2009.07.14
日本国民は「チェンジ」を支持している
報道されている通り、日曜の東京都議選では民主党が圧勝した。

asahi.com - 都議選 民主が圧勝第1党、自公は過半数割れ(2009年7月12日23時54分)
http://www.asahi.com/politics/update/0712/TKY200907120254.html

<東京都議会議員選挙(定数127)が12日投開票され、民主党が改選前の34議席から54議席に躍進し、自民党に代わって初の都議会第1党になった。議席を減らした自民は、公明党と合わせた勝敗ラインの過半数64議席を維持できなかった。自公敗北で、与党内では衆院解散の先送り論とともに「麻生降ろし」の動きが広がっている。民主党は13日にも内閣不信任決議案と首相問責決議案を提出する方針だ。問責決議が可決され、重要法案が成立しなくなった場合には、首相は解散に踏み切ることも検討している。石原慎太郎知事の都政運営にも大きく影響するのは必至だ>。



それにしても、この2枚の写真はいい。今回の結果をまさに「視覚化」したような、見事なコントラストだ。左の自民党が<当選の花がつかない自民党本部のボードの前で、うつむく石原伸晃・都連会長=12日午後9時34分、東京・永田町の同党本部、樫山晃生撮影>、右の民主党が<当選の速報が次々に流れ、ガッツポーズする民主党都連幹事長の鈴木寛参院議員(右)と蓮舫参院議員=12日午後8時59分、東京・永田町の同党本部、中田徹撮影>とある。

この結果に対して、石原都知事は「総選挙の前相撲にされ、大迷惑な結果になった」と語ったそうだ。

asahi.com - 石原都知事「大迷惑な結果」 麻生首相に重い責任と批判(2009年7月13日13時34分)
http://www.asahi.com/politics/update/0713/TKY200907130198.html

<「総選挙の前相撲にされ、大迷惑な結果になった」。自民党が大敗した東京都議選について、石原慎太郎都知事は13日、硬い表情で語った。「(告示)2週間前から始めた候補が自民党のエースを破る現象は異常。非常に浮薄な選挙になった」と恨み節も漏らした。
 支持率低迷が続く麻生首相については「自ら醸し出した人心の離反みたいなのを分からない、空気が読めない、KYか。重い責任がある」と批判。麻生首相で衆院選を戦えるかと問われると「だめだね」と突き放した。
 石原都政の不支持との見方については「ちょっと違うんじゃないか」と否定した。築地市場移転など石原都政に反対する姿勢を示した民主党については「責任政党になった。責任がある代案を出してもらわないと都民も納得しないのでは」と話した>。

いつもの強気な石原節で、石原都政の不支持という見方を否定するあたりも「いつも通り」という感じだが、基本的には石原都知事の言う通りだろう。国政での「自民vs民主」の図式がそのまま持ち込まれて、勢いに乗る民主が圧勝したという感じだ。

都議選は総選挙の「先行指標」と言われており、このままだと総選挙で自民党が大敗するのは目に見えている。自民党内では解散時期をめぐってスッタモンダあったようだが、麻生首相は21日の週の解散を決断した。

asahi.com - 麻生首相「選挙、やってみなきゃ分からない」(2009年7月13日21時18分)
http://www.asahi.com/politics/update/0713/TKY200907130303.html

<来週7月21日の週早々に衆議院を解散し、8月30日に総選挙を実施する。その旨をきょう与党幹部に伝えました。総理就任以来、約10カ月少々になりますが、いずれ争点を明らかにして国民に信を問う、そう申し上げ続けてきました>。

これ以上解散をズルズル引きのばしても、さらに自民党のイメージが悪くなるだけなので、解散を決めたのはいいと思う。

この情勢では、どう考えても民主圧勝だろう。いまから自民党がウルトラCのような政策を出せるとも思えず、仮に何か出したとしても、もう信用されないだろう。いまの自民党は、2005年に国民が選んだ小泉自民党と、あまりにも変わり果てている。

しかし、国民は民主党を積極的に支持しているというよりも、よく言われる「いちど民主にやらせてみるか」というのが平均的な心情だろう。民主党も頼りにならないが、自民党があまりにもひどいので、「いったん変えてみよう」というところだ。民主党を支持しているというよりも、「チェンジ」を支持しているのだ。民主党はあまりうぬぼれないほうがいい。

「チェンジ」の担い手が、2005年は小泉自民党だったのが、今回は鳩山民主党だということだろう。個人的にも、民主党には賛成できない政策も多々あるが、霞ヶ関の大改革をやってくれそうなところは期待している。

とはいえ、「何が起こるかわからない」のが選挙である。このまま何も起こらずに民主圧勝、というふうには行かないような気もする。

5号館のつぶやき - 都議選結果:なだれを打った自民党の崩壊
http://shinka3.exblog.jp/11932015/

<予想通り東京都議選では、地滑り的に民主党の勝利が伝えられています。自民党の諸氏がゲッソリとした顔でテレビに登場しているのを見るのはとても楽しいのですが、私としては一抹の不安感を感じていることも否めません>。

<おそらくこの勢いは、この先遠くない未来に行われる衆議院議員の総選挙にまで持ち越されることは間違いないと思いますので、「政権交代」も確実に起こるでしょう。その時に感じるであろう不安感を今から感じているということです>。

<前から申し上げているとおり、私としてはともかく日本が自民党の一党独裁ではない国であり、我々国民が自分の意志で政府を選択し、政治を国民の支配下に置くということを宣言するという意味で、総選挙で自民党が大敗北し、非自民勢力で総理大臣を初めとする内閣を作り上げるということが、現時点での政権交代のもっとも大きな意味だと思っています>。

この見方はとても共感できる。8月30日の総選挙は、「国民が政治を選ぶ」ということを強く意識する契機になるはずだし、そのことの意味は大きい。

<自民党にとってはお気の毒と言わざるをえませんが、民主党だって我々から見ればある意味、国政を任せるにあたってそれほど信頼のおける存在ではありません。つまり、彼らが政府を運営したとしても自民党と同じような様々な「醜聞」が次々と吹き出してくるだろうことは想像に難くありません。ということは、この先我々は政府が自民党を中心に作られようが、民主党を中心に作られようが、あくまでも主役は我々国民であり、我々の意志を反映しない政府はすぐに我々が取り替えるのだという意志を表明する重大なチャンスとして、この先の総選挙があるのだと思います>。

<我々が政党に付いて行くのではなく、政府が我々についてくる。そういう国にするためにこそ、選挙を有意義に使いたいと思います>。

まったくその通りだと思う。わたしたち1人1人が日本という国の「株主」であり、株主の期待に応えられない「経営者」は、わたしたちが「チェンジ」できるのだ。

2005年の総選挙では、日本のブログ界にちょっとした政治ブームが起きた。今回も総選挙に向けて、だんだん活発化していくだろう。国民という「株主」が、自分自身で政治について考え、自分の意見を発信することには大きな意義がある。そういうひとつひとつの小さな発言の積み重ねが、日本の政治を少しずつ良くしていくのだと思う。


関連エントリ:
日本をダメにしたのは誰か
http://mojix.org/2009/05/15/nihon_dame
国民が政治を育てる
http://mojix.org/2009/05/05/kokumin_seiji
政治家と官僚と国民はジャンケンの関係
http://mojix.org/2009/03/14/janken_kankei

関連エントリ(2005年の総選挙関係):
自民党大勝 単独で過半数突破(2005年9月)
http://mojix.org/2005/09/11/233848
日本のブログ界にも政治ブームか / ホリエモンと小泉純一郎 / 政治広報戦略も「マス」から「バズ」へ
http://mojix.org/2005/08/10/114907
衆院解散、政権交代はらむ総選挙へ(2005年8月)
http://mojix.org/2005/08/08/184354