「自民は不満、民主は不安」 一時的なバラマキではなく、真の経済成長をもたらす規制改革を
Meine Sache ~マイネ・ザッヘ~ - 拷問選挙と世界と日本
http://meinesache.seesaa.net/article/126212619.html
<自民と民主、どちらもゴミなら、少なくともごっそり人員刷新される民主の方がましなのかもしれません。でもこういう発言を聞くと、とてもじゃないけれど投票用紙に民主とは書けません。もうこれは拷問です>。
これは、次のニュースを受けてのもの。
YOMIURI ONLINE - 小泉さん「よほどのことない限り政権交代」
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin2009/news2/20090820-OYT1T00072.htm
<民主党の菅代表代行はこの日、小泉氏の側近だった中川秀直・元自民党幹事長のおひざ元、広島県 東広島市に乗り込み、「資本主義の暴走を許す小泉改革路線は大きな間違いだった」と声を張り上げた>。
確かにこれはひどい。民間人やマスコミならともかく、政権を取りそうな党の代表代行が「資本主義の暴走を許す小泉改革路線は大きな間違いだった」と言っているというのは、もはや恐怖である。これは郵政の再国有化や、労働規制の強化といった民主党の政策とも一致しているので、決して「失言」ではなく、「本気」なのだろう。
池田信夫 blog - 鳩山氏の攻撃する間違った敵
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/9c36b54c3df3aa4088c221de5a1039a8
<鳩山氏が小泉氏を非難するのは、お門違いである。「失われた20年」をまねいたのは自民党の古臭い経済政策であり、小泉政権はそれを変えたのだ。格差が拡大したのも90年代からであり、「小泉改革の負の側面」などというのは無内容な決まり文句だ。成長率も株価も、小泉政権の2003年を大底にして回復した。その後の政権の「古い自民党」への回帰とともに成長率は低下し、度重なる「景気対策」は財政破綻の不安を増した。小泉氏の改革は政治家には不人気だが、国民はいまだに彼を高く評価している。自民党の集票基盤だった郵便局や土建業への税金投入を減らし、自民党を「ぶっ壊した」小泉氏は、民主党の恩人なのである>。
池田氏の言う通りだろう。小泉改革は、国民に支持されただけでなく、世界的にも評価が高い。それは「構造改革(規制緩和)は効率を高める」ということが、経済学的にも明らかだからだ(参考:八田達夫氏の解説)。アメリカの民主党やイギリスの労働党などの中道左派であっても、あるいは北欧のフレキシキュリティなどでも、それは前提になっているように思える(例:「仕事を守るのではなく、人を守るべき」というアンソニー・ギデンズの見解)。これに対して、「資本主義の暴走を許す小泉改革路線は大きな間違い」というのは、まるで資本家を敵視する労働組合のような見方であり、「オールド・レイバー」的だ。民主党は支持基盤からいっても労働組合寄りなので、それはわからなくもないが、こんなに「反市場バイアス」が強い党が政権を取って大丈夫なんだろうか。
いまの自民党はたしかにひどいが、なぜひどくなったかというと、まさに「小泉改革路線」を否定し、「古い自民党」に逆戻りしてしまったからだ。だから「小泉改革路線は大きな間違いだった」という見方は、むしろいまの自民党に近いのだ。自民と民主は一見対立しているように見えるが、「真の経済成長につながる構造改革・規制緩和を拒否し、財政を悪化させる一時的なバラマキばかり」という意味では、あまり変わらないのであって、そこに真の「対立軸」はない。
「みんなの党」の言うとおり、まさに「自民は不満、民主は不安」というのが、国民の平均的な心情ではないだろうか。真の「対立軸」がなく、どっちもひどい。これで「政権選択」をしろというのは、たしかに「拷問」だろう。
もし民主党が、「小泉改革は不十分なところもあったが、基本的な方向は正しかった。われわれはその改革の良い点は受けつぎながら、より徹底した改革をおこなう。官僚依存を脱する改革は、自民党にはできない」といったふうに言えば、むやみに否定するより説得力があるし、同時にいまの自民党も否定できる。これはかつてブレアが「ニュー・レイバー」で打ち出した、「第三の道」に近い路線である。これならば、2005年に小泉自民党に票を入れた無党派層をまるごと持っていけるだろうし、世界に不安を与えることもないだろう。なぜこういうふうにならずに、小泉改革をむやみに否定する労働組合的な見方、「オールド・レイバー」路線になってしまうのか。いまの世界基準でいうと、この路線はもはや中道左派というより、共産党に近いと感じる。
いまの民主党は、自民党が攻撃しているような政策の「ブレ」という以前に、根本的なレベルで政策に矛盾がある(「民主党は「小さな政府」で「規制強化」?」)。経済成長につながる規制改革を進めたいのか、逆行させたいのか。「小泉改革路線」を否定することは、規制改革を逆行させるという宣言にしか聞こえない。それでは麻生首相と同じではないか。
国民は一時的なバラマキではなく、真の経済成長をもたらす規制改革を求めていると思う。自民も民主もそこをわかっておらず、「バラマキで票を買う」という古くさい政治手法を使っている。
関連:
アゴラ - 労働市場の問題を階級対立にするな - 池田信夫
http://agora-web.jp/archives/726067.html
関連エントリ:
八田達夫『ミクロ経済学』 終章「効率化政策と格差是正政策の両立」
http://mojix.org/2009/08/16/hatta_micro_kouritsu
「みんなの党」のマニフェストには「同一労働同一賃金」や「負の所得税」もある
http://mojix.org/2009/08/11/your_party_manifest
民主党は「小さな政府」で「規制強化」?
http://mojix.org/2009/08/02/smallgov_kisei
http://meinesache.seesaa.net/article/126212619.html
<自民と民主、どちらもゴミなら、少なくともごっそり人員刷新される民主の方がましなのかもしれません。でもこういう発言を聞くと、とてもじゃないけれど投票用紙に民主とは書けません。もうこれは拷問です>。
これは、次のニュースを受けてのもの。
YOMIURI ONLINE - 小泉さん「よほどのことない限り政権交代」
http://www.yomiuri.co.jp/election/shugiin2009/news2/20090820-OYT1T00072.htm
<民主党の菅代表代行はこの日、小泉氏の側近だった中川秀直・元自民党幹事長のおひざ元、広島県 東広島市に乗り込み、「資本主義の暴走を許す小泉改革路線は大きな間違いだった」と声を張り上げた>。
確かにこれはひどい。民間人やマスコミならともかく、政権を取りそうな党の代表代行が「資本主義の暴走を許す小泉改革路線は大きな間違いだった」と言っているというのは、もはや恐怖である。これは郵政の再国有化や、労働規制の強化といった民主党の政策とも一致しているので、決して「失言」ではなく、「本気」なのだろう。
池田信夫 blog - 鳩山氏の攻撃する間違った敵
http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/9c36b54c3df3aa4088c221de5a1039a8
<鳩山氏が小泉氏を非難するのは、お門違いである。「失われた20年」をまねいたのは自民党の古臭い経済政策であり、小泉政権はそれを変えたのだ。格差が拡大したのも90年代からであり、「小泉改革の負の側面」などというのは無内容な決まり文句だ。成長率も株価も、小泉政権の2003年を大底にして回復した。その後の政権の「古い自民党」への回帰とともに成長率は低下し、度重なる「景気対策」は財政破綻の不安を増した。小泉氏の改革は政治家には不人気だが、国民はいまだに彼を高く評価している。自民党の集票基盤だった郵便局や土建業への税金投入を減らし、自民党を「ぶっ壊した」小泉氏は、民主党の恩人なのである>。
池田氏の言う通りだろう。小泉改革は、国民に支持されただけでなく、世界的にも評価が高い。それは「構造改革(規制緩和)は効率を高める」ということが、経済学的にも明らかだからだ(参考:八田達夫氏の解説)。アメリカの民主党やイギリスの労働党などの中道左派であっても、あるいは北欧のフレキシキュリティなどでも、それは前提になっているように思える(例:「仕事を守るのではなく、人を守るべき」というアンソニー・ギデンズの見解)。これに対して、「資本主義の暴走を許す小泉改革路線は大きな間違い」というのは、まるで資本家を敵視する労働組合のような見方であり、「オールド・レイバー」的だ。民主党は支持基盤からいっても労働組合寄りなので、それはわからなくもないが、こんなに「反市場バイアス」が強い党が政権を取って大丈夫なんだろうか。
いまの自民党はたしかにひどいが、なぜひどくなったかというと、まさに「小泉改革路線」を否定し、「古い自民党」に逆戻りしてしまったからだ。だから「小泉改革路線は大きな間違いだった」という見方は、むしろいまの自民党に近いのだ。自民と民主は一見対立しているように見えるが、「真の経済成長につながる構造改革・規制緩和を拒否し、財政を悪化させる一時的なバラマキばかり」という意味では、あまり変わらないのであって、そこに真の「対立軸」はない。
「みんなの党」の言うとおり、まさに「自民は不満、民主は不安」というのが、国民の平均的な心情ではないだろうか。真の「対立軸」がなく、どっちもひどい。これで「政権選択」をしろというのは、たしかに「拷問」だろう。
もし民主党が、「小泉改革は不十分なところもあったが、基本的な方向は正しかった。われわれはその改革の良い点は受けつぎながら、より徹底した改革をおこなう。官僚依存を脱する改革は、自民党にはできない」といったふうに言えば、むやみに否定するより説得力があるし、同時にいまの自民党も否定できる。これはかつてブレアが「ニュー・レイバー」で打ち出した、「第三の道」に近い路線である。これならば、2005年に小泉自民党に票を入れた無党派層をまるごと持っていけるだろうし、世界に不安を与えることもないだろう。なぜこういうふうにならずに、小泉改革をむやみに否定する労働組合的な見方、「オールド・レイバー」路線になってしまうのか。いまの世界基準でいうと、この路線はもはや中道左派というより、共産党に近いと感じる。
いまの民主党は、自民党が攻撃しているような政策の「ブレ」という以前に、根本的なレベルで政策に矛盾がある(「民主党は「小さな政府」で「規制強化」?」)。経済成長につながる規制改革を進めたいのか、逆行させたいのか。「小泉改革路線」を否定することは、規制改革を逆行させるという宣言にしか聞こえない。それでは麻生首相と同じではないか。
国民は一時的なバラマキではなく、真の経済成長をもたらす規制改革を求めていると思う。自民も民主もそこをわかっておらず、「バラマキで票を買う」という古くさい政治手法を使っている。
関連:
アゴラ - 労働市場の問題を階級対立にするな - 池田信夫
http://agora-web.jp/archives/726067.html
関連エントリ:
八田達夫『ミクロ経済学』 終章「効率化政策と格差是正政策の両立」
http://mojix.org/2009/08/16/hatta_micro_kouritsu
「みんなの党」のマニフェストには「同一労働同一賃金」や「負の所得税」もある
http://mojix.org/2009/08/11/your_party_manifest
民主党は「小さな政府」で「規制強化」?
http://mojix.org/2009/08/02/smallgov_kisei