2010.09.15
民主党代表に菅氏再選 またしても政策ではなく、スキャンダルによって政治が決められてしまった印象
報道の通り、民主党代表選は菅氏が勝ち、再選を果たした。

asahi.com - 民主代表に菅氏再選 党員・サポーター票で小沢氏に大差(2010年9月14日15時38分)
http://www.asahi.com/politics/update/0914/TKY201009140397.html


民主党代表選で再選を果たした菅直人首相=14日午後3時38分、東京都港区、飯塚悟撮影

<民主党代表選は14日午後、東京・芝公園のホテルで投開票され、菅直人首相(63)が小沢一郎前幹事長(68)を破り、再選を果たした。菅首相は、ただちに党役員人事と内閣改造に着手する。7月の参院選での敗北でつまずいた政権運営を立て直し、衆参各院で多数派の異なる「ねじれ国会」に臨む態勢を整えることが急務となる>。



最終的に獲得したポイントでは菅氏が721、小沢氏が491なので、大差と言えるかもしれない。しかし国会議員票では、菅氏が412、小沢氏が400なので、ほぼ互角である。

記事のタイトルでは「党員・サポーター票で小沢氏に大差」となっているが、逆にいうと、国会議員票ではほとんど差がなかったわけだ。当初は、国会議員票では小沢氏が優勢と言われていたので、菅氏が挽回して追い抜いた格好だ。

党員・サポーター票のほうは、小沢氏の国民的不人気がそのまま出たような数字で、こんなものだろう。

それにしても、大方の予想以上に、小沢氏は健闘したと言えるのではないか。小沢氏の勝利を確信していた小沢シンパはガッカリしただろうが、小沢氏が嫌いな人や、小沢氏は当然負けると思っていた人からすれば、これでも小沢氏はずいぶん票を獲ったように見えると思う。なにしろ菅氏は現役の総理大臣であり、そのうえ小沢氏はこれだけ不人気にもかかわらず、菅氏の圧勝にはならなかったのだ。

今回の民主党代表選では、マスコミではあいかわらず「小沢叩き」が強かったが、ネット上では小沢氏支持の声が比較的強かった。これは必ずしも、人気投票などでの数字の上だけの話ではない。まともな論者のあいだでも、「日本を変える」には小沢氏のほうが適任だという意見が少なからず見られた。私自身も、決して小沢氏を支持しているわけではないが、「日本を変える」という意味では、菅氏よりは小沢氏だろうと思っていた

しかし、国民レベルでの小沢氏の不人気、「小沢アレルギー」は根強い。そしてこの不人気は大部分、マスコミが作り上げたものだ。そのマスコミの「小沢叩き」は、もっぱら「政治とカネ」という切り口によるもので、小沢氏の政策がダメだという話はほとんど聞かない。

この意味では、今回の民主党代表選もまた、政策によってではなく、スキャンダルによって政治が決められてしまったような印象だ。私は小沢氏の政策もそんなにいいとは思わないが、社会主義的発想から抜けられず、ことごとく逆のことをやっている菅氏に比べれば、小沢氏のほうがまだマシだと思える。

また今回の結果は、小沢氏支持の声が比較的強かった「ネット世論」が、マスコミの前に敗退した、という側面もある。「ネット世論」はもちろん玉石混淆だし、信頼できないところもあるが、しかしそれをいえば、マスコミだって信頼できないのだ。「ネット世論」はものすごく雑多で多様であり、ノイズも多いが、基本的に「タブー」のない本音の意見である。その率直さと、全体としてのバランスという意味では信用できると思う。いっぽうマスコミは、事実関係などでは正確なのだが、それをどう見せるか、何を選ぶか、といった点で「意図」を感じるし、「タブー」が少なくない。

「ネット世論」のレベルは年々上がっているように思うが、それでもまだ、マスコミの影響力には遠く及ばない、といったところだろう。しかし、「ネット世論」が勝利する日は少しずつ近づいているように思う。

菅氏は再選された以上、いつまでも社会主義的な発想や、反市場的で局所的な正義にとらわれることなく、国民全体を幸福にする政策、日本を元気にする政策は何なのかという観点から、正しい政策を実行してもらいたい。


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