中嶋謙互の 「ワールド・シンセサイザー」 構想
コミュニティ・エンジンの中嶋謙互氏が、CEDEC 2005でワールド・シンセサイザーについて発表したという。
Ringo's Weblog : CEDEC2005にて
http://www.ce-lab.net/ringo/archives/2005/08/31/index.html#a000084
「ワールド・シンセサイザー構想」のおまけ (PDF)
http://www.ce-lab.net/ringo/archives/cedec2005_wsynth.pdf
GAME Watch : コミュニティエンジン中嶋謙互氏が語る究極の環境シミュレータの展望
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20050830/cedec1.htm
Ringo's Weblog : ワールド・シンセサイザー
http://www.ce-lab.net/ja/ringo_2005.php#050107
<シンセサイズ(シンセシス)とは、何かすでにあるものを合成してあたらしいものを作りだすことだ。たとえば、楽器の「シンセサイザー」は、基本音波(サイン波など)をいろいろに合成して、面白い音を作りだす装置だ。ワールド・シンセサイザーは、物質保存則や拡散などの熱力学の法則、生物の遺伝のしくみ、時間の流れ、セルオートマトン空間、力学演算エンジン、スクリプトエンジン、3Dビジュアライザなどの基本要素をユーザーが自由に組みあわせて、新しい世界を作る装置のことだ。ワールド・シンセサイザーを使って、ユーザーは、音色を作ってもいいし、メロディを奏でてもいいし、複数人でアンサンブルしても面白いだろう>。
こんなぶっ飛んだ話をCEDEC2005でやったとは。
上記のGAME Watchのレポートはとても詳しく書かれていて、雰囲気が伝わってくる。
<中嶋氏は「シンセサイズ」という概念が、創作活動全般を包括できるものであることを示す>
<惑星サイズから微生物まで。氏の提示する「風景」は、環境シミュレータに求められる複雑度と情報量に果てしがないことを示す>
この「ワールド・シンセサイザー」構想は、
・デイヴィッド・ガランターの 「ミラーワールド」
・バックミンスター・フラーの 「ワールド・ゲーム」
・ルドルフ・カルナップ以降の(分析哲学の) 「可能世界意味論」
などに通じる話だと思う。これは私が大好きなテーマだ。
世界を自然言語ではなく物理シミュレーションで描写すれば、物理法則などの科学法則はパラメータに過ぎなくなる。そのパラメータをいじれば現実から遊離するが、その「世界」は現実世界とパラメータが違う以外、「現実世界と同じ要素でできている」。
これが分析哲学でいう「可能世界」であり、このときの「要素」が、広い意味での「言語」だ。現実世界を描写する物理法則も、数学という「言語」で記述されている。ここで数学という言語自体は、いかなる「現実」とも関係がない。
このときの「世界」と「言語」の関係において、「言語」をマルチメディア的に精緻化していくと、「ワールド・シンセサイザー」のようなものになる。
彼は先日、原爆を言葉ではなく、ゲームのように物理シミュレーションして残し、広めてはどうか、という趣旨のことを書いていた。
Ringo's Weblog : シミュレーターで戦争を記憶する
http://www.ce-lab.net/ringo/archives/2005/08/08/index.html#a000072
この話は、「ワールド・シンセサイザー」構想を具体的に理解する例になっていると思う。
けっきょく「言語」というものが、それによって現実を構成・描写できる「シンセサイザー」なのだ。言語という同じもので、ノンフィクションとフィクションを両方書けるのはそのためだ。
関連していそうなエントリ :
現実仮想空間
http://mojix.org/2004/02/20/073257
分類から検索へ - David Gelernterの「Lifestreams」
http://mojix.org/2004/07/04/224955
シリアス・ゲーム?
http://mojix.org/2003/12/10/192616
マシニマと「WAX」
http://mojix.org/2003/07/27/234231
gumonji (グモンジ) ベータ版
http://mojix.org/2004/03/09/211319
「ネット上に鉄道会社のビジネスモデルを構築する」--gumonji開発者に聞く
http://mojix.org/2004/09/04/001702
Ringo's Weblog : CEDEC2005にて
http://www.ce-lab.net/ringo/archives/2005/08/31/index.html#a000084
「ワールド・シンセサイザー構想」のおまけ (PDF)
http://www.ce-lab.net/ringo/archives/cedec2005_wsynth.pdf
GAME Watch : コミュニティエンジン中嶋謙互氏が語る究極の環境シミュレータの展望
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20050830/cedec1.htm
Ringo's Weblog : ワールド・シンセサイザー
http://www.ce-lab.net/ja/ringo_2005.php#050107
<シンセサイズ(シンセシス)とは、何かすでにあるものを合成してあたらしいものを作りだすことだ。たとえば、楽器の「シンセサイザー」は、基本音波(サイン波など)をいろいろに合成して、面白い音を作りだす装置だ。ワールド・シンセサイザーは、物質保存則や拡散などの熱力学の法則、生物の遺伝のしくみ、時間の流れ、セルオートマトン空間、力学演算エンジン、スクリプトエンジン、3Dビジュアライザなどの基本要素をユーザーが自由に組みあわせて、新しい世界を作る装置のことだ。ワールド・シンセサイザーを使って、ユーザーは、音色を作ってもいいし、メロディを奏でてもいいし、複数人でアンサンブルしても面白いだろう>。
こんなぶっ飛んだ話をCEDEC2005でやったとは。
上記のGAME Watchのレポートはとても詳しく書かれていて、雰囲気が伝わってくる。
<中嶋氏は「シンセサイズ」という概念が、創作活動全般を包括できるものであることを示す>
<惑星サイズから微生物まで。氏の提示する「風景」は、環境シミュレータに求められる複雑度と情報量に果てしがないことを示す>
この「ワールド・シンセサイザー」構想は、
・デイヴィッド・ガランターの 「ミラーワールド」
・バックミンスター・フラーの 「ワールド・ゲーム」
・ルドルフ・カルナップ以降の(分析哲学の) 「可能世界意味論」
などに通じる話だと思う。これは私が大好きなテーマだ。
世界を自然言語ではなく物理シミュレーションで描写すれば、物理法則などの科学法則はパラメータに過ぎなくなる。そのパラメータをいじれば現実から遊離するが、その「世界」は現実世界とパラメータが違う以外、「現実世界と同じ要素でできている」。
これが分析哲学でいう「可能世界」であり、このときの「要素」が、広い意味での「言語」だ。現実世界を描写する物理法則も、数学という「言語」で記述されている。ここで数学という言語自体は、いかなる「現実」とも関係がない。
このときの「世界」と「言語」の関係において、「言語」をマルチメディア的に精緻化していくと、「ワールド・シンセサイザー」のようなものになる。
彼は先日、原爆を言葉ではなく、ゲームのように物理シミュレーションして残し、広めてはどうか、という趣旨のことを書いていた。
Ringo's Weblog : シミュレーターで戦争を記憶する
http://www.ce-lab.net/ringo/archives/2005/08/08/index.html#a000072
この話は、「ワールド・シンセサイザー」構想を具体的に理解する例になっていると思う。
けっきょく「言語」というものが、それによって現実を構成・描写できる「シンセサイザー」なのだ。言語という同じもので、ノンフィクションとフィクションを両方書けるのはそのためだ。
関連していそうなエントリ :
現実仮想空間
http://mojix.org/2004/02/20/073257
分類から検索へ - David Gelernterの「Lifestreams」
http://mojix.org/2004/07/04/224955
シリアス・ゲーム?
http://mojix.org/2003/12/10/192616
マシニマと「WAX」
http://mojix.org/2003/07/27/234231
gumonji (グモンジ) ベータ版
http://mojix.org/2004/03/09/211319
「ネット上に鉄道会社のビジネスモデルを構築する」--gumonji開発者に聞く
http://mojix.org/2004/09/04/001702