2009.03.04
ホリエモンはリバタリアンか?
YUCASEE MEDIA - ホリエモン独占インタビュー「僕が首相になっていたら」
http://media.yucasee.jp/posts/index/385?oa=ymn6033

ホリエモンが政治について語っているインタビュー。<ホリエモン流の列島改造論>とある、後半の政策提言がおもしろい。

基本的な方向としては「小さな政府」路線で、箇条書きで抜き出してみると、以下のような提言をしている。

・参議院を廃止して、定数を(全体の)3分の1くらいに
・官僚機構、天下り機構を全廃して、どんどん民営化
・警察も民営化してもいいんじゃないか
・消費税増税
・所得税減税
・法人税減税

ベーシックインカムについては、やや詳しく話している。

・ベーシックインカムによるセーフティーネット 1人、月5万円
・ベーシックインカムの財源は消費税20%+他の税金
・年金、生活保護、雇用のための(バラマキ的な)公共事業はいずれも廃止
・社会保険庁はなくす

法人税については、こう語っている。

<そう、外国企業もたくさん日本に来るように法人税を下げる。そうすれば、東京は圧倒的にシンガポールや香港よりも環境がいいから人や金が集まる。あんな香港みたいに暑くて飯もマズい国に無理している必要はないでしょ。東京の方が飯もウマいし、環境もいいし、女の子もカワイイし最高じゃないですか。当然、国際競争力で勝てると思いますよ>。

地方経済については、こう語っている。

<道州制を早期に導入する。そして権限をどんどん移譲していく。法律や税制も自分たちで独自に作ってもらえばいいんですよ。そうすれば東京一極集中も是正されるでしょう。地方は交付金で賄っている自治体が多いので、財源も渡すから、自助努力で後は勝手にやってくださいという感じになればいいと思いますね。東京一極集中自体が別に悪いことではないと思うけど、地方分権、地方分権と言われるのがうっとうしいので>。

すごい、ほとんど全部、私と同じ意見だ(笑)。これには驚いた。

ホリエモン、これはもうリバタリアンと言っていいんじゃないだろうか。警察まで民営化すべきという考え方は、リバタリアンの中でも最も先鋭的な、アナルコ・キャピタリスト(無政府資本主義者)に近い。

日本だと、左寄りの人はもちろん「大きな政府」論者だが、右寄りの人にも「大きな政府」論者が多くて、「小さな政府」論者は少数派だ。ここでホリエモンが提示している政策は、日本だと過激に見えるかもしれないが、それほど突飛なものではない。警察の民営化まで言う人はあまりいないかもしれないが、そのあたりを除けば、「小さな政府」論者がよく主張する定番といってもいい。日本でいえば、池田信夫氏や山崎元氏、大前研一氏などのスタンスと比較的近いと思う。

ホリエモンが総理大臣にふさわしいかどうかは別としても、こういう合理的な考え方の人が日本の総理大臣になったら、日本にも希望が持てそうだ。


関連エントリ:
リバタリアニズムを知るためのリンク集
http://mojix.org/2009/02/26/libertarianism_links
ベーシック・インカムで国民の生活を保障し、最低賃金廃止でグローバリゼーションにも勝つ
http://mojix.org/2009/01/12/basic_income_globalization
さまざまな「社会設計」の自治体が競争するメタ社会
http://mojix.org/2008/11/03/meta_society
大前研一による「道州制のビジネスモデル」
http://mojix.org/2008/06/23/ohmae_doushuusei