2010.03.31
郵貯限度額を引き上げ、「大きな政府」を強める鳩山政権 逗子市議選では「小さな政府」のみんなの党が圧勝
郵貯限度額引き上げ、なんと亀井案で決定してしまった。

asahi.com - 郵貯限度額2千万円に引き上げ 首相、亀井氏らの案了承(2010年3月30日21時21分)
http://www.asahi.com/politics/update/0330/TKY201003300414.html


閣僚懇談会に臨む(右から)亀井静香郵政改革相、平野博文官房長官、鳩山首相、菅直人副総理=30日午後、首相官邸、飯塚悟撮影

<鳩山由紀夫首相は30日、郵政改革案についての閣僚懇談会で、ゆうちょ銀行の預け入れ限度額(1人あたり1千万円)を2千万円に、かんぽ生命の保障限度額(同1300万円)を2500万円に引き上げることを決めた。限度額引き上げには、仙谷由人国家戦略相ら閣内に異論があったが、首相は亀井静香郵政改革相と原口一博総務相がまとめた郵政改革案を了承した>。

<首相は閣僚懇談会の後、記者団に「意見交換の後、最終的に私に一任を受けた。これはやはり迅速に結論を出さなければならない。そのように判断し、いわゆる亀井・原口案を軸に、早く法案をつくるように指示した」と述べ、改革法案の早期の閣議決定をめざす考えを示した>。

毎日jp - 郵政改革:亀井担当相の案で決着 預け入れ限度額引き上げ(2010年3月30日 21時22分 更新:3月30日 22時31分)
http://mainichi.jp/select/today/news/20100331k0000m010083000c.html


郵政改革に関する閣僚懇談会に臨む鳩山由紀夫首相(左から2人目)と(右から)亀井静香金融・郵政担当相、平野博文官房長官、菅直人副総理兼財務相=首相官邸で2010年3月30日午後6時4分、藤井太郎撮影

<政府は30日、郵政改革を巡る閣僚懇談会を開き、ゆうちょ銀行の預け入れ限度額を現行の倍の2000万円に引き上げることなどを柱とした亀井静香金融・郵政担当相の改革案で決着した。亀井担当相と原口一博総務相が24日に改革案を発表した直後から、仙谷由人国家戦略担当相ら一部閣僚が見直しを求め、閣内が対立。閣僚懇で鳩山由紀夫首相が閣僚の一任を取り付けた。首相は閣僚懇後、記者団に「亀井担当相と原口総務相の案を軸に早く法案を作るように指示した」と語った>。

この亀井路線の郵政「改革」案については、昨日まで閣内不一致が報じられており、鳩山首相はこの亀井案に反対とばかり思っていた。それがなんと、判断を鳩山首相に一任した結果、亀井案で決定してしまった。

これでゆうちょにカネが移動して、民間銀行を圧迫することは明らかだが、それでもゆうちょのカネで国債を買い支えるという露骨な方針である。

この決定自体もひどいが、これは限度額だけの話にとどまらない。鳩山政権が郵政再国有化路線を強めることがあらためて確認され、また鳩山首相自身の考えが亀井路線に近い、というメッセージも発することになる。

鳩山首相は亀井氏を切るどころか、むしろ共感しているのかもしれない。亀井氏に「ノー」を言えないというより、内心は「イエス」だったのか(笑)。亀井路線は、菅副総理や仙石国家戦略担当相も明確に否定していたのだから、この決定は鳩山政権内部にも亀裂を残すだろう。

鳩山首相はあいかわらず、「国債の単なる引受機関になってはいけない。地域の活性化に資するような機関でなければならない」などと言っているが、こういう口先だけの「きれいごと」はもうたくさんだ。言っていることとやっていることが完全に反対である。

本当に「地域の活性化」をしたいなら、中央政府を小さくして、カネも権限も地方に渡すしかないのは明らかだ。郵政を再国有化したら、中央政府がますます大きくなるだけじゃないか。「国債の単なる引受機関になってはいけない」という言葉は、実際はそうだからこそ出てくる言い訳だ。いっそのこと、「国債の単なる引受機関にしたい」と言ってしまったほうがいさぎよい。「国債を、引き受けたい。国債を引き受けたいと、願うのです」と演説すればいい。

そもそも、「地域の活性化」という地方分権・地域主権の方向は、その先にある「個人の活性化」という方向に向かうものだ。これは地域や個人に「自由を与える」方向であって、「自由を奪う」方向ではない。つまり地方分権・地域主権というのは、基本的に「小さな政府」の方向なのだ。いまの鳩山政権は、口先ではきれいごとを言いながら、規制強化・増税によって「自由を奪う」方向、「大きな政府」路線をますます強めている。これでは経済がますます沈むのは当たり前だ。

その一方で、神奈川県逗子市の市議選では、「小さな政府」路線のみんなの党が、民主党を抑えて圧勝したとのニュース。

カナロコ - 得票1・2位「みんなの党」大健闘、逗子市議選の結果に民主・自民が警戒/神奈川(2010年3月30日)
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1003300016/


市議選の告示日に応援演説に駆け付けたみんなの党の渡辺喜美代表=21日、JR逗子駅前

<28日投開票された逗子市議選(定数20)の結果が県内の政党関係者に衝撃を与えている。みんなの党公認の現職2人がいずれも2千票を超える得票で、1、2位を独占。推薦を受けた新人も当選し、擁立したすべての候補者が議席を確保した。夏の参院選の前哨戦として各党派が競い合った中で、民主、自民両党への批判層の受け皿となった格好だ。予想を超える“第三極”の健闘に、参院選を前にした民主、自民両党関係者から警戒する声が上がっている>。

<同党が擁立した3人の総得票数は5478票で、トップ当選した高谷清彦さんは前回得票の2倍を超える2371票を獲得した。「(得票数は)個人だけの力ではない。自分自身は当落線上にいると思っていた」と本人もその結果に驚く>。

このところ報道されていた、みんなの党の支持率が伸びているというニュースが裏付けられた格好だ。それどころか民主党すら超えており、「第1党」なのだ。

<一方、党派別で最も多い5人の候補者を擁立した民主党は公認候補2人、推薦候補1人が現有の3議席を死守したものの、5人の総得票数は3828票と及ばず。昨秋の衆院選での県内での大勝も今は昔。国会で「政治とカネ」の問題が相次ぎ、内閣支持率の低迷による“逆風”を如実にうかがわせる結果となった>。

<それだけに、総選挙で神奈川4区(横浜市栄区、鎌倉市、逗子市、葉山町)で浅尾氏と接戦を繰り広げた民主党の長島一由衆院議員は「一市議選にとどまらない衝撃的な結果。党として教訓にしなければいけない」と危機感を募らせる。花上喜代志県連幹事長も「みんなの党が第三極として受け皿になったのは事実。参院選は相当な覚悟を持って挑まなければ」>。

去年の「民主党フィーバー」がウソのようだ。ちょうど、総選挙前におこなわれた都議選(2009年7月)がこんな感じで、「民主党であれば誰でも当選」みたいな、手のつけられない勢いがあった。それが今度は、その勢いを「みんなの党」に奪われ、民主党には逆風が吹いているわけだ。

都議選からまだ1年も経っておらず、歴史的な政権交代を成し遂げてから7か月しか経っていないのに、この「風向き」の変化はすごい。国民は、口先できれいごとばかりの鳩山政権に早くもウンザリしており、政権に「ノー」と言っているのだ。逗子市議選の結果は、鳩山政権に「チェンジ」を求める国民の声である。


関連エントリ:
「ノー」を言えない鳩山首相に、声の大きい亀井大臣が「つけ込む」
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http://mojix.org/2010/03/21/minna_shijiritsu
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http://mojix.org/2010/03/11/minna_momentum
日本国民は「チェンジ」を支持している
http://mojix.org/2009/07/14/japan_change