自民党新総裁に安倍晋三元首相
毎日新聞 - 自民総裁選:安倍晋三元首相が新総裁に(2012年09月26日 14時16分(最終更新 09月26日 22時45分))
http://mainichi.jp/select/news/20120926k0000e010218000c.html
自民党の総裁に選ばれ一礼する安倍晋三元首相=東京都千代田区の同党本部で2012年9月26日、西本勝撮影
<自民党総裁選は26日、安倍晋三元首相(58)が決選投票で石破茂前政調会長(55)を破り、第25代総裁に選出された。安倍氏の総裁就任は首相を務めた06〜07年以来5年ぶり。自民党の総裁経験者が返り咲くのは初めてだ。安倍氏は総裁選後の両院議員総会で「5年前に突然、首相を辞任し迷惑をかけた。責任をしっかりと胸に刻み、政権奪還に向けて全力を尽くしていく」と再び首相を目指すことへの理解を求めた。その後の記者会見では、石破氏を党の要職に起用する考えを示した>。
<総裁選は地方票(300票)と国会議員票(198票)の合計で争われた。都道府県連ごとに開票された党員・党友投票に基づく地方票は、石破氏が過半数の165票を獲得し、2位の安倍氏は87票にとどまった。国会議員の投開票は党本部で行われ、石原伸晃幹事長(55)が58票でトップに立ち、安倍氏が54票、石破氏が34票で続いた(棄権1)。合計で石破氏が199票で1位になったが、当選に必要な過半数に届かなかったため、141票で2位に入った安倍氏との決選投票となった>。
自民党総裁選は、安倍晋三元首相が勝利。地方票では石破茂前政調会長が有利だったが、国会議員票で安倍氏がリードし、2者の決選投票で安倍氏の勝利となったとのこと。
もし石破氏が選ばれていれば、フレッシュな印象にはなったと思うが、総理としての実績と経験、総合的な政策力、自民党をまとめる力などでは、おそらく安倍氏のほうが上だろう。石破氏も要職に起用され、安倍・石破体制になるようなので、これは自民党にとってベストな結果だったのではないか。
これで、次の総選挙で自民党が勝てば、安倍氏はふたたび総理になる。そこで気になるのは、安倍氏の政策である。
毎日新聞 - 安倍新総裁:経済政策 金融緩和、日銀に圧力(2012年09月26日 22時13分(最終更新 09月26日 23時02分))
http://mainichi.jp/select/news/20120927k0000m020100000c.html
自民党の新総裁に選ばれ、記者会見をする安倍晋三元首相=東京都千代田区の同党本部で2012年9月26日午後5時24分、西本勝撮影
<安倍晋三自民党総裁は、増税よりも経済成長を重視する「上げ潮派」の政治家として知られる。野田佳彦首相が進める消費増税についても、時期を慎重に見極める姿勢。政権交代が実現すれば、日銀への金融緩和圧力が強まり、国民負担の増大で財政健全化を急ぐ現政権の路線は見直される可能性が高い>。
<安倍氏は26日、総裁選出後の記者会見で「民主党にはない成長戦略でデフレを脱却する」と強調した。総裁選では「日本経済再生本部」を設置する考えを表明。自公政権時代の経済財政諮問会議などをモデルに経済政策の司令塔を置き、大胆な規制緩和を進める意向とみられている>。
<具体策でまず浮上しそうなのは、日銀への一層の金融緩和圧力だ。安倍氏は総裁選で「日銀と政策協調して大胆な金融緩和を行う」と強調。2〜3%の物価上昇率を達成し、円高を是正する考えを示しており、日銀の独立性を高めた現在の日銀法改正を材料に柔軟な政策運営を求めるとみられる>。
安倍氏の政策的なスタンスはもともと、小泉・竹中時代を引き継ぐ構造改革(規制緩和)路線だったので、<自公政権時代の経済財政諮問会議などをモデルに経済政策の司令塔を置き、大胆な規制緩和を進める意向>というのは自然であり、これは賛同できる。
しかし同時に、最近の安倍氏は日銀に圧力をかける金融緩和(リフレ)路線を強めているようで、これはあまり賛同できない。規制緩和と金融緩和の組み合わせは、みんなの党も同じだが、規制緩和のほうがむずかしいだけに、安易な金融緩和に流れてしまう可能性が小さくない。しかしこれだと、日本を停滞させている「構造」が変わらずに、カネの流動性だけが供給されることになるので、本質的な問題が解決しないまま、先送りされてしまいやすい。
さらに、記事にはこうある。
<消費増税を柱とする税と社会保障の一体改革でも現政権と温度差がある。安倍氏は民主、自民、公明の3党合意は維持する姿勢だが、「増税時期を間違えると景気の腰を折る。デフレが続いている間は上げるべきではない」と主張。06〜07年の首相在任中には、政府税制調査会長に消費増税論者の石弘光会長を再任させる財務省の打診を拒んだこともあり、経済状況次第では14年4月の増税先送りも現実味を帯びてくる。低所得者対策では、食品などの税率を下げる軽減税率導入に積極的で、慎重な現政権とは対照的だ>。
<自民党は、防災対策に10年間で200兆円を投じる「国土強靱(きょうじん)化計画」を発表し、安倍氏も「最初は公共投資で(経済を)引っ張っていく」と推進の立場だ。財務省などには「歳出拡大圧力が高まるのでは」という警戒感がある>。
増税をやめて、200兆円のバラマキをするというのだ。こういう無節操なバラマキ路線が、この記事にもあるように、しばしば<経済成長を重視>などと呼ばれるのは、私はいつも違和感がある。バラマキは税金の無駄遣いでしかない。
次の総選挙で自民党が勝って、安倍氏が総理になったあかつきには、ぜひ規制緩和によって、日本に真の成長力を取り戻すほうを優先してもらいたい。
安倍氏は、維新の会の代表にと声がかかったとウワサされるほど、橋下氏とも近いようだ。次の総選挙では、民主党が大敗し、自民党と日本維新の会が議席を伸ばすと思われるので、その点でも、安倍氏が総裁に選ばれたことの意味は大きいだろう。
関連:
ウィキペディア - 安倍晋三
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89..
関連エントリ:
大阪維新の会「維新八策」 経済政策・雇用政策・税制について
http://mojix.org/2012/09/08/ishin-hassaku-keizai
日本経済の「実力」と「自信」をどう見るか 構造改革派と金融緩和派の違い
http://mojix.org/2011/02/20/jitsuryoku-jishin
なぜリフレ政策より構造改革が重要なのか 日本に足りないのはカネではなく成長力や投資機会である
http://mojix.org/2010/04/08/kouzou_kaikaku
http://mainichi.jp/select/news/20120926k0000e010218000c.html
自民党の総裁に選ばれ一礼する安倍晋三元首相=東京都千代田区の同党本部で2012年9月26日、西本勝撮影
<自民党総裁選は26日、安倍晋三元首相(58)が決選投票で石破茂前政調会長(55)を破り、第25代総裁に選出された。安倍氏の総裁就任は首相を務めた06〜07年以来5年ぶり。自民党の総裁経験者が返り咲くのは初めてだ。安倍氏は総裁選後の両院議員総会で「5年前に突然、首相を辞任し迷惑をかけた。責任をしっかりと胸に刻み、政権奪還に向けて全力を尽くしていく」と再び首相を目指すことへの理解を求めた。その後の記者会見では、石破氏を党の要職に起用する考えを示した>。
<総裁選は地方票(300票)と国会議員票(198票)の合計で争われた。都道府県連ごとに開票された党員・党友投票に基づく地方票は、石破氏が過半数の165票を獲得し、2位の安倍氏は87票にとどまった。国会議員の投開票は党本部で行われ、石原伸晃幹事長(55)が58票でトップに立ち、安倍氏が54票、石破氏が34票で続いた(棄権1)。合計で石破氏が199票で1位になったが、当選に必要な過半数に届かなかったため、141票で2位に入った安倍氏との決選投票となった>。
自民党総裁選は、安倍晋三元首相が勝利。地方票では石破茂前政調会長が有利だったが、国会議員票で安倍氏がリードし、2者の決選投票で安倍氏の勝利となったとのこと。
もし石破氏が選ばれていれば、フレッシュな印象にはなったと思うが、総理としての実績と経験、総合的な政策力、自民党をまとめる力などでは、おそらく安倍氏のほうが上だろう。石破氏も要職に起用され、安倍・石破体制になるようなので、これは自民党にとってベストな結果だったのではないか。
これで、次の総選挙で自民党が勝てば、安倍氏はふたたび総理になる。そこで気になるのは、安倍氏の政策である。
毎日新聞 - 安倍新総裁:経済政策 金融緩和、日銀に圧力(2012年09月26日 22時13分(最終更新 09月26日 23時02分))
http://mainichi.jp/select/news/20120927k0000m020100000c.html
自民党の新総裁に選ばれ、記者会見をする安倍晋三元首相=東京都千代田区の同党本部で2012年9月26日午後5時24分、西本勝撮影
<安倍晋三自民党総裁は、増税よりも経済成長を重視する「上げ潮派」の政治家として知られる。野田佳彦首相が進める消費増税についても、時期を慎重に見極める姿勢。政権交代が実現すれば、日銀への金融緩和圧力が強まり、国民負担の増大で財政健全化を急ぐ現政権の路線は見直される可能性が高い>。
<安倍氏は26日、総裁選出後の記者会見で「民主党にはない成長戦略でデフレを脱却する」と強調した。総裁選では「日本経済再生本部」を設置する考えを表明。自公政権時代の経済財政諮問会議などをモデルに経済政策の司令塔を置き、大胆な規制緩和を進める意向とみられている>。
<具体策でまず浮上しそうなのは、日銀への一層の金融緩和圧力だ。安倍氏は総裁選で「日銀と政策協調して大胆な金融緩和を行う」と強調。2〜3%の物価上昇率を達成し、円高を是正する考えを示しており、日銀の独立性を高めた現在の日銀法改正を材料に柔軟な政策運営を求めるとみられる>。
安倍氏の政策的なスタンスはもともと、小泉・竹中時代を引き継ぐ構造改革(規制緩和)路線だったので、<自公政権時代の経済財政諮問会議などをモデルに経済政策の司令塔を置き、大胆な規制緩和を進める意向>というのは自然であり、これは賛同できる。
しかし同時に、最近の安倍氏は日銀に圧力をかける金融緩和(リフレ)路線を強めているようで、これはあまり賛同できない。規制緩和と金融緩和の組み合わせは、みんなの党も同じだが、規制緩和のほうがむずかしいだけに、安易な金融緩和に流れてしまう可能性が小さくない。しかしこれだと、日本を停滞させている「構造」が変わらずに、カネの流動性だけが供給されることになるので、本質的な問題が解決しないまま、先送りされてしまいやすい。
さらに、記事にはこうある。
<消費増税を柱とする税と社会保障の一体改革でも現政権と温度差がある。安倍氏は民主、自民、公明の3党合意は維持する姿勢だが、「増税時期を間違えると景気の腰を折る。デフレが続いている間は上げるべきではない」と主張。06〜07年の首相在任中には、政府税制調査会長に消費増税論者の石弘光会長を再任させる財務省の打診を拒んだこともあり、経済状況次第では14年4月の増税先送りも現実味を帯びてくる。低所得者対策では、食品などの税率を下げる軽減税率導入に積極的で、慎重な現政権とは対照的だ>。
<自民党は、防災対策に10年間で200兆円を投じる「国土強靱(きょうじん)化計画」を発表し、安倍氏も「最初は公共投資で(経済を)引っ張っていく」と推進の立場だ。財務省などには「歳出拡大圧力が高まるのでは」という警戒感がある>。
増税をやめて、200兆円のバラマキをするというのだ。こういう無節操なバラマキ路線が、この記事にもあるように、しばしば<経済成長を重視>などと呼ばれるのは、私はいつも違和感がある。バラマキは税金の無駄遣いでしかない。
次の総選挙で自民党が勝って、安倍氏が総理になったあかつきには、ぜひ規制緩和によって、日本に真の成長力を取り戻すほうを優先してもらいたい。
安倍氏は、維新の会の代表にと声がかかったとウワサされるほど、橋下氏とも近いようだ。次の総選挙では、民主党が大敗し、自民党と日本維新の会が議席を伸ばすと思われるので、その点でも、安倍氏が総裁に選ばれたことの意味は大きいだろう。
関連:
ウィキペディア - 安倍晋三
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89..
関連エントリ:
大阪維新の会「維新八策」 経済政策・雇用政策・税制について
http://mojix.org/2012/09/08/ishin-hassaku-keizai
日本経済の「実力」と「自信」をどう見るか 構造改革派と金融緩和派の違い
http://mojix.org/2011/02/20/jitsuryoku-jishin
なぜリフレ政策より構造改革が重要なのか 日本に足りないのはカネではなく成長力や投資機会である
http://mojix.org/2010/04/08/kouzou_kaikaku