2012.09.15
ネットによって可視化されたもの
ネットによって、世界は変わっただろうか。もちろん変わった。大きく変わったと思う。そして、いまも大きく変わりつつある。

しかしいっぽうで、世界が変わったのではなく、ネットによって単に「世界が可視化された」に過ぎない、という部分もかなりあると思う。ネットによって、いままで見えなかったものが、たくさん見えるようになったのだ。

それはやはり、誰でもかんたんに情報発信できるようになった、というのが大きいと思う。ネットがなかった頃は、情報発信は紙でやるしかなかった。紙による情報発信はお金がかかるので、一般人が広い範囲に情報発信することは、かなりお金をかけない限り、ほぼ不可能だった。

ネットによって、情報発信は限りなく容易になり、誰にでも開放された。この点で、ネットは世界を完全に変えてしまった。ツイッターでは、「ハラへった」「ねむい」のようなつぶやきが、日々量産されている。こんなことは、紙の時代には不可能だった。

こうして、ネットによって情報発信が容易になったことで、たくさんの人間の思考や感情が解き放たれ、「可視化」されつつある。これが、いまの世界だと思う。

つまり、ネットによって可視化されたものは、人間なのだ。ネットは、人間というものの賢さと愚かさ、強さと弱さ、優しさと残酷さ、美しさと醜さ、その真実の姿を、ものすごい規模で、可視化しつつある。これほど人間が可視化されたことは、かつて一度もなかった。


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