2013.02.15
転職のしやすさと、解雇のしやすさは表裏一体
脱社畜ブログ - 「転職」はサイコロの振り直し
http://dennou-kurage.hatenablog.com/entry/2013/02/14/211422

<仮に今の職場が酷い職場で、サイコロの出目で言うと「2」くらいだったとする。これは耐えられないと思って転職を実行すると、確率的には「2」より大きい出目が出る場合のほうが多いのだが、運によってはまた同じ「2」とか、さらに低い「1」が出てしまうことがある>。

<自分の適性や社風・同僚との相性というものはどうしてもあるので、いくら事前にリサーチをしても、こういう結果になることはある。それ自体は仕方がない。こういう時は、またすぐにサイコロを振り直せればそれでよい。サイコロを何度も振っていれば、いずれ、「5」とか「6」の目が出て、自分にとって居心地のよい職場に落ち着くことができる。こんな風に「自分にあっている会社や職場」に何度も試行を繰り返すうちに各人が最適化されるような社会であれば、それはそんなに悪くない社会だと思う>。

<自分にあっている職を実際に何度か体験しながらさがす、といった行為は一般的には認められておらず、どんな職場だろうと入ったからには一定期間は勤められるような人でないと、「価値の低い人材」とみなされてしまう>。

<これでは気軽にサイコロを振り直すわけにはいかなくなる。早い段階でいい出目が出た人はいいけれど、悪い出目を何度か連続で出してしまった人は、状況をよくする手段が無くなって非常に困ったことになってしまう>。

<「転職を繰り返す人は、結局どこの会社だって落ち着くことはできない」という意見をよく聞くけど、どうしてこう言い切れるのだろうか。たまたま、自分にあっていない会社が数社続いたことが原因で、こういう評価をされてしまうのだとしたら、それはかなり乱暴なことだと思う。ジョブホッピング以外にも、履歴書に空白があるだけで門前払いを食らったりするなど、この国はその人の経歴を必要以上に気にしすぎている。「再チャレンジの可能な社会」とかいうキーワードがたまに出るけど、日本で再チャレンジするのは今のところものすごく難しい>。

<「転職」で、まともにサイコロの振り直しが何度でもできるような、そういう社会であって欲しいと思う>。

これはまったく同感。

ではなぜ、日本では転職がしにくかったり、転職の多い人や、履歴書の空白が嫌われたりするのだろうか。

その理由は、日本では解雇規制があるために、会社の側も解雇がしにくいからだ。解雇がしにくいから、採用がしにくい。採用がしにくいから、採用基準がきびしくなって、学歴や職歴で強い選別が起きる。女性や高齢者が採用されにくいのも同じ理由だ(関連:「終身雇用は採用時の属性差別を強める」)。

転職という「サイコロの振り直し」がむずかしいのは、会社の側も、解雇という「サイコロの振り直し」がむずかしいからだ。転職のしやすさと、解雇のしやすさは表裏一体である。転職をしやすくするには、解雇をしやすくする必要があるのだ。


関連エントリ:
「かんたんにクビにできる」ようにしたほうがうまくいく
http://mojix.org/2012/10/13/kantan-kubi
解雇規制をツイッターにたとえると、「いったんフォローした人は、リムーブできません」
http://mojix.org/2011/07/27/kaikokisei-twitter
失敗できない日本
http://mojix.org/2010/03/07/shippai_dekinai