2010.07.10
政府の仕事を減らした人にボーナスを出そう
政府の仕事がどんどん増えてしまうのは、政府の人間にとって、そうしたほうが自分がトクするというインセンティブ構造になっているからだ。政府は民間に対して規制や税金を強制できるが、政府自身がトクする方向に、その強制が使われてしまう。そうしない理由がないのだ。

政府の仕事を減らすには、このインセンティブ構造を変えればいい。例えば、政府の仕事を減らした人に、巨額のボーナスを出してはどうか。

政府の仕事は1回きりのものではなく、たいてい毎年あるものだ。わたしたちが公共料金やケータイの料金を毎月払うのと同じく、政府はいろいろな仕事の「料金」を、毎年払っている。それは公共料金やケータイと同じく、いったん始めてしまうと、なかなか「やめる」ということができない。

政府の人間の給料は、トップクラスでも、たかだか2~3千万だろう。もちろん、それは安くないし、そういう人がたくさん集まれば、巨額になる。

しかし本当に問題なのは、人件費そのものではなく、その政府の人間が「ムダな仕事をつくりだす」ことなのだ。人件費そのものに比べて、その「ムダな仕事」の予算規模のほうがはるかに大きい。1つの仕事が数億円、数十億円というものもザラだろう。

要するに、もしムダが人件費だけに収まるなら、たいしたムダにならない。その人たちに給料だけ払って、何もせずに寝ていてもらったほうが、ムダがないのだ。

例えば、毎年1億円規模の仕事をなくした人には、ボーナスを1億円払ったらどうだろうか。それくらいもらえるなら、本気で仕事を減らす気になるかもしれない。もしいくつか減らせれば、サラリーマンの生涯年収くらいになる。

これを実際やるには、仕事を減らしたという成果を誰に帰属させるかという判定や、いくらなんでもそのボーナスは高すぎるという世論からの批判など、いろいろハードルがあるだろう。しかし、民間企業だって、「リストラにはカネがかかる」ものだ。一時的にはカネがかかっても、それによって「永続的な支出」を削減できるなら、じゅうぶんペイするのだ。

この方式で行けば、例えば毎年30兆円分の支出を削減するには、1回だけ30兆円払えばいいことになる。1回の30兆円で、毎年30兆円を節約できるなら、その「利回り」は100%である。つまり、その「投資」はたった1年で回収できるのであり、さらに次の年からは、それが毎年入ってくるのと同じだ。

日本の財政がひどくなっていくのは、支出の「フロー」を断たないからだ。むしろ、支出の「フロー」が年々拡大してしまっている。赤字の「ストック」が巨額なのも問題だが、まずは「フロー」を断たないと、何も始まらない。「政府の仕事を減らす」とは、この「フロー」を減らすことである。


関連エントリ:
日本を財政破綻(倒産)させないためにこそ、政府のリストラ・コストカットが必要
http://mojix.org/2010/07/03/japan-costcut
民間には力があるのに、政府がジャマしていることが日本の問題
http://mojix.org/2009/11/27/minkan_seifu_mondai
「小さな政府」の考え方
http://mojix.org/2009/07/28/small_gov_thought