2011.06.27
ルールがおかしい場合、モラルを責めてもしょうがない
生活保護を受けたほうが、非正規雇用やフリーターで働くより割がいい、というのがしばしば話題になる。生活保護の水準が高すぎるわけだ。

これはその通りだろうが、だからといって、生活保護を受けている人を責めても仕方がない。生活保護を受けている人は何も悪くない。悪いのは現状のルールである。

ルールがおかしい場合、モラルを責めてもしょうがない。ルールを変える必要がある。日本では、ルールの不備がモラルの問題になってしまうことが少なくない

官僚叩きや公務員叩きも、この生活保護の話と似たところがある。官僚や公務員に問題があるならば、もっとちゃんと働くようにインセンティブを設計したり、ひどい場合にはクビにする必要がある。しかし、現状ではそのような仕組みになっていない。この仕組みをつくるのは政治家の役割であって、官僚や公務員は結局のところ、ただ雇われている勤め人にすぎない。

生活保護受給者や官僚・公務員は、現状の仕組みや枠組み、すなわちルールのなかで、合法的にふるまっているにすぎない。だから、これらの人たちのモラルを責めてもしょうがないのだ。ルールを変える必要がある。

ルールをつくるのは政治家であり、その政治家を選ぶのは国民である。まともなルールができてこないのは、まともな政治家が選ばれていないからであり、その責任は結局のところ国民にある。


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