鳩山首相・小沢幹事長辞任 これで前原グループが主流化すれば、みんなの党との連立もありえるのでは
asahi.com - 鳩山首相が辞任、小沢幹事長も 4日に新代表選出へ(2010年6月2日11時29分)
http://www.asahi.com/politics/update/0602/TKY201006020114.html
最後のあいさつを終え、一礼する鳩山由紀夫首相。左端は民主党の小沢一郎幹事長=2日午前10時22分、国会内、川村直子撮影
<鳩山由紀夫首相は、2日午前に開かれた民主党の両院議員総会で辞任する意向を表明した。米軍普天間飛行場の移設問題で社民党の連立離脱を招いたこと、政治とカネの問題で民主党に迷惑をかけたことを理由として挙げた。首相は、民主党の小沢一郎幹事長にも辞任を促して了解を得たことを明らかにした。民主党は役員会で、4日に両院議員総会を開き、後継首相となる新代表を選ぶ方針を決めた。国会会期延長はせず、参院選は7月11日投開票となる方向だ。新代表が新幹事長を含む党人事を行い、首相就任後に組閣する運び。鳩山内閣は、8カ月あまりで幕となった>。
毎日jp - 鳩山首相辞任:「幹事長も辞職を」…小沢氏「わかった」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100602k0000e010035000c.html
民主党の両院議員総会を前に握手を交わす鳩山由紀夫首相(左)と小沢一郎幹事長=国会内で2010年6月2日午前9時57分、長谷川直亮撮影
<民主党の小沢一郎幹事長は2日午前、国会内で開かれた同党の常任幹事会で正式に辞意を表明、了承された。すべての執行部役員の辞任も決めた。鳩山由紀夫首相が退陣を表明したことを受け、党側にも責任があると判断した。今後は4日の党代表選と、代表選出後に行われる幹事長職をはじめとする党の新執行部人事の行方に焦点は移る>。
YOMIURI ONLINE - 鳩山首相が辞任を表明、小沢幹事長も辞任
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100602-OYT1T00331.htm
小沢幹事長(左)と握手する鳩山首相(2日午前9時57分、国会で)=鷹見安浩撮影
<鳩山由紀夫首相(63)は2日午前、国会内で開かれた緊急の民主党両院議員総会で、沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題を巡る迷走で社民党の連立政権離脱を招いたことや自らの資金管理団体を巡る「政治とカネ」の問題の責任を取り、退陣する意向を表明した。
民主党は緊急の役員会と常任幹事会を開き小沢幹事長を含む執行部が総退陣した。総退陣に先立ち、4日に両院議員総会で後継代表を選ぶことや、今国会の会期を延長しない方針を決めた。組閣は週明けとする見方が出ている。鳩山氏の後継選びは、菅直人副総理・財務相(63)らを軸に進む見通し。昨年9月に発足した鳩山連立政権は、8か月半で幕を閉じる>。
ついに鳩山首相辞任。これは大方の予想通りだろうが、なんと小沢幹事長も辞任した。
これで、「鳩山が辞めても、どうせ小沢が親玉なんだろう」というシニカルな見方ではなく、「民主党はほんとうに変わるのか?」というふうに、国民は身を乗り出してくる。参院選を控えた民主党の選挙対策という面が大きいにせよ、煮詰まっていた局面がこれで打開され、日本政治が一気に動き出した。
民主党の代表選は4日(金)にあるとのことだが、次期首相に誰を期待するかの読者投票を日経がやっており、途中経過を発表している。
日本経済新聞 - 「次期首相に」1位前原氏 菅・岡田氏続く、読者投票(2010/6/2 19:09)
http://www.nikkei.com/news/headline/article/..
<鳩山由紀夫首相が辞任を表明したのを受け、日本経済新聞 電子版(Web刊)が「次の首相にふさわしいのは誰?」と登録読者に聞いたところ、前原誠司国土交通相が最も多くの支持を集めていることがわかった>。
民主党の立場で考えても、日本国民の立場で考えても、私も前原氏が首相になるのがいちばんいいと思う。
菅氏では、イメージ的にも鳩山・小沢路線の継続という感じが強いし、実際の政策理念でも鳩山氏に比較的近い印象がある。
私が民主党の選挙参謀であれば、前原氏を首相にして、前原グループ(いわゆる「反小沢派」、公式には「非主流派」)を中心に内閣を固め、鳩山・小沢イメージを払拭するのがいちばんいい、と考えるだろう。
実際、鳩山政権でいちばん国民からウケがいいのが「事業仕分け」だ。これは枝野氏(前原グループ)や蓮舫氏(野田グループ)など反小沢系・前原氏寄りの人が目立っているうえに、かつプロジェクトの経緯から言っても、自民党改革派やみんなの党とも路線が近い「行革」である。前原氏の政策的ポジションは、民主党の中ではおそらくもっとも「小さな政府」「構造改革」に近い側に位置しており、自民党改革派(小泉元首相に近い人たち)やみんなの党と親和性が高い。
もし前原首相・前原内閣ということになれば、みんなの党との連立もありえるだろう。みんなの党の側も、鳩山・小沢のままでは連立はありえなかったが、前原路線であればきっと連立を考えると思う。
国民目線で見ても、みんなの党は他の新政党と違い、すでに総選挙による国民の審判を経ているし、支持も急浮上している。みんなの党が連立政権に入っても、国民からそれほど不満は出ないだろう。少なくとも、社民党や国民新党が政権入りしたのに比べれば、はるかに納得感がある。
自民党改革派については、自民党まるごとだとやや連立しにくいだろう。自民党支持率はさほど回復しているとは言えない上に、去年の総選挙でその自民党とガチンコバトルをやった民主党が「大連立」するのでは、国民から見たイメージも良くない。その意味では、自民党改革派はもっと早く自民党を出て新党を作っておけば、ほんとうに良かったのにと思う。今回の新内閣にはおそらく間に合わないが、もし前原民主党になれば、自民党改革派の人たちは独立するにせよ、前原民主党に入るにせよ、みんなの党に入るにせよ、前原民主党に近づくと思う。
結局、民主党が生き残るための選挙対策というのが起点だとしても、
・前原氏が首相になり、民主党で前原グループが主流化
・みんなの党、自民党改革派と手を組む
というシナリオが、わりと現実味を帯びてきたと思う。
つまり民主党にとって前原氏は、「民主党の自己改革」の旗振り役になれる立場なのだ。かつて小泉首相が「自民党をブッ壊す」という路線で国民からの支持を得て、自民党を延命させたように、前原氏が「(鳩山・小沢路線の)民主党をブッ壊す」というポジションに立つことで、国民からの支持を取り戻せるのだ。もともと前原グループは「反小沢派」なのだから、これは筋が通る話だろう。
もし民主党がこの方向に舵を切り、みんなの党との連立が実現すれば、総選挙を経ずに、一種の政界再編が起きることになる。
逆に、民主党が菅氏を選び、これまでの鳩山・小沢路線の延長というイメージを脱却できなければ、参院選での大敗は避けられないだろう。衆議院も解散してダブル選にしたとしても同じことで、むしろ政権を失う可能性がある。
けっきょく国民が「ノー」を突きつけてきたのは主に、鳩山・小沢のツートップと、国民新党の亀井氏をあわせた3氏なのだ。国民は政権に不満があるにしても、主にこの3氏に対してであり、民主党全体が否定されているわけではないと思う。
いま政権を持っている民主党が、この3人を切ってイメージを刷新し(あとは亀井氏だけだ)、前原氏を中心とする新体制を確立できれば、国民は民主党をもういちど信じてみようと思うのではないか。
いっぽう、民主党が菅氏を選び、これまでとあまり変わりばえしない政権であれば、参院選で民主党は大敗して、みんなの党が大きく浮上することになるだろう。どのみち、ここでみんなの党との連立という話が出てくるだろうから、わざわざ大敗する前に、みんなの党との連立を考えるほうが賢い。
あるいは、民主党が前原氏を首相に選び、しかしみんなの党との連立はしない(できない)、という可能性もある。この場合は、前原民主党とみんなの党が参院選で「いい勝負」になるかもしれない。こうなると、政策競争で切磋琢磨するという意味ではいいが、選挙的にはお互い苦しくなるので、互いに連立を模索するだろう。よって、前原民主党になれば、きっと連立まで進むと思う。連立なしで総選挙もなし(参院選のみ)ということになると、国会運営も苦しいし、国民からの支持もきっと低迷したままになるので、この路線はあまりなさそうに思う。
まとめると、私が有力だと思うシナリオは次の2つだ。
シナリオ1:菅氏が首相。参院選のみ、ダブル選いずれにしても民主党大敗。
シナリオ2:前原氏が首相。みんなの党との連立。前原効果で参院選そこそこ、ダブル選は不要に。
可能性が高いのはシナリオ1だろうが、私がいいと思うのはシナリオ2だ。これに似た筋書きについては、以前書いたことがある。
民主党の非小沢系、みんなの党、自民党の改革派が「行政改革」で結集するのが日本政治のベストシナリオだ
http://mojix.org/2010/05/13/gyoukaku_scenario
<国民は鳩山・小沢コンビに早く辞めてほしいと思っており、これだけ支持率が下がっているのに、2人とも辞めようとしない。民主党内ですら、この2人に辞めて欲しいと内心思っている人は少なくないはずだ。参院選にタレントやスポーツ選手を担ぎだすなど迷走を深めていく党の方針も、まともな議員であれば疑問を持たないはずがない>。
<だとすれば、民主党から前原グループなど非小沢系が一気に離脱して、「行政改革」では一致するみんなの党と組めば、かなりの勢力になりうる。ここに自民党の改革派も加われば、最強勢力になるかもしれない。単に数の上で多くなるという意味ではなく、「行政改革」という政策の方向性で一致しうるので、説得力があり、国民に支持されやすいという意味だ>。
<この勢力は、小沢的なドブ板選挙主義とも手を切れるし、労組や郵政などの支持基盤に遠慮して既得権益を保護するゴマカシ政治をする必要もない。真に日本をよくするための「政策」に集中して、行政改革を断行できるだろう。「行政改革」という直球のメッセージを国民に投げれば、かつての小泉政権くらいの高い支持を得られると思う>。
これに近い話が、鳩山・小沢の辞任で一気に現実化してきたのがいまの状況だと思う。ただし、これを書いた時点(5/13)では、参院選前に鳩山・小沢が辞めることは想定していなかったし、民主党内で前原グループが主流になることも想定していなかった(もちろん、現時点でも前原グループはまだ主流ではない)。
4日の民主党代表選、そして新内閣はどうなるのか。日本政治は一気に動き始め、目が離せなくなった。この状況を生み出したのは、鳩山・小沢体制へ「ノー」を突きつけ、みんなの党を支持しはじめた国民だと思う。日本政治は混沌としながらも、間違いなく「国民が動かすもの」になりつつある。
関連エントリ:
民主党の非小沢系、みんなの党、自民党の改革派が「行政改革」で結集するのが日本政治のベストシナリオだ
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仙谷由人戦略相「衆参ダブル選あり得る」 これこそ国民目線ではないか
http://mojix.org/2010/04/19/sengoku_double
日本は再び「大きな政府」路線へ 鳩山「未体験ゾーン」内閣
http://mojix.org/2009/09/17/hatoyama_mitaiken
http://www.asahi.com/politics/update/0602/TKY201006020114.html
最後のあいさつを終え、一礼する鳩山由紀夫首相。左端は民主党の小沢一郎幹事長=2日午前10時22分、国会内、川村直子撮影
<鳩山由紀夫首相は、2日午前に開かれた民主党の両院議員総会で辞任する意向を表明した。米軍普天間飛行場の移設問題で社民党の連立離脱を招いたこと、政治とカネの問題で民主党に迷惑をかけたことを理由として挙げた。首相は、民主党の小沢一郎幹事長にも辞任を促して了解を得たことを明らかにした。民主党は役員会で、4日に両院議員総会を開き、後継首相となる新代表を選ぶ方針を決めた。国会会期延長はせず、参院選は7月11日投開票となる方向だ。新代表が新幹事長を含む党人事を行い、首相就任後に組閣する運び。鳩山内閣は、8カ月あまりで幕となった>。
毎日jp - 鳩山首相辞任:「幹事長も辞職を」…小沢氏「わかった」
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100602k0000e010035000c.html
民主党の両院議員総会を前に握手を交わす鳩山由紀夫首相(左)と小沢一郎幹事長=国会内で2010年6月2日午前9時57分、長谷川直亮撮影
<民主党の小沢一郎幹事長は2日午前、国会内で開かれた同党の常任幹事会で正式に辞意を表明、了承された。すべての執行部役員の辞任も決めた。鳩山由紀夫首相が退陣を表明したことを受け、党側にも責任があると判断した。今後は4日の党代表選と、代表選出後に行われる幹事長職をはじめとする党の新執行部人事の行方に焦点は移る>。
YOMIURI ONLINE - 鳩山首相が辞任を表明、小沢幹事長も辞任
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100602-OYT1T00331.htm
小沢幹事長(左)と握手する鳩山首相(2日午前9時57分、国会で)=鷹見安浩撮影
<鳩山由紀夫首相(63)は2日午前、国会内で開かれた緊急の民主党両院議員総会で、沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題を巡る迷走で社民党の連立政権離脱を招いたことや自らの資金管理団体を巡る「政治とカネ」の問題の責任を取り、退陣する意向を表明した。
民主党は緊急の役員会と常任幹事会を開き小沢幹事長を含む執行部が総退陣した。総退陣に先立ち、4日に両院議員総会で後継代表を選ぶことや、今国会の会期を延長しない方針を決めた。組閣は週明けとする見方が出ている。鳩山氏の後継選びは、菅直人副総理・財務相(63)らを軸に進む見通し。昨年9月に発足した鳩山連立政権は、8か月半で幕を閉じる>。
ついに鳩山首相辞任。これは大方の予想通りだろうが、なんと小沢幹事長も辞任した。
これで、「鳩山が辞めても、どうせ小沢が親玉なんだろう」というシニカルな見方ではなく、「民主党はほんとうに変わるのか?」というふうに、国民は身を乗り出してくる。参院選を控えた民主党の選挙対策という面が大きいにせよ、煮詰まっていた局面がこれで打開され、日本政治が一気に動き出した。
民主党の代表選は4日(金)にあるとのことだが、次期首相に誰を期待するかの読者投票を日経がやっており、途中経過を発表している。
日本経済新聞 - 「次期首相に」1位前原氏 菅・岡田氏続く、読者投票(2010/6/2 19:09)
http://www.nikkei.com/news/headline/article/..
<鳩山由紀夫首相が辞任を表明したのを受け、日本経済新聞 電子版(Web刊)が「次の首相にふさわしいのは誰?」と登録読者に聞いたところ、前原誠司国土交通相が最も多くの支持を集めていることがわかった>。
民主党の立場で考えても、日本国民の立場で考えても、私も前原氏が首相になるのがいちばんいいと思う。
菅氏では、イメージ的にも鳩山・小沢路線の継続という感じが強いし、実際の政策理念でも鳩山氏に比較的近い印象がある。
私が民主党の選挙参謀であれば、前原氏を首相にして、前原グループ(いわゆる「反小沢派」、公式には「非主流派」)を中心に内閣を固め、鳩山・小沢イメージを払拭するのがいちばんいい、と考えるだろう。
実際、鳩山政権でいちばん国民からウケがいいのが「事業仕分け」だ。これは枝野氏(前原グループ)や蓮舫氏(野田グループ)など反小沢系・前原氏寄りの人が目立っているうえに、かつプロジェクトの経緯から言っても、自民党改革派やみんなの党とも路線が近い「行革」である。前原氏の政策的ポジションは、民主党の中ではおそらくもっとも「小さな政府」「構造改革」に近い側に位置しており、自民党改革派(小泉元首相に近い人たち)やみんなの党と親和性が高い。
もし前原首相・前原内閣ということになれば、みんなの党との連立もありえるだろう。みんなの党の側も、鳩山・小沢のままでは連立はありえなかったが、前原路線であればきっと連立を考えると思う。
国民目線で見ても、みんなの党は他の新政党と違い、すでに総選挙による国民の審判を経ているし、支持も急浮上している。みんなの党が連立政権に入っても、国民からそれほど不満は出ないだろう。少なくとも、社民党や国民新党が政権入りしたのに比べれば、はるかに納得感がある。
自民党改革派については、自民党まるごとだとやや連立しにくいだろう。自民党支持率はさほど回復しているとは言えない上に、去年の総選挙でその自民党とガチンコバトルをやった民主党が「大連立」するのでは、国民から見たイメージも良くない。その意味では、自民党改革派はもっと早く自民党を出て新党を作っておけば、ほんとうに良かったのにと思う。今回の新内閣にはおそらく間に合わないが、もし前原民主党になれば、自民党改革派の人たちは独立するにせよ、前原民主党に入るにせよ、みんなの党に入るにせよ、前原民主党に近づくと思う。
結局、民主党が生き残るための選挙対策というのが起点だとしても、
・前原氏が首相になり、民主党で前原グループが主流化
・みんなの党、自民党改革派と手を組む
というシナリオが、わりと現実味を帯びてきたと思う。
つまり民主党にとって前原氏は、「民主党の自己改革」の旗振り役になれる立場なのだ。かつて小泉首相が「自民党をブッ壊す」という路線で国民からの支持を得て、自民党を延命させたように、前原氏が「(鳩山・小沢路線の)民主党をブッ壊す」というポジションに立つことで、国民からの支持を取り戻せるのだ。もともと前原グループは「反小沢派」なのだから、これは筋が通る話だろう。
もし民主党がこの方向に舵を切り、みんなの党との連立が実現すれば、総選挙を経ずに、一種の政界再編が起きることになる。
逆に、民主党が菅氏を選び、これまでの鳩山・小沢路線の延長というイメージを脱却できなければ、参院選での大敗は避けられないだろう。衆議院も解散してダブル選にしたとしても同じことで、むしろ政権を失う可能性がある。
けっきょく国民が「ノー」を突きつけてきたのは主に、鳩山・小沢のツートップと、国民新党の亀井氏をあわせた3氏なのだ。国民は政権に不満があるにしても、主にこの3氏に対してであり、民主党全体が否定されているわけではないと思う。
いま政権を持っている民主党が、この3人を切ってイメージを刷新し(あとは亀井氏だけだ)、前原氏を中心とする新体制を確立できれば、国民は民主党をもういちど信じてみようと思うのではないか。
いっぽう、民主党が菅氏を選び、これまでとあまり変わりばえしない政権であれば、参院選で民主党は大敗して、みんなの党が大きく浮上することになるだろう。どのみち、ここでみんなの党との連立という話が出てくるだろうから、わざわざ大敗する前に、みんなの党との連立を考えるほうが賢い。
あるいは、民主党が前原氏を首相に選び、しかしみんなの党との連立はしない(できない)、という可能性もある。この場合は、前原民主党とみんなの党が参院選で「いい勝負」になるかもしれない。こうなると、政策競争で切磋琢磨するという意味ではいいが、選挙的にはお互い苦しくなるので、互いに連立を模索するだろう。よって、前原民主党になれば、きっと連立まで進むと思う。連立なしで総選挙もなし(参院選のみ)ということになると、国会運営も苦しいし、国民からの支持もきっと低迷したままになるので、この路線はあまりなさそうに思う。
まとめると、私が有力だと思うシナリオは次の2つだ。
シナリオ1:菅氏が首相。参院選のみ、ダブル選いずれにしても民主党大敗。
シナリオ2:前原氏が首相。みんなの党との連立。前原効果で参院選そこそこ、ダブル選は不要に。
可能性が高いのはシナリオ1だろうが、私がいいと思うのはシナリオ2だ。これに似た筋書きについては、以前書いたことがある。
民主党の非小沢系、みんなの党、自民党の改革派が「行政改革」で結集するのが日本政治のベストシナリオだ
http://mojix.org/2010/05/13/gyoukaku_scenario
<国民は鳩山・小沢コンビに早く辞めてほしいと思っており、これだけ支持率が下がっているのに、2人とも辞めようとしない。民主党内ですら、この2人に辞めて欲しいと内心思っている人は少なくないはずだ。参院選にタレントやスポーツ選手を担ぎだすなど迷走を深めていく党の方針も、まともな議員であれば疑問を持たないはずがない>。
<だとすれば、民主党から前原グループなど非小沢系が一気に離脱して、「行政改革」では一致するみんなの党と組めば、かなりの勢力になりうる。ここに自民党の改革派も加われば、最強勢力になるかもしれない。単に数の上で多くなるという意味ではなく、「行政改革」という政策の方向性で一致しうるので、説得力があり、国民に支持されやすいという意味だ>。
<この勢力は、小沢的なドブ板選挙主義とも手を切れるし、労組や郵政などの支持基盤に遠慮して既得権益を保護するゴマカシ政治をする必要もない。真に日本をよくするための「政策」に集中して、行政改革を断行できるだろう。「行政改革」という直球のメッセージを国民に投げれば、かつての小泉政権くらいの高い支持を得られると思う>。
これに近い話が、鳩山・小沢の辞任で一気に現実化してきたのがいまの状況だと思う。ただし、これを書いた時点(5/13)では、参院選前に鳩山・小沢が辞めることは想定していなかったし、民主党内で前原グループが主流になることも想定していなかった(もちろん、現時点でも前原グループはまだ主流ではない)。
4日の民主党代表選、そして新内閣はどうなるのか。日本政治は一気に動き始め、目が離せなくなった。この状況を生み出したのは、鳩山・小沢体制へ「ノー」を突きつけ、みんなの党を支持しはじめた国民だと思う。日本政治は混沌としながらも、間違いなく「国民が動かすもの」になりつつある。
関連エントリ:
民主党の非小沢系、みんなの党、自民党の改革派が「行政改革」で結集するのが日本政治のベストシナリオだ
http://mojix.org/2010/05/13/gyoukaku_scenario
仙谷由人戦略相「衆参ダブル選あり得る」 これこそ国民目線ではないか
http://mojix.org/2010/04/19/sengoku_double
日本は再び「大きな政府」路線へ 鳩山「未体験ゾーン」内閣
http://mojix.org/2009/09/17/hatoyama_mitaiken