竹中平蔵「マスコミは「生産者と消費者」「供給者と需要者」を「強者と弱者」に置き換える」
現代ビジネス - 田原総一朗のニッポン大改革
田原総一朗×竹中平蔵対談VOL.2「首相公選制で日本のリーダーを改革せよ」
なぜ小泉純一郎に改革ができて、菅直人にはできないのか(2010年12月20日)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1762
田原総一朗氏と竹中平蔵氏の対談記事。マスコミについての、竹中氏の発言が鋭い。
<ただマスコミの論調として、生産者と消費者、供給者と需要者、これはあるんです。マスコミは必ずそれを強者と弱者に置き換えるんです>。
<大企業と政府が強者なんです。中小企業と消費者、家計が弱者だという。そんなことありません。中小企業だって強い中小企業はいっぱいあるし、大企業だってJALや百貨店は弱者じゃないですか、大きいけど。そこはすごくすり替えが行われてますね>。
<ハーバード大学にニーマン・ファンデーションという、たくさんのピューリッツァー賞を受賞したジャーナリストを育てたところがあって、そこのトップと話したときに一番感じたことは、彼は「スピリッツ・オブ・ジャーナリズム」って言うんですね。
「スピリッツ・オブ・ジャーナリズム」って何ですかって聞いたら、二つあるって言うんですね。一つは、権力から距離を置くこと。これは分かる。もう一つが重要なんです。大衆から距離を置くこと。大衆に媚びないこと。ところが日本はこの「スピリッツ・オブ・ジャーナリズム」がないんですよ。大衆に媚びるんです>。
まったくその通りだと思う。
マスコミが「強者と弱者」の図式を作り、大衆に媚びる。企業は強者だからいつも「ワルモノ」で、消費者は弱者だからいつも「正義」。日本は「消費者独裁国家」なのだ。
この図式を国民が信じこみ、企業は「ワルモノ」だから規制しろという声が強まる。政治がそれを追認して、規制が増え、新しい役所ができていく。
日本が「消費者独裁国家」であることは、予算と役所を増やしたい政府の人間にも都合がいい。「こんにゃくゼリー」騒動など、その典型である。
国の経済成長や雇用を生みだすのは企業なのに、こうしてマスコミ・消費者・政府が寄ってたかって、企業を「ワルモノ」扱いしつづける。だから日本は経済も成長しないし、雇用も出てこないのだ。
制度を作ったり、強制力を持っているのは政府だけなので、いちばん悪いのは基本的には政治である。しかし、この悪い政治が出てくる背景には、マスコミが「強者と弱者」の図式で国民を煽っているという構造がある。
それでも最近は、ネットが存在感を増してきて、マスコミの世論形成力が相対的に落ちてきている。きのうのエントリなどもそうだが、マスコミがいつもの「強者と弱者」図式を出してきても、ブログやツイッターなどで異論がたくさん出る。すぐに「ツッコミ」が入るわけだ。
最近はマスコミもネットを見ていて、ネットから話題を拾うことも少なくない。こういうこともあってか、マスコミの「偏向」は、以前よりはマシになってきているような気がする。ネットに出てくる意見の多様性や、さまざまな分野の専門家がネットに書いているのを見て、マスコミの「独善性」が薄れてきているのかもしれない。もちろん、マスコミの経営不振や、以前ほど「花形」の職業でなくなったというのもあるだろう。
竹中氏の紹介している「スピリッツ・オブ・ジャーナリズム」、権力にも大衆にも媚びないという姿勢は、マスコミよりもむしろネットに感じることが少なくない。高給取りのサラリーマンでは、特に転職がむずかしい日本の雇用環境においては、捨て身の独立心や気概など持ちようがないだろう。ネットの個人メディア・弱小メディアの場合、クビを心配したり、スポンサーを気にする必要もなく、思ったことを書ける。その結果、むしろ「スピリッツ・オブ・ジャーナリズム」に近づくのかもしれない。
関連エントリ:
マスメディアが「プロ」でネットが「素人」という図式は完全に崩れた 「個人メディア」のオピニオン形成力
http://mojix.org/2010/09/06/personal-media-opinion
日本は「消費者独裁国家」である
http://mojix.org/2010/03/14/shouhisha_dokusai
日本をダメにしたのは誰か
http://mojix.org/2009/05/15/nihon_dame
マスコミに対するブログの強み
http://mojix.org/2009/01/13/blog_strength
田原総一朗×竹中平蔵対談VOL.2「首相公選制で日本のリーダーを改革せよ」
なぜ小泉純一郎に改革ができて、菅直人にはできないのか(2010年12月20日)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1762
田原総一朗氏と竹中平蔵氏の対談記事。マスコミについての、竹中氏の発言が鋭い。
<ただマスコミの論調として、生産者と消費者、供給者と需要者、これはあるんです。マスコミは必ずそれを強者と弱者に置き換えるんです>。
<大企業と政府が強者なんです。中小企業と消費者、家計が弱者だという。そんなことありません。中小企業だって強い中小企業はいっぱいあるし、大企業だってJALや百貨店は弱者じゃないですか、大きいけど。そこはすごくすり替えが行われてますね>。
<ハーバード大学にニーマン・ファンデーションという、たくさんのピューリッツァー賞を受賞したジャーナリストを育てたところがあって、そこのトップと話したときに一番感じたことは、彼は「スピリッツ・オブ・ジャーナリズム」って言うんですね。
「スピリッツ・オブ・ジャーナリズム」って何ですかって聞いたら、二つあるって言うんですね。一つは、権力から距離を置くこと。これは分かる。もう一つが重要なんです。大衆から距離を置くこと。大衆に媚びないこと。ところが日本はこの「スピリッツ・オブ・ジャーナリズム」がないんですよ。大衆に媚びるんです>。
まったくその通りだと思う。
マスコミが「強者と弱者」の図式を作り、大衆に媚びる。企業は強者だからいつも「ワルモノ」で、消費者は弱者だからいつも「正義」。日本は「消費者独裁国家」なのだ。
この図式を国民が信じこみ、企業は「ワルモノ」だから規制しろという声が強まる。政治がそれを追認して、規制が増え、新しい役所ができていく。
日本が「消費者独裁国家」であることは、予算と役所を増やしたい政府の人間にも都合がいい。「こんにゃくゼリー」騒動など、その典型である。
国の経済成長や雇用を生みだすのは企業なのに、こうしてマスコミ・消費者・政府が寄ってたかって、企業を「ワルモノ」扱いしつづける。だから日本は経済も成長しないし、雇用も出てこないのだ。
制度を作ったり、強制力を持っているのは政府だけなので、いちばん悪いのは基本的には政治である。しかし、この悪い政治が出てくる背景には、マスコミが「強者と弱者」の図式で国民を煽っているという構造がある。
それでも最近は、ネットが存在感を増してきて、マスコミの世論形成力が相対的に落ちてきている。きのうのエントリなどもそうだが、マスコミがいつもの「強者と弱者」図式を出してきても、ブログやツイッターなどで異論がたくさん出る。すぐに「ツッコミ」が入るわけだ。
最近はマスコミもネットを見ていて、ネットから話題を拾うことも少なくない。こういうこともあってか、マスコミの「偏向」は、以前よりはマシになってきているような気がする。ネットに出てくる意見の多様性や、さまざまな分野の専門家がネットに書いているのを見て、マスコミの「独善性」が薄れてきているのかもしれない。もちろん、マスコミの経営不振や、以前ほど「花形」の職業でなくなったというのもあるだろう。
竹中氏の紹介している「スピリッツ・オブ・ジャーナリズム」、権力にも大衆にも媚びないという姿勢は、マスコミよりもむしろネットに感じることが少なくない。高給取りのサラリーマンでは、特に転職がむずかしい日本の雇用環境においては、捨て身の独立心や気概など持ちようがないだろう。ネットの個人メディア・弱小メディアの場合、クビを心配したり、スポンサーを気にする必要もなく、思ったことを書ける。その結果、むしろ「スピリッツ・オブ・ジャーナリズム」に近づくのかもしれない。
関連エントリ:
マスメディアが「プロ」でネットが「素人」という図式は完全に崩れた 「個人メディア」のオピニオン形成力
http://mojix.org/2010/09/06/personal-media-opinion
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http://mojix.org/2010/03/14/shouhisha_dokusai
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http://mojix.org/2009/05/15/nihon_dame
マスコミに対するブログの強み
http://mojix.org/2009/01/13/blog_strength