2013.03.14
自動走行する1人乗りロボット「ロピッツ」 日立
朝日新聞デジタル - 1人乗り自動走行ロボット公開 端末で目的地指定 日立(2013年3月12日20時40分)
http://www.asahi.com/business/update/0312/TKY201303120401.html

<【田幸香純】日立製作所は12日、自動で目的地まで走る1人乗りロボット「ロピッツ」を報道陣に公開した。タブレット端末で自分がいる場所に呼び出せ、目的地を指定すると走行ルートを自動計算してくれる。お年寄りや体が不自由な人が近距離を移動するために開発したという>。


タブレット端末で自分がいる場所に呼び出せる1人乗りロボット「ロピッツ」=12日午前、茨城県つくば市、白井伸洋撮影

<電動で、高さ160センチ、幅70センチの自動車のような形。時速6キロで走る。車体前後にある四つのセンサーとカメラで路面状況や周囲を確認し、近づく歩行者を感知して自動的に止まるほか、約20センチの凹凸もバランスを崩さず安全に乗り越える。レバー操作でも動く>。


お年寄りや体が不自由な人の移動を助ける1人乗りロボット「ロピッツ」=12日午前、茨城県つくば市、白井伸洋撮影

<実証実験の特区に認められた茨城県つくば市では歩道を走らせる。指示した位置と実際の到着地点の誤差は1メートルしかないという。年内につくば市民に実際に使ってもらい、さらに開発を進める>。

「ロピッツ」は、いわゆる「超小型車」の大きさで、ロボット機能を組み込んだもののようだ。人が運転しなくても、勝手に自律走行できる。遠くにいる「ロピッツ」を、自分のところまで「呼び出せる」らしい。

日刊工業新聞社のロボットポータル「ロボナブル」に、より専門的な内容の記事が載っている。

ロボナブル - 日立、自己位置推定機能を強化した1人乗り移動支援ロボット公開(2013.03.13)
http://www.robonable.jp/news/2013/03/ropits-0313.html

<日立製作所は3月12日、携帯端末で指定した位置に自律走行できる1人乗り移動支援ロボット「ROPITS(ロピッツ)」(動画、写真)を開発したと発表した。タブレット端末などの地図上で任意の地点を指定すると、その位置まで自律走行することが可能。自律的に搭乗者を迎えに行ったり目的地まで移動したりすることができる。また、自己位置推定機能を高度化しており、茨城県つくば市の「モビリティロボット実験特区」での実証実験で、目的地に対し誤差1m以内で到着できたことを確認した。今後、ロボットの自律配送や物品の配送など、様々な移動サービスを想定した応用開発を進める>。

<日立搭乗型移動支援ロボットでは、車体上部に搭載したDifferential GPS(DGPS)と2台のレーザレンジファインダー(LRF)により自己位置推定をしながらの移動を可能にしていたが、今回、より高精度なGPSの採用と実際の環境形状を再現する地図生成機能などにより、自己位置推定をより高信頼にした>。


図 ROPITSのおもなシステム構成(左)と携帯端末の予約画面(右)

<また、引き続き車体前方にステレオカメラとLRF(ヘリカルスキャンにより3次元計測)を搭載しており(図左)、これらの計測情報を3次元の環境形状地図に融合することで歩行者や障害物に加え、路面の凹凸を検出することが可能。広い場所では速度を維持しながら障害物から離れたり、狭い場所ではその近くを減速して走行したり、さらには、歩行者が接近した場合には自動停止したりするといったスムーズな移動ができる。
 加えて、衝撃吸収のためのアクティブサスペンションと、車輪の上下位置を自在に制御できる駆動装置を搭載しており、安定走行を可能にしている>。

要するに、もともと持っている地図情報と、その場で計測した情報をあわせて、いろいろ判断しながら走る、といった仕組みのようだ。

ここに載っているYouTube動画で、「ロピッツ」が動いているところを見れる。

YouTube - 日立、一人乗り移動支援ロボ開発
http://www.youtube.com/watch?v=DBZFW1BYKKY



重さは約200キロ、最大速度は時速6キロとのこと。人間の歩行が時速4キロ程度なので、それよりちょっと速いくらい。



ステレオカメラと距離センサーで、人の接近を感知し、自動で回避するらしい。しかしこの動画を見る限り、ちょっと微妙な感じ(笑)。こういう「すれちがい」では、人間のほうでも判断してすばやく動くので、いくらロボットが高度に判断しても、衝突回避はなかなかむずかしいだろう。単純に止まってしまったほうが、わかりやすい気もする。あるいは、衝突してもいいように、スポンジをつける(笑)という手もある。

ロボットかどうかによらず、こういう「超小型車」の課題は、やはり道路だろう。クルマやロボットの技術開発は、日本が得意なところで、その意味ではむずかしくない。いっぽう、こういうものが道路を走れるようにするというのは、道路という「政治の問題」になる。政治の問題は、技術開発とは別の次元にあり、日本はこれがあまり得意ではない。

この「ロピッツ」は、つくば市の「つくばモビリティロボット実験特区」で実証実験をおこなったそうだ。こういう特区は、もっと増やすべきだろう。日本のネックになっているのは、技術よりもむしろ制度である。


関連エントリ:
2040年には75%が自動運転、免許さえ不要に
http://mojix.org/2012/09/22/ieee-autonomous-2040
「超小型車」とは何か
http://mojix.org/2012/07/31/choukogatasha