の政治文化というものを変えていく必要がある。とすれば、教育の果たす役割は非常に大きいということなのではないでしょうか>。

<まあ、例えば、官尊民卑とかお上頼みとか、そういう政治文化が官僚統制、中央集権の時代に広く行き渡ってしまいましたね。官僚はマーケットよりも賢いんだという思い上がりが一方においてあると同時に、民は信頼できない、だから官がたくさん集めてたくさん配ってあげることが正しいやり方だ、という政治文化があると、たぶん日本は衰退の一途をたどると思います。したがって、教育の世界で世界水準に引けを取らない学力水準と同時に、高いモチベーションを涵養する教育制度、おそらく今の教育の抜本改革が、必要になってくる問題だと思います>。

■ 消費税アップするなら地方の財源に

<次に、消費税アップは覚悟しているという人が非常におられました。ですが、みんなの党は、消費税増税の前にやるべきことがあるだろう、ということを優先しています。消費税は国の財源である必要はなく、地方の財源にしようというのが、われわれの考えです>。

<今のシステムのように国が6割集めて4割使う。地方は4割集めて6割使う。差額の2割は交付税と補助金でがんじがらめにするというやり方が時代遅れになってはなはだしいわけですから、思い切って地域主権型道州制を取り、半分は基礎自治体が使い、3分の1は道州政府が使い、残りの15%は中央政府が使う。消費税は地方の財源とする。子供手当はどうするか、医療の無料化はどうするかという社会保障のプラスアルファの部分は、まさに地方が財源とセットで考えればいい話なんですね>。

<だいたい北欧でも日本の道州と同じくらいの規模なんですよ。道州政府ごとに負担と給付のバランスを決めたらいいと思うんですね。そういう意味で、中央集権体制から脱却した消費税の議論が必要になると思います>。

■ 「構造改革」とは1940年体制からの脱却のこと

<やはり構造改革が進んでいるようで全く進んでいないという現実があるんだと思います。では構造改革とは何だといわれれば、それは1940年体制の変換だといえます。つまり、戦後レジームというのはそのできた時代が1940年前後に集中しているんですね。その時代はまさに官僚統制、中央主権の固まった時代です。国にあっては官僚内閣制、東京の霞ヶ関が地方を支配する中央集権体制。天下りを通じた官が民を支配する体制、すべてこの時代に出来上がっているわけです>。

<したがって、こういう戦後レジームにメスを入れることこそ、構造改革の本質ではなくてはいけません。高度成長期にはこうした右向け右の官僚統制、中央集権がうまく機能し、統制派の官僚が大活躍をした時代だったともいます。しかしそういう時代が終わって久しいんですね。民間は1940年代からいちはやく脱却をはじめましたが。日本経済全体はあいかわらず1940年体制のしがらみにとらわれていて抜け出せないでいる。という現実があります。まさに社会全体のイノベーションを行っていくために、政治と政官一体改革、そして教育の倫理を含めた改革が必要であろうと、私も思います>。


関連エントリ:
みんなの党支持率急上昇 個人投資家の支持率で2位
http://mojix.org/2010/03/21/minna_shijiritsu
渡辺喜美・江田憲司『「脱・官僚政権」樹立宣言』 「ピュアネス」と「経験」を兼ね備えた貴重な政治家
http://mojix.org/2009/08/27/datsukanryou
渡辺喜美元行革相の新党は「みんなの党」に 山内康一氏、浅尾慶一郎氏ら参加
http://mojix.org/2009/08/06/your_party