みんなの党と大阪維新の会の違い
足立やすし - みんなの党と大阪維新の会とのトップ会談が膠着している理由(2012年8月23日)
http://adachiyasushi.jp/?p=1281
<大阪維新の会の橋下徹代表と松井一郎幹事長がみんなの党の渡辺喜美代表と今月20日に大阪で会談し、合流を含めた連携方策について話し合ったと報じられている。双方が会談したことを認めているので既に公然の事実であり、会談の内容についても概ね正確に報じられているように思う>。
<しかし、本当に力のある第三極を樹立していくためにいま大切なことは、みんなの党(と大阪維新の会)がどういう立場で会談に臨み、どういう立場の違いのために交渉が膠着している(決裂した?)のか、について理解し、関係者が「一糸乱れず結束して」(みんなの党・江田憲司幹事長)選挙に臨んでいくことである>。
<いまのこの政局は、今後五十年・百年にわたって豊かで活力ある日本を構築していくために、とても重要な局面に差し掛かっており、関係者の賢明かつ懸命な対応が求められる。この文章が何かの役に立つとも思えないし、政局について言及することは憚られる面もあるが、まだ立場を得ていない私にできることの一つがこのコラムを通じて私見を提示することと考え、筆を執った次第である>。
これはとてもいい内容。みんなの党と大阪維新の会に興味ある人は、ぜひ読んでみてほしい。
これを書いている足立やすし氏は、「みんなの党衆議院大阪府第9区支部長」とのこと。経済産業省を昨年退職し、国政入りを目指して、みんなの党の支部長として大阪で活躍されているようだ。サイトには堺屋太一氏からの推薦文もある。
記事では、上記の冒頭部分につづけて、昨年末の大阪ダブル選や今年4月の茨木市長選で、みんなの党と大阪維新の会がどのように協力したかが述べられている。そのあとの「合流等に向けた協議が膠着している理由」という3つめのパートが、記事の核心のようだ。
そのパートはこのように始まる。
<こうした連携を続けてきたみんなの党と大阪維新の会が、衆院選を間近に控えた今、改めてトップ会談を行い、その連携のあり方について意見交換するのは至極当然のことと思うが、当面の政局についての考えに一定の相違があり、交渉が膠着しているのは、冒頭に述べたとおりである。では、どういった考え方の相違が存在するのか>。
<私は、政策/政局に関する原理主義度の違いが、いわゆるケミストリーの違いとして影を落としているように感じている。みんなの党は、政策については原理主義的(=教条主義的)であるが政局については現実主義的(=急進的ではない)、一方の大阪維新の会は(勝手に論評する立場にないが)反対に、政策については現実主義的であるが、政局については急進主義的だ。(ここで、「現実主義的でない(=原理主義的)」というのが「現実的でない」という意味でないことは言うまでもない。)>
この「ケミストリー」の比較は、わりと的確な感じがする。表にすると、こんな感じだろう。
みんなの党は、「政策」については原理主義的(=教条主義的)。つまり、良く言えば信念がしっかりしているが、悪く言えば柔軟性がないので、「この方針に従えない者は出て行け」式になりやすいわけだ。しかし「政局」については現実的で、あまり欲張らずに、着実に支持をひろげていこう、という「ゆっくりペース」である。
いっぽう大阪維新の会は、「政策」については現実主義的。良く言えば、状況を見ながら変える柔軟性を持つが(原発再稼動をめぐる方針変更がいい例)、悪く言えば、日和見主義にもなりやすい。しかし「政局」については急進主義的で、次の総選挙で一気に政権に食い込もうとするような意向が見える。ウィキペディアによると、次の衆議院選挙で200人以上の当選をめざしているとのこと。まさに「急進主義」である。
この図とコメントは私自身でまとめたものだが、足立やすし氏の記事では、よりていねいに解説されているので、ぜひ読んでみてほしい。
足立やすし氏はみんなの党の党員なので、みんなの党に好意的なスタンスになりやすいかもしれないが、この比較は私から見ても、おおむね妥当な気がする(私自身の見方も、みんなの党に寄っているかもしれないが)。
記事中には、<「道州制型統治機構研究会」に参加する3人のみんなの党参院議員もいただけない>として、次の毎日新聞の記事にリンクがある。
毎日新聞 - 国会議員勉強会:維新の会合流目指す6人が参加(2012年08月22日 20時17分)
http://mainichi.jp/select/news/20120823k0000m010049000c.html
<橋下徹大阪市長が率いる「大阪維新の会」との合流を検討している超党派の国会議員らによる勉強会「道州制型統治機構研究会」が22日、国会内で開かれた。民主党の松野頼久元官房副長官や自民党の松浪健太衆院議員ら、国会議員6人が参加した>。
<松野、松浪両氏以外の出席者は民主党の石関貴史衆院議員と、みんなの党の上野宏史、小熊慎司、桜内文城の各参院議員。自民党の前衆院議員ら4人も参加し、維新の会が次期衆院選公約に掲げる予定の「消費税の地方税化」について議論した>。
<現職議員の出席者のうち、桜内氏以外の5議員は11日に大阪市内で橋下氏と会談している。ただ、自民党の西村康稔、平井卓也両衆院議員ら合流に慎重な勉強会メンバーは22日は姿を見せなかった。そのうちの1人は「誤解を生むから行きづらい。しばらく様子を見る」と語った>。
この勉強会への参加が、ただちに「大阪維新の会」への合流を意味するわけではないとしても(この記事のタイトルでは断定しているが)、これはみんなの党を少なからず動揺させているだろう。みんなの党はそれなりの勢力になりつつあるとは言え、まだ小さい政党であり、もし国会議員が数人も抜けたら、たいへんなことである(現在みんなの党に属する国会議員は、衆議院議員5名、参議院議員11名)。
みんなの党がどのくらい原理主義的(=教条主義的)なのか、私はわからないが、足立やすし氏みずからそう書いているところからしても、多少そういう傾向はあるのだろう。私はみんなの党を結党時から支持し、その政策も大部分支持しているが、以前も書いたように、リフレ政策だけは支持できない。みんなの党のブレーンにはリフレ派の筆頭とも言える高橋洋一氏がおり、党の上層部もリフレ路線で固められているようなので、もし私がみんなの党の党員であれば、反リフレの罪で追放されるかもしれない。なぜそう思うかというと、みんなの党でリフレを否定している人をほとんど見かけないからだ。もちろん、政策の方向が大まかには一致していなければ、そもそも政党の意味がない。しかし、ある程度の柔軟性や多様性、自己批判能力、異論を受け入れる度量がないと、カルト化してしまいやすい。みんなの党の政策を大部分支持している私ですら、そういう印象を受けるところはある。
いっぽうの大阪維新の会は、まだ国政では何もしていないにもかかわらず、アンケートでも高い支持率が出るなど、勢いと注目度ではすでにみんなの党を超えている感がある。デビュー前から一挙一動が注目されるという、いわば「大型新人」だ。しかし、橋下氏が力のある政治家であることは疑いないとしても、政党としての大阪維新の会は、まだ未熟もいいところだろう。政策が現実主義(悪く言えば日和見主義)で、政局が急進主義という組み合わせは、ガッツや突破力はあるが、未熟な政策が力を持ってしまいやすいことも意味している。もし、大阪維新の会が未熟なまま、橋下人気だけで急速に勢力を拡大させたら、やや危険な感じもする。
このように考えると、みんなの党と大阪維新の会の中間くらいが、ちょうどいいのかもしれない。みんなの党の政策力・実績・人材・着実さと、大阪維新の会の柔軟性・勢い・注目度・スピードを合体すると、わりといいバランスになる気もする。このエントリではあえて危惧している点を書いたが、私はみんなの党と大阪維新の会の政策をおおむね支持している。
足立やすし氏は、記事の最後でこう書いている。
<大事なことは、1)みんなの党と大阪維新の会それぞれが有するパワーを最大限に発揮できるようにすることであり、2)民主党と自民党の時代に本当の意味で終止符を打って新しい政治と行政の仕組みを作っていくことであり、そして何よりも、3)関西州はじめ多様で活力ある分権型国家を築き、国民の仕事と生活を守っていくことだからだ>。
これはまったく同感だ。みんなの党と大阪維新の会は、政策がおおむね一致していて、しかし「ケミストリー」が異なるからこそ、力をあわせると大きな相乗効果が生まれると思う。
関連:
ウィキペディア - みんなの党
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BF..
ウィキペディア - 大阪維新の会
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7..
毎日新聞 - 国会議員勉強会:維新の会合流目指す6人が参加(2012年08月22日 20時17分)
http://mainichi.jp/select/news/20120823k0000m010049000c.html
関連エントリ:
みんなの党は全員リフレ派なのか?「リフレ派でないみんなの党」が欲しい
http://mojix.org/2011/02/15/minna-reflation
http://adachiyasushi.jp/?p=1281
<大阪維新の会の橋下徹代表と松井一郎幹事長がみんなの党の渡辺喜美代表と今月20日に大阪で会談し、合流を含めた連携方策について話し合ったと報じられている。双方が会談したことを認めているので既に公然の事実であり、会談の内容についても概ね正確に報じられているように思う>。
<しかし、本当に力のある第三極を樹立していくためにいま大切なことは、みんなの党(と大阪維新の会)がどういう立場で会談に臨み、どういう立場の違いのために交渉が膠着している(決裂した?)のか、について理解し、関係者が「一糸乱れず結束して」(みんなの党・江田憲司幹事長)選挙に臨んでいくことである>。
<いまのこの政局は、今後五十年・百年にわたって豊かで活力ある日本を構築していくために、とても重要な局面に差し掛かっており、関係者の賢明かつ懸命な対応が求められる。この文章が何かの役に立つとも思えないし、政局について言及することは憚られる面もあるが、まだ立場を得ていない私にできることの一つがこのコラムを通じて私見を提示することと考え、筆を執った次第である>。
これはとてもいい内容。みんなの党と大阪維新の会に興味ある人は、ぜひ読んでみてほしい。
これを書いている足立やすし氏は、「みんなの党衆議院大阪府第9区支部長」とのこと。経済産業省を昨年退職し、国政入りを目指して、みんなの党の支部長として大阪で活躍されているようだ。サイトには堺屋太一氏からの推薦文もある。
記事では、上記の冒頭部分につづけて、昨年末の大阪ダブル選や今年4月の茨木市長選で、みんなの党と大阪維新の会がどのように協力したかが述べられている。そのあとの「合流等に向けた協議が膠着している理由」という3つめのパートが、記事の核心のようだ。
そのパートはこのように始まる。
<こうした連携を続けてきたみんなの党と大阪維新の会が、衆院選を間近に控えた今、改めてトップ会談を行い、その連携のあり方について意見交換するのは至極当然のことと思うが、当面の政局についての考えに一定の相違があり、交渉が膠着しているのは、冒頭に述べたとおりである。では、どういった考え方の相違が存在するのか>。
<私は、政策/政局に関する原理主義度の違いが、いわゆるケミストリーの違いとして影を落としているように感じている。みんなの党は、政策については原理主義的(=教条主義的)であるが政局については現実主義的(=急進的ではない)、一方の大阪維新の会は(勝手に論評する立場にないが)反対に、政策については現実主義的であるが、政局については急進主義的だ。(ここで、「現実主義的でない(=原理主義的)」というのが「現実的でない」という意味でないことは言うまでもない。)>
この「ケミストリー」の比較は、わりと的確な感じがする。表にすると、こんな感じだろう。
みんなの党は、「政策」については原理主義的(=教条主義的)。つまり、良く言えば信念がしっかりしているが、悪く言えば柔軟性がないので、「この方針に従えない者は出て行け」式になりやすいわけだ。しかし「政局」については現実的で、あまり欲張らずに、着実に支持をひろげていこう、という「ゆっくりペース」である。
いっぽう大阪維新の会は、「政策」については現実主義的。良く言えば、状況を見ながら変える柔軟性を持つが(原発再稼動をめぐる方針変更がいい例)、悪く言えば、日和見主義にもなりやすい。しかし「政局」については急進主義的で、次の総選挙で一気に政権に食い込もうとするような意向が見える。ウィキペディアによると、次の衆議院選挙で200人以上の当選をめざしているとのこと。まさに「急進主義」である。
この図とコメントは私自身でまとめたものだが、足立やすし氏の記事では、よりていねいに解説されているので、ぜひ読んでみてほしい。
足立やすし氏はみんなの党の党員なので、みんなの党に好意的なスタンスになりやすいかもしれないが、この比較は私から見ても、おおむね妥当な気がする(私自身の見方も、みんなの党に寄っているかもしれないが)。
記事中には、<「道州制型統治機構研究会」に参加する3人のみんなの党参院議員もいただけない>として、次の毎日新聞の記事にリンクがある。
毎日新聞 - 国会議員勉強会:維新の会合流目指す6人が参加(2012年08月22日 20時17分)
http://mainichi.jp/select/news/20120823k0000m010049000c.html
<橋下徹大阪市長が率いる「大阪維新の会」との合流を検討している超党派の国会議員らによる勉強会「道州制型統治機構研究会」が22日、国会内で開かれた。民主党の松野頼久元官房副長官や自民党の松浪健太衆院議員ら、国会議員6人が参加した>。
<松野、松浪両氏以外の出席者は民主党の石関貴史衆院議員と、みんなの党の上野宏史、小熊慎司、桜内文城の各参院議員。自民党の前衆院議員ら4人も参加し、維新の会が次期衆院選公約に掲げる予定の「消費税の地方税化」について議論した>。
<現職議員の出席者のうち、桜内氏以外の5議員は11日に大阪市内で橋下氏と会談している。ただ、自民党の西村康稔、平井卓也両衆院議員ら合流に慎重な勉強会メンバーは22日は姿を見せなかった。そのうちの1人は「誤解を生むから行きづらい。しばらく様子を見る」と語った>。
この勉強会への参加が、ただちに「大阪維新の会」への合流を意味するわけではないとしても(この記事のタイトルでは断定しているが)、これはみんなの党を少なからず動揺させているだろう。みんなの党はそれなりの勢力になりつつあるとは言え、まだ小さい政党であり、もし国会議員が数人も抜けたら、たいへんなことである(現在みんなの党に属する国会議員は、衆議院議員5名、参議院議員11名)。
みんなの党がどのくらい原理主義的(=教条主義的)なのか、私はわからないが、足立やすし氏みずからそう書いているところからしても、多少そういう傾向はあるのだろう。私はみんなの党を結党時から支持し、その政策も大部分支持しているが、以前も書いたように、リフレ政策だけは支持できない。みんなの党のブレーンにはリフレ派の筆頭とも言える高橋洋一氏がおり、党の上層部もリフレ路線で固められているようなので、もし私がみんなの党の党員であれば、反リフレの罪で追放されるかもしれない。なぜそう思うかというと、みんなの党でリフレを否定している人をほとんど見かけないからだ。もちろん、政策の方向が大まかには一致していなければ、そもそも政党の意味がない。しかし、ある程度の柔軟性や多様性、自己批判能力、異論を受け入れる度量がないと、カルト化してしまいやすい。みんなの党の政策を大部分支持している私ですら、そういう印象を受けるところはある。
いっぽうの大阪維新の会は、まだ国政では何もしていないにもかかわらず、アンケートでも高い支持率が出るなど、勢いと注目度ではすでにみんなの党を超えている感がある。デビュー前から一挙一動が注目されるという、いわば「大型新人」だ。しかし、橋下氏が力のある政治家であることは疑いないとしても、政党としての大阪維新の会は、まだ未熟もいいところだろう。政策が現実主義(悪く言えば日和見主義)で、政局が急進主義という組み合わせは、ガッツや突破力はあるが、未熟な政策が力を持ってしまいやすいことも意味している。もし、大阪維新の会が未熟なまま、橋下人気だけで急速に勢力を拡大させたら、やや危険な感じもする。
このように考えると、みんなの党と大阪維新の会の中間くらいが、ちょうどいいのかもしれない。みんなの党の政策力・実績・人材・着実さと、大阪維新の会の柔軟性・勢い・注目度・スピードを合体すると、わりといいバランスになる気もする。このエントリではあえて危惧している点を書いたが、私はみんなの党と大阪維新の会の政策をおおむね支持している。
足立やすし氏は、記事の最後でこう書いている。
<大事なことは、1)みんなの党と大阪維新の会それぞれが有するパワーを最大限に発揮できるようにすることであり、2)民主党と自民党の時代に本当の意味で終止符を打って新しい政治と行政の仕組みを作っていくことであり、そして何よりも、3)関西州はじめ多様で活力ある分権型国家を築き、国民の仕事と生活を守っていくことだからだ>。
これはまったく同感だ。みんなの党と大阪維新の会は、政策がおおむね一致していて、しかし「ケミストリー」が異なるからこそ、力をあわせると大きな相乗効果が生まれると思う。
関連:
ウィキペディア - みんなの党
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BF..
ウィキペディア - 大阪維新の会
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7..
毎日新聞 - 国会議員勉強会:維新の会合流目指す6人が参加(2012年08月22日 20時17分)
http://mainichi.jp/select/news/20120823k0000m010049000c.html
関連エントリ:
みんなの党は全員リフレ派なのか?「リフレ派でないみんなの党」が欲しい
http://mojix.org/2011/02/15/minna-reflation