2008.11.17
科学は日本語を必要としないが、文化は日本語を必要とする
この10日ほどで、水村美苗の『日本語が亡びるとき』という本がネットで大きな話題になっている。

きっかけになった梅田さんのエントリをはじめ、私の目についたものを列挙してみる。

My Life Between Silicon Valley and Japan - 水村美苗「日本語が亡びるとき」は、すべての日本人がいま読むべき本だと思う。
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20081107/p1
404 Blog Not Found - 今世紀最重要の一冊 - 書評 - 日本語が亡びるとき
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51136258.html
Rails で行こう! - 水村美苗「日本語が亡びるとき」
http://d.hatena.ne.jp/elm200/20081109/1226233393
分裂勘違い君劇場 - 英語の圧倒的一人勝ちで、日本語圏には三流以下しか残らなくなるが、人々の生が輝ければそれでいい
http://d.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/20081110/p1
江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance - 英語の世紀に生きる苦悩
http://japan.cnet.com/blog/kenn/2008/11/10/entry_27017805/
海難記 - 水村美苗『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』を読む。
http://d.hatena.ne.jp/solar/20081111#p1
海難記 - 無知と傲慢とエリーティズムはいかにして生まれたか~続・水村美苗『日本語が亡びるとき』を読む。
http://d.hatena.ne.jp/solar/20081112#p1
ARTIFACT@ハテナ系 - 『日本語が亡びるとき』を読まずに騒動だけ見た感想
http://d.hatena.ne.jp/kanose/20081111/japaneseruined
小鳥ピヨピヨ - デジタルネイティブと英語
http://coolsummer.typepad.com/kotori/2008/11/nhk.html
狐の王国 - 空気読み国家の国民は「日本語が亡びるとき」をやっぱり読んでおけ
http://d.hatena.ne.jp/KoshianX/20081115/1226775142
Global Voices Online - Japanese Language in the Age of English
http://globalvoicesonline.org/2008/11/17/japan-japanese-language-in-the-age-of-english/

こんなふうに、ひとつのテーマがあちこちにひろがっていき、それをリアルタイムで読めるのがブログの面白さだ。

このテーマは私にとっても見逃せないもので、ぜひ何か書きたいと思っているのだが、『日本語が亡びるとき』もまだ入手していないし、もし読んだとしても、このテーマは私にとって大きすぎるので、書きたいことをまとめるのがむずかしそうな気がしている。

この調子では何も書かないで終わってしまいそうな気もするので、とりあえずこれに関連して浮かんだテーマ・論点のアイディアだけでも、箇条書きにしておきたい。

・こういう話題(日本語論)が一般人のあいだで熱く語られるようになった時代の到来に感動

・明治初期の国語論・国字論、言語政策論に注目しよう

・日本語はコミュニケーションのプロトコルであり、知識や文化の記述言語でもある

・科学は日本語を必要としないが、文化は日本語を必要とする

・日本語は、日本の「強み」と「弱み」、「ビジネスモデル」に直結している

・「日本語か英語か」ではなく、「日本語も英語も」

・「言語」と「通貨」の類似点、相違点

・自然言語は「誰かが決める」のではなく、誰でも作り出せるのがいい

・日本語の柔軟性はおそらく世界一

私のなかでは、これらの論点は全部つながってくる。「科学」の方向と「文化」の方向では、日本語に対する捉え方、日本語であることの強みと弱みがまったく異なるはずだ。そしてこれが、日本の「ビジネスモデル」は何なのか(何を「強み」にしていくのか)、ということにもつながってくる。

そのうちこれらのテーマで書きたいと思っているが、これらの論点が面白そうだと思う人がいたら、いろいろな立場・観点からどんどん書いてもらえるとうれしい。


関連エントリ:
「オーストリー」への表記変更は消滅?
http://mojix.org/2008/11/08/austria_jpname
和製漢語
http://mojix.org/2008/09/09/wasei-kango
ひらがな、カタカナ、漢字を使い分けられるのが日本語の強み
http://mojix.org/2008/07/05/hiragana_katakana_kanji
規格外の東大名誉教授、西村肇
http://mojix.org/2006/02/05/233240
「の」 世界進出計画
http://mojix.org/2005/09/22/115620
カナモジカイと山下芳太郎
http://mojix.org/2005/07/22/063749
漢字の可能性
http://mojix.org/2005/01/04/231854