2010.12.01
スクウェア・エニックス和田洋一社長「正社員終身雇用教って国教かね」
スクウェア・エニックス和田洋一社長が、ツイッターで次のように書いている。

<就活デモのニュース。勿体無さすぎる。解決は至極簡単です。正社員終身雇用教を全企業に強要しなきゃいいだけ。こう言われて事情も分からず感情的に反発する国民が多い間は、解決は絶望的ですね>。(6:35 AM Nov 23rd

<正社員終身雇用教って国教かね。そうじゃなくて、セーフティネットと人材流動化のシステム作りの議論をなぜしないんだろ。もう宗教としかいいようがない。学生は被害者だと思う>。(6:41 AM Nov 23rd

まったく同感だ。

和田社長は「正社員終身雇用教を全企業に強要」と書いているので、これは解雇規制のことを指しているのだろう。

経営者であれば、おそらくほぼ全員が、この雇用問題の構造を理解しているものと思う。しかし、この話は経営者にとって一種の「タブー」であり、わかっていても公言できないのだ。スクウェア・エニックスのような大会社の社長が、これを堂々と指摘したというのは、きわめて例外的だろう。

解雇規制の緩和・撤廃論は反発が大きく、私のブログ程度でもかなりの反発が来る。それでも、学者やジャーナリストであれば、真実のために議論するのも仕事の一部だから、反発を受けるのも覚悟の上だろう。しかし和田社長の場合、スクウェア・エニックスという大会社の経営者なのだから、このような主張を公言するのは、勇気がいる。経営者が「正社員を解雇できるようにすべきだ」と言えば、単なる政治の議論を超えた「意味」を持ちうるからだ。

以前、自民党の中川秀直氏が同様の率直な指摘をしていたが、こういう勇気を持っている経営者や政治家は、きわめて少ない。誰だって、反発を受けたり、嫌われたくはないから、「耳の痛い」ことは言わないのが普通だ。しかし、そうやって問題を隠蔽し、ずっと先送りしてきた結果が、いまの日本である。

よって、いまの日本の行き詰まりを打破するのにもっとも必要なのは、反発を受けたり、嫌われたとしても、真実を言うという勇気だろう。日本に必要なのは、「きれいごと」ばかり言うリーダーではなく、和田社長や中川秀直氏のように、「耳の痛い」ことを言う勇気を持ったリーダーだと思う。


関連:
アルファルファモザイク - スクエニ和田社長「日本の正社員制度なくせば雇用問題は解決する」
http://alfalfalfa.com/archives/1528314.html

関連エントリ:
日本に足りないのは「努力」ではなく、「理解」と「勇気」である
http://mojix.org/2010/08/29/nihon-ni-tarinai
失敗できない日本
http://mojix.org/2010/03/07/shippai_dekinai
解雇規制という「間違った正義」
http://mojix.org/2009/01/20/kaikokisei_wrong_justice