前大分県知事・平松守彦 地方分権の三本柱は「分権」「分財」「分人」
前大分県知事・平松守彦(ひらまつ もりひこ)氏のサイトが面白くて、ときどき読んでいる。
平松守彦ホームページ
http://www.coara.or.jp/hiramatsu/
平松氏は「一村一品運動」の提唱者でもあり、地方分権の推進論者として知られている。
ウィキペディアの解説ページには、平松氏の考え方が次のようにまとめられている。
<平松の地域論は、国がやるべきは「通貨、国防、外交」で、福祉、教育、農業などは地方に任せればよいとするもので、さらに地方の中でも地域、コミュニティは「一村一品」運動のように地域が主人公として特徴を出せばよい、行政は黒子、知事の役割はトップセールス、国は法や規制をかざして制約すべきでないという主張であった>。
<さらに、地方はまとまり、道州となり自主運営力をつけ、その一つである九州は地理的な強みを生かしてアジアとの交流に取り組むべきとするものである。実際、平松はローカル外交にも取り組んだ。いかにも、通産省の官僚出身らしいスケールの大きな発想であった(一方、その発想、考え方には官僚臭を感じるという指摘もある)>。
<なお、大分は藩政期に小藩が分立していたため、地域全体としてまとまりを欠きがちなのを逆手にとって、地域を競争させようというアイデアから生まれたものが「一村一品」であった>。
平松氏のサイトにあるプロフィールページの末尾では、平松氏の主張の要点がこのようにまとめられている。
<東京一極集中是正のために、「九州府構想」、「日本合州国」、「分権・分財・分人」など独自の地方分権論を展開。東京一極集中に対抗できる地域経済圏づくりをめざす太平洋新国土軸構想、新国土形成研究会(全国41道府県が参加)を提唱。「地方がよくならないと日本はよくならない」と主張する>。
平松氏のサイトには、これまで平松氏が新聞などに発表してきた文章が多数収録されている。どの文章も読みやすく、歯切れが良くて、主張がストレートに伝わってくる。
例えば、2003年に毎日新聞に掲載された「地域の自立戦略」という連載から、いくつか拾ってみよう。
地域の自立戦略【22】「地方分権」~中央の支配に驚いた~
http://www.coara.or.jp/hiramatsu/chiiki-jiritsu/22.html
<主張したのは、地方分権の三本柱というものがあるということ。簡単にいうと、
①分権とは、国から地方への権限移譲
②分財は、諭吉の言葉で財源移譲のことだ
③分人は、東京一極集中に対抗するには、地方に若くて優秀な人材が定住できるようにすること。
この三本柱が地方の自立に不可欠で、将来の道州制、連合国家への重要な道程となると確信している>。
地域の自立戦略【23】「地方分権」~権限と財源の確立を~
http://www.coara.or.jp/hiramatsu/chiiki-jiritsu/23.html
<なぜ、こうなるのか。それは地方に権限と財源がないからだ。地方が財源を持ち、地方のことは地方で決めるという制度を作らないと、いつまでも参勤交代は続き、地方の浮揚はないと思った。だから「国は通貨、国防、外交をやれ、後は地方に任せろ」と分権論、権限移譲を本に書いたり、公演や対談で主張してきた>。
地域の自立戦略【24】「地方分権」~税体系の見直しから~
http://www.coara.or.jp/hiramatsu/chiiki-jiritsu/24.html
<先に地方分権には「分権」「分財」「分人」の三本柱があると言った。簡単に説明したい。
まず分権(権限移譲)だが、国と地方の役割分担を見直し、国の役割は外交、防衛、通貨に限定し、住民に直結する事務は地方に任せるため権限と財源の再配分を行う、これが原則だ。
次いで分財(財源移譲)。地方分権を実質的に機能させるには、現行税制を地方が自立できるような制度に変える必要がある。国が地方に金を回す「三割自治」では、地方の生殺与奪は国の思うがままである>。
地域の自立戦略【25】「地方分権」~目的は住民生活向上~
http://www.coara.or.jp/hiramatsu/chiiki-jiritsu/25.html
<地方分権=地方の自立は、東京一極集中に対抗できる地域を育てるということだ。地方の体力強化(これを私は、地域力と呼んでいる)と、優秀な人材確保なくして、地方自治体の執行能力は担保できないと考えている。
地方分権は手段であって目的ではない。目的は地域住民の生活水準の向上にある。住民ニーズにあった行政とするには、中央集権型行政システムより地方分権型システムの方がよりベターであるからこそ、私は地方分権を進めてきた。
地方分権に中央官僚の抵抗は強い。族議員の既得権益確保のための反対も多い。地方分権を進めるには国民的合意が前提だが、そのためにも「分権、分財、分人」とそれにみあう受け皿としての道州制に移行することが必要だ>。
どの文章もこのような感じで、テンポがよく、かつ短くまとまっている。
「日本合州国」、「分権・分財・分人」といったキャッチフレーズもわかりやすく、主張が印象に残りやすい。さすが「一村一品運動」の提唱者だ。
内容に共感できるだけでなく、文体がさっぱりしていて、読んでいて実に気持ちがいい。私にとっては、平松氏の文章は「日本語の理想形」に近い。
関連:
ウィキペディア - 平松 守彦
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3..
関連エントリ:
中野雅至「決断ができないならば、日本を分割せよ」
http://mojix.org/2011/01/18/nakano-nihon-bunkatsu
日本も連邦制にすればいいのでは
http://mojix.org/2010/08/04/renpousei
田村耕太郎参議院議員「日本を30のシンガポールに分ける」
http://mojix.org/2009/10/01/30_singapore_in_japan
大前研一による「道州制のビジネスモデル」
http://mojix.org/2008/06/23/ohmae_doushuusei
平松守彦ホームページ
http://www.coara.or.jp/hiramatsu/
平松氏は「一村一品運動」の提唱者でもあり、地方分権の推進論者として知られている。
ウィキペディアの解説ページには、平松氏の考え方が次のようにまとめられている。
<平松の地域論は、国がやるべきは「通貨、国防、外交」で、福祉、教育、農業などは地方に任せればよいとするもので、さらに地方の中でも地域、コミュニティは「一村一品」運動のように地域が主人公として特徴を出せばよい、行政は黒子、知事の役割はトップセールス、国は法や規制をかざして制約すべきでないという主張であった>。
<さらに、地方はまとまり、道州となり自主運営力をつけ、その一つである九州は地理的な強みを生かしてアジアとの交流に取り組むべきとするものである。実際、平松はローカル外交にも取り組んだ。いかにも、通産省の官僚出身らしいスケールの大きな発想であった(一方、その発想、考え方には官僚臭を感じるという指摘もある)>。
<なお、大分は藩政期に小藩が分立していたため、地域全体としてまとまりを欠きがちなのを逆手にとって、地域を競争させようというアイデアから生まれたものが「一村一品」であった>。
平松氏のサイトにあるプロフィールページの末尾では、平松氏の主張の要点がこのようにまとめられている。
<東京一極集中是正のために、「九州府構想」、「日本合州国」、「分権・分財・分人」など独自の地方分権論を展開。東京一極集中に対抗できる地域経済圏づくりをめざす太平洋新国土軸構想、新国土形成研究会(全国41道府県が参加)を提唱。「地方がよくならないと日本はよくならない」と主張する>。
平松氏のサイトには、これまで平松氏が新聞などに発表してきた文章が多数収録されている。どの文章も読みやすく、歯切れが良くて、主張がストレートに伝わってくる。
例えば、2003年に毎日新聞に掲載された「地域の自立戦略」という連載から、いくつか拾ってみよう。
地域の自立戦略【22】「地方分権」~中央の支配に驚いた~
http://www.coara.or.jp/hiramatsu/chiiki-jiritsu/22.html
<主張したのは、地方分権の三本柱というものがあるということ。簡単にいうと、
①分権とは、国から地方への権限移譲
②分財は、諭吉の言葉で財源移譲のことだ
③分人は、東京一極集中に対抗するには、地方に若くて優秀な人材が定住できるようにすること。
この三本柱が地方の自立に不可欠で、将来の道州制、連合国家への重要な道程となると確信している>。
地域の自立戦略【23】「地方分権」~権限と財源の確立を~
http://www.coara.or.jp/hiramatsu/chiiki-jiritsu/23.html
<なぜ、こうなるのか。それは地方に権限と財源がないからだ。地方が財源を持ち、地方のことは地方で決めるという制度を作らないと、いつまでも参勤交代は続き、地方の浮揚はないと思った。だから「国は通貨、国防、外交をやれ、後は地方に任せろ」と分権論、権限移譲を本に書いたり、公演や対談で主張してきた>。
地域の自立戦略【24】「地方分権」~税体系の見直しから~
http://www.coara.or.jp/hiramatsu/chiiki-jiritsu/24.html
<先に地方分権には「分権」「分財」「分人」の三本柱があると言った。簡単に説明したい。
まず分権(権限移譲)だが、国と地方の役割分担を見直し、国の役割は外交、防衛、通貨に限定し、住民に直結する事務は地方に任せるため権限と財源の再配分を行う、これが原則だ。
次いで分財(財源移譲)。地方分権を実質的に機能させるには、現行税制を地方が自立できるような制度に変える必要がある。国が地方に金を回す「三割自治」では、地方の生殺与奪は国の思うがままである>。
地域の自立戦略【25】「地方分権」~目的は住民生活向上~
http://www.coara.or.jp/hiramatsu/chiiki-jiritsu/25.html
<地方分権=地方の自立は、東京一極集中に対抗できる地域を育てるということだ。地方の体力強化(これを私は、地域力と呼んでいる)と、優秀な人材確保なくして、地方自治体の執行能力は担保できないと考えている。
地方分権は手段であって目的ではない。目的は地域住民の生活水準の向上にある。住民ニーズにあった行政とするには、中央集権型行政システムより地方分権型システムの方がよりベターであるからこそ、私は地方分権を進めてきた。
地方分権に中央官僚の抵抗は強い。族議員の既得権益確保のための反対も多い。地方分権を進めるには国民的合意が前提だが、そのためにも「分権、分財、分人」とそれにみあう受け皿としての道州制に移行することが必要だ>。
どの文章もこのような感じで、テンポがよく、かつ短くまとまっている。
「日本合州国」、「分権・分財・分人」といったキャッチフレーズもわかりやすく、主張が印象に残りやすい。さすが「一村一品運動」の提唱者だ。
内容に共感できるだけでなく、文体がさっぱりしていて、読んでいて実に気持ちがいい。私にとっては、平松氏の文章は「日本語の理想形」に近い。
関連:
ウィキペディア - 平松 守彦
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3..
関連エントリ:
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http://mojix.org/2011/01/18/nakano-nihon-bunkatsu
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http://mojix.org/2010/08/04/renpousei
田村耕太郎参議院議員「日本を30のシンガポールに分ける」
http://mojix.org/2009/10/01/30_singapore_in_japan
大前研一による「道州制のビジネスモデル」
http://mojix.org/2008/06/23/ohmae_doushuusei