2011.02.15
みんなの党は全員リフレ派なのか?「リフレ派でないみんなの党」が欲しい
池田信夫blog - みんなの党の「焼け野原」政策
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51677558.html

<みんなの党の江田憲司氏が「なぜ名目4%成長が必要か?」というブログ記事を書いている。江田氏は橋本行革を進めた改革派で政策にも明るいが、残念ながら東大法学部にありがちな経済オンチである。この短い記事にも、間違いがたくさんある>。

このような出だしで、池田信夫氏がみんなの党のリフレ政策を批判している。

リフレ政策の是非は、経済や金融の専門家のあいだでも意見が分かれているようで、ここで池田氏が書いているように<ナンセンスな話>とは言い切れない、と私は考えている。しかし、私はリフレ政策を支持しておらず、政策的なスタンスでは池田氏の立場に近い。

このブログでたびたび書いてきたように、私はみんなの党の政策を大部分支持しているが、このリフレ政策だけは支持できない。

例えば「なぜリフレ政策より構造改革が重要なのか 日本に足りないのはカネではなく成長力や投資機会である」というエントリで、私はこのように書いた。

<みんなの党を支持するような経済成長派の人でも、構造改革よりリフレ政策を優先すべきと考えている人をネットでときどき見かける。そもそもみんなの党自身、おそらくブレーンである高橋洋一氏からの影響などで、リフレ路線が強いようだ(少なくとも代表の渡辺喜美氏はそのようである)。このブログでしばしば書いてきたように、私はみんなの党の政策的な方向を大部分支持しているのだが、このリフレ路線だけは支持できない>。

<経済は結局のところ、市場参加者の心理、「見通し」で動く。新興国が力をつけ、世界的な競争が激化しているこの時代に、日本は強すぎる規制と高すぎる税金を維持しつづけている。これでは成長力や投資機会など生じようがない。その「構造」に手を入れず、「カネをジャンジャン刷ります」と宣言したところで、市場参加者の「見通し」が改善するのだろうか。むしろ、「カネがないからカネを刷るなんて、そんな錬金術があるわけがない」と、政府に対する不安がますます大きくなるのではないか。「見通し」の改善とは、「信頼」が増して、将来への「期待」が増すことだ。税収の倍以上も浪費している借金国が、「カネをジャンジャン刷ります」と宣言したら、むしろ「不安」が増すだけではないだろうか>。

<「不安」が増したとしても、「インフレ期待」が生じさえすればいいのだ、というのがリフレ派の議論なのかもしれない。仮にインフレ期待が生じたとしても、日本の硬直的な「構造」がそのままであれば、「流動性」が日本を「うるおす」ことはなく、もっと成長力の大きい海外へ流出するだけだろう。ドーキンスの「利己的な遺伝子」と同じく、カネは「自己増殖」するものであり、「自分がいちばん増えそうなところに向かう」。日本に成長力や投資機会がなければ、カネは「日本を出て行く」のだ>。

これを書いたのは昨年の4月だが、この考えはいまでもまったく変わっていない。日本の成長にとって最大の障害になっているのは、日本の硬直的な「構造」であり、それを含む「ダメな政治」である。

みんなの党は、この「構造」を改革するという方向ではいいのだが、同時にリフレ政策も主張しているのが、私にとっては残念なところだ。

私はリフレ政策をただのナンセンスと切り捨てるつもりはないので、賛成者と反対者で、どんどん政策論争をやればいいと思う。「朝まで生テレビ」でこれをテーマにして論争をやれば、きっと普段の朝生よりも濃い議論になり、面白くなるだろう。

私にとって残念なのは、「リフレ派でないみんなの党」がないことだ。みんなの党に属する政治家や党員、支持者も、全員がリフレ派であるとはとても思えない。党のトップがリフレ路線なので、内心はそれに賛同できない人も、黙っているというのがおそらく現状だろう。

政府を小さくすべきと考えるリバタリアンでも、リフレ政策による金融操作にはためらいがない、という人が少なからずいる。リバタリアンの中ですらスタンスが分かれるテーマであり、経済の専門家のあいだですら熱い議論があるのだから、一般レベルで決着しないのは当然だろう。

「リフレ派でないみんなの党」は無理にしても、少なくともみんなの党の中で、これについて全員意見が一致しているとは思えないので、みんなの党の関係者や支持者でリフレを支持しない人は、ぜひ声をあげてほしい。異論を認めない「恐怖政治」はみんなの党に似合わないし、議論があることをそのまま出したほうが、率直で好印象だと思う。


関連エントリ:
小林慶一郎「デフレ脱却をめぐる思想の対立」(2004年)
http://mojix.org/2010/09/23/kobayashi-deflation
なぜリフレ政策より構造改革が重要なのか 日本に足りないのはカネではなく成長力や投資機会である
http://mojix.org/2010/04/08/kouzou_kaikaku
斎藤精一郎「何故、超緩和策でデフレ脱却ができないのか」
http://mojix.org/2009/12/03/saito_kanwa