2009.07.22
若者はネットで日本の政治を変えられる
JBpress - 4000万円も損している日本の若者たち
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1433

日本の若者はあまり投票に行かないため、政治家は投票率の高い高齢者の意思ばかり尊重してしまう、だから若者はもっと投票に行くべきだ、という趣旨の記事。

内容にはおおむね賛成できるし、若者がもっと投票に行くべきというのもその通りだろう。しかし、これほどマトモな政党がない状態、「選びようがない」状態から始めて、「投票に行くことで政治を変える」というのは、長すぎる道のりであるようにも思う。

投票すること自体ももちろん重要なのだが、その前提として、

(前提A) 投票に値する選択肢があること
(前提B) 投票者が政治を判断する力があること

の2つが必要だと思う。これがないと、「ダメな国民が、ダメな政治を選ぶ」ことになってしまう。いまの日本の状況は、これに近いところがある。

(前提A)と(前提B)に共通して言えるのは、「与えられた政治から選ぶ」のではなく、「政治そのものをつくる」姿勢だ。

これまでの日本には、「政治は自分と関係ない」「政治は興味ない」「政治のことは話したくない」といった「空気」があったと思う。これを、「政治は自分と関係がある」「政治は面白い」「政治のことを話したい」という「空気」に変えていく必要がある。

日本の政治を変えるには、具体的には次の3つが必要だと私は考えている。

(1) いい政治家を新たに育てる
(2) いまの政治家にいい政策を実行してもらう
(3) 国民の政治に対する意識、理解を高める

この3つを実行するために、若者は大きな武器をもっている。それはネットだ。

「ペンは剣より強し」と言われるように、言論の力はすべてに勝る。言論は昔からあったが、いまほど一般人が「発信力」を持つに至ったのは、人類の歴史でも初めてのことだ。

投票率では高齢者に負けていても、「ネット率」では若者が圧倒的に勝るだろう。その若者が、いっせいに政治について発言しはじめれば、すごいことが起きる。特に政治に詳しくなくても、自分なりに一生懸命考えて書いた意見は、読む人の心にかならず届く。

もちろん、政治についての立場・見方は人によってさまざまなので、読む人に反発を感じさせることも少なくないだろう。その意味では、政治について書くことは「勇気がいる」ものだ。しかしそれでも、罵倒や悪口ではなく、前向きな姿勢で自分の考えを真剣に書けば、その思いと勇気は必ず伝わる。

まったく同じ考えの人など存在しない。考えが違うことは「前提」だ。だから、考えが違うことを怖れるのではなく、自分の考えを率直に出そう。それによって、対話や議論が「回りはじめる」。

ネット上で議論が起きれば、より多くの人がそれに注目して、そこから知識を得たり、新たに問題意識を持ったりする。こういうことの繰り返しで、政治に対する見方や考えが鍛えられていく。

こうして政治についての考えを発信し、また受容することを続けていけば、上の(1)~(3)は自然に進んでいくと思う。これによって、最初の(前提A)と(前提B)がだんだん満たされるようになり、日本の政治に変革が起きる。


関連:
日本の政治:最期を迎える自民党
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1432
Economist誌の素晴らしい記事。なぜ日本国民が「お上」依存型になってしまったかがよくわかる。

関連エントリ:
日本をダメにしたのは誰か
http://mojix.org/2009/05/15/nihon_dame
国民が政治を育てる
http://mojix.org/2009/05/05/kokumin_seiji
「若者が天下国家を論じる時代」が戻ってきた
http://mojix.org/2009/03/12/wakamono_tenkakokka
パブリック空間が開放され、マスメディアの危機が訪れている
http://mojix.org/2005/10/31/233644