2011.07.23
マンション更新料訴訟 家賃2カ月分の更新料を容認する最高裁判決
毎日jp - マンション更新料訴訟:便乗請求懸念の声 貸主側は評価 (2011年7月15日 21時24分)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110716k0000m040090000c.html

<「消費者保護の目線を無視した判断」。マンションの賃貸更新料を巡る契約条項を「有効」とした15日の最高裁判決は、毎年家賃2カ月分の更新料も容認する内容だったことから、借り主から疑問の声が上がった。借り主弁護団からは、判決に便乗した請求を懸念する声も聞かれた>。

<判決後の記者会見で借り主側弁護団の増田尚弁護士は、学生や若者などの低所得者層を念頭に「毎年まとまった金額を支払うことがどれだけ大変か、裁判官は理解しようとしていない」と指摘。平尾嘉晃弁護士は「この判決を機に更新料を(最高裁が認めた)2カ月分に増額したり、新たに更新料支払いを求める貸主が増える恐れがある」と訴えた>。

<原告の一人の女性会社員(28)は「判決は残念」と話した。女性は03~08年に京都市西京区のアパートを借り学生生活を送った。家賃は月額3万8000円で、1年ごとに2カ月分の更新料を支払う契約。下見したアパート全てに更新料が設定され、当たり前だと思って契約した。だが、学生にとって1年間に約8万円の貯金は困難。更新時期に実家からの仕送りを増額してもらうしかなかった。「こうした契約が増えると、学生がいる家庭の経済的負担も大きくなる」と危惧した>。

<一方、貸主側は全面的に評価した。被告でマンション管理業「長栄」(京都市)の長田修社長(62)は「(訴えは)うどんを食べた後で『値段が高かったから返金を』と言うようなもの」と指摘。「払うのが嫌なら更新料がない物件を選べばいい」と話した。被告側の田中伸弁護士は「無効と判断されていたら多くの貸主が破産する事態になっていた。常識的な判決」と述べた>。

私も貸主側と同じく、この最高裁判決は妥当だと思う。

契約する前から更新料があることはわかっているのに、更新のタイミングになって、それを払わないというのはおかしい。

借主側弁護士の「消費者保護の目線を無視した判断」、「毎年まとまった金額を支払うことがどれだけ大変か、裁判官は理解しようとしていない」といった心情的な主張は、いかなる場合でも消費者側・「弱者」側を保護しようという、日本的な消費者独裁主義の典型だろう。

「弱者」保護のためなら、契約をあとからひっくり返してもいいというのでは、市場経済は成り立たない。実際、日本ではその傾向が強いために、「強者」側が最初から取引を控えてしまい、市場が縮小してしまっているのだ(その代表例が、解雇規制と借地借家法)。

弱者を保護したい、という気持ち自体は正しい。しかし、そのために市場取引を規制する、という方法は間違っている。弱者保護はあくまでも、市場の「外側」で、セーフティネットによっておこなうべきなのだ(関連:「セーフティネットは必要だが、市場を規制してもセーフティネットにはならない」)。そうでないと、市場を潰してしまい、経済が失速してしまう。それがまさに、いまの日本の姿なのだ。


関連エントリ:
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