2011年をふりかえる
2011年の日本は、なんといっても3.11の東日本大震災、そして福島第一原発の事故、これに振り回された年だった。
「3.11」が起きた2011年は、一生忘れられない年になるだろう
執拗な反復CMで一世を風靡した「ポポポポ~ン」
地震や津波による直接被害ももちろん大きかったが、影響の大きさとしては、原発事故のほうが深刻だったと思う。放射性物質がどれくらいバラまかれたのか、それはどのくらい有害なのかもよくわからない上に、計画停電による混乱、風評被害の拡大など、さまざまな悪影響が出た。
東北に比べれば、首都圏の被害は少なかったが、それでも関西へ逃げ出す人が大量出現したようだ。母親と子供だけが逃げて、父親は残るというケースも少なくないと聞く。父親だけが残るのは、仕事をかんたんに変えられないからだろう。
私のように、東京に残っている人間ですら、関西や北海道への移住も考えた。直接の被害は受けていなくても、脱出したりしていなくても、それなりに振り回された1年だった。
移住の可能性をいくらかは念頭に置きながら、今年は何度か、短期の国内旅行に行った。その旅行を通じて、日本の良さをあらためて知った。結果的には東京にとどまることにしたが、発見がたくさんあった。
ともあれ、いまや大部分の人が、原発はもうたくさんだ、と感じていると思う。福島の事故以降、このブログでも原発についての考えを書いてきたが、この問題についての私の基本スタンスは、「原発問題とタバコ問題は似ている 原発にも「分煙」を採りいれて、日本を分割してはどうか」というエントリで書いた。原発が許容されるとすれば、原発のリスクやコストを、原発を選んだ人たちだけが負担する、という「分煙」が実現した場合だけだろう。
この「分煙」の話は、タバコや原発に限らない。日本が地方分権・地域主権を進めるべきなのは、中央政府による画一的な政策の押しつけをやめて、地方政府が政策を自由に選択できるようにするためだ。政策の選択が可能になれば、政策の競争が起きて、正しい政策は生き残り、誤った政策は滅びる。何が正しい政策なのかを中央政府でえんえん議論するより、実際に地方間で政策を競争させてみればいいのだ(関連:「まず、日本を分割せよ」)。
震災と原発に振り回された1年だったが、11月末に大阪府・大阪市のダブル選で橋下徹陣営が圧勝したのは、うれしいニュースだった。私はあらゆる点で橋下氏に賛同しているわけではないが、多くの点で賛同している。特に、中央集権体制を壊して、地方を独立させるべきという基本的な方向には完全に賛同だ。橋下氏はいずれ、総理大臣になる人だと思う。
昨年につづき、今年もはてなブックマークの人気エントリ機能を借りて、本ブログで今年2011年に人気を集めたエントリをふりかえってみたい。
1. もしも「カレー無料法」ができたら(2011.2.27)
http://mojix.org/2011/02/27/free-curry-law
2. MyNewsJapan編集長、渡邉正裕氏による「ソリティア社員が国を滅ぼす」 大企業にいる「働かない人々」の実態(2011.1.4)
http://mojix.org/2011/01/04/watanabe-solitaire
3. サーバの命名法(2011.1.24)
http://mojix.org/2011/01/24/server-naming
4. 社員の副業はどんどん認めたほうがいい(2011.3.7)
http://mojix.org/2011/03/07/shain-hukugyou
5. CouchDBとMongoDBの使い分け(2011.6.15)
http://mojix.org/2011/06/15/couchdb-mongodb
6. 週休3日制による内需拡大案 水曜が休みになったら何をする?(2011.2.13)
http://mojix.org/2011/02/13/shuukyuu-mikka-naiju
7. GitHubはオープンソースの世界をどう変えたか(2011.3.9)
http://mojix.org/2011/03/09/github-open-source
8. 公務員を週休3日制にして、給料を2割下げるのはどうか(2011.2.8)
http://mojix.org/2011/02/08/koumuin-shuukyuu-mikka
9. もし日銀がヘリコプターで1万円札をバラまきはじめたら、何が起きるだろうか?(2011.2.16)
http://mojix.org/2011/02/16/helicopter-money
10. 日本をダメにしたのは自民党である(2011.6.26)
http://mojix.org/2011/06/26/jimintou-dame
1.の「もしも「カレー無料法」ができたら」はかなりの反響があり、昨年の「世界を上下に分けて下に味方するのが左翼、世界をウチとソトに分けてウチに味方するのが右翼」と同様、1000以上ものブックマークを集めて、ツイッターでも多数紹介されたようだ。
昨年のまとめに書いた通り、2010年は私にとって「Zopeへのこだわり」から脱するリハビリの年だったが、今年もその延長上にあった。5.の「CouchDBとMongoDBの使い分け」は、昨年から今年にかけてよく使ったCouchDBとMongoDBについて、かんたんな印象を書いたもの。JSONをそのまま格納するドキュメントデータベースは、私にとって、どこかしらZopeのZODBに似たものであると同時に、RDBのように技術中立的なデータベースでもあって、私の好みにとてもフィットする。
このブログは2008年3月いらい、毎日更新を続けていたのだが、今年は残念ながら、それが止まってしまった。書く予定のネタはほぼ毎日メモしていて、それを仕上げるかたちで更新しているのだが、3月の震災以降、だんだん更新が遅れがちになり、現時点では数か月分も遅れてしまっている。事実上、毎日更新ではなくなっているので、毎日更新というポリシーはひとまずここまでにしたい。来年はもうすこしラクに構えて、不定期更新にするかわりに、そのぶんのエネルギーを、何かあたらしい試みに使えればと思う。
今年、仕事やプライベートでお世話になった方々、このブログを読んでくださった方々、ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
どうぞよいお年を。
関連エントリ:
2010年をふりかえる
http://mojix.org/2010/12/31/furikaeru-2010
「3.11」が起きた2011年は、一生忘れられない年になるだろう
執拗な反復CMで一世を風靡した「ポポポポ~ン」
地震や津波による直接被害ももちろん大きかったが、影響の大きさとしては、原発事故のほうが深刻だったと思う。放射性物質がどれくらいバラまかれたのか、それはどのくらい有害なのかもよくわからない上に、計画停電による混乱、風評被害の拡大など、さまざまな悪影響が出た。
東北に比べれば、首都圏の被害は少なかったが、それでも関西へ逃げ出す人が大量出現したようだ。母親と子供だけが逃げて、父親は残るというケースも少なくないと聞く。父親だけが残るのは、仕事をかんたんに変えられないからだろう。
私のように、東京に残っている人間ですら、関西や北海道への移住も考えた。直接の被害は受けていなくても、脱出したりしていなくても、それなりに振り回された1年だった。
移住の可能性をいくらかは念頭に置きながら、今年は何度か、短期の国内旅行に行った。その旅行を通じて、日本の良さをあらためて知った。結果的には東京にとどまることにしたが、発見がたくさんあった。
ともあれ、いまや大部分の人が、原発はもうたくさんだ、と感じていると思う。福島の事故以降、このブログでも原発についての考えを書いてきたが、この問題についての私の基本スタンスは、「原発問題とタバコ問題は似ている 原発にも「分煙」を採りいれて、日本を分割してはどうか」というエントリで書いた。原発が許容されるとすれば、原発のリスクやコストを、原発を選んだ人たちだけが負担する、という「分煙」が実現した場合だけだろう。
この「分煙」の話は、タバコや原発に限らない。日本が地方分権・地域主権を進めるべきなのは、中央政府による画一的な政策の押しつけをやめて、地方政府が政策を自由に選択できるようにするためだ。政策の選択が可能になれば、政策の競争が起きて、正しい政策は生き残り、誤った政策は滅びる。何が正しい政策なのかを中央政府でえんえん議論するより、実際に地方間で政策を競争させてみればいいのだ(関連:「まず、日本を分割せよ」)。
震災と原発に振り回された1年だったが、11月末に大阪府・大阪市のダブル選で橋下徹陣営が圧勝したのは、うれしいニュースだった。私はあらゆる点で橋下氏に賛同しているわけではないが、多くの点で賛同している。特に、中央集権体制を壊して、地方を独立させるべきという基本的な方向には完全に賛同だ。橋下氏はいずれ、総理大臣になる人だと思う。
昨年につづき、今年もはてなブックマークの人気エントリ機能を借りて、本ブログで今年2011年に人気を集めたエントリをふりかえってみたい。
1. もしも「カレー無料法」ができたら(2011.2.27)
http://mojix.org/2011/02/27/free-curry-law
2. MyNewsJapan編集長、渡邉正裕氏による「ソリティア社員が国を滅ぼす」 大企業にいる「働かない人々」の実態(2011.1.4)
http://mojix.org/2011/01/04/watanabe-solitaire
3. サーバの命名法(2011.1.24)
http://mojix.org/2011/01/24/server-naming
4. 社員の副業はどんどん認めたほうがいい(2011.3.7)
http://mojix.org/2011/03/07/shain-hukugyou
5. CouchDBとMongoDBの使い分け(2011.6.15)
http://mojix.org/2011/06/15/couchdb-mongodb
6. 週休3日制による内需拡大案 水曜が休みになったら何をする?(2011.2.13)
http://mojix.org/2011/02/13/shuukyuu-mikka-naiju
7. GitHubはオープンソースの世界をどう変えたか(2011.3.9)
http://mojix.org/2011/03/09/github-open-source
8. 公務員を週休3日制にして、給料を2割下げるのはどうか(2011.2.8)
http://mojix.org/2011/02/08/koumuin-shuukyuu-mikka
9. もし日銀がヘリコプターで1万円札をバラまきはじめたら、何が起きるだろうか?(2011.2.16)
http://mojix.org/2011/02/16/helicopter-money
10. 日本をダメにしたのは自民党である(2011.6.26)
http://mojix.org/2011/06/26/jimintou-dame
1.の「もしも「カレー無料法」ができたら」はかなりの反響があり、昨年の「世界を上下に分けて下に味方するのが左翼、世界をウチとソトに分けてウチに味方するのが右翼」と同様、1000以上ものブックマークを集めて、ツイッターでも多数紹介されたようだ。
昨年のまとめに書いた通り、2010年は私にとって「Zopeへのこだわり」から脱するリハビリの年だったが、今年もその延長上にあった。5.の「CouchDBとMongoDBの使い分け」は、昨年から今年にかけてよく使ったCouchDBとMongoDBについて、かんたんな印象を書いたもの。JSONをそのまま格納するドキュメントデータベースは、私にとって、どこかしらZopeのZODBに似たものであると同時に、RDBのように技術中立的なデータベースでもあって、私の好みにとてもフィットする。
このブログは2008年3月いらい、毎日更新を続けていたのだが、今年は残念ながら、それが止まってしまった。書く予定のネタはほぼ毎日メモしていて、それを仕上げるかたちで更新しているのだが、3月の震災以降、だんだん更新が遅れがちになり、現時点では数か月分も遅れてしまっている。事実上、毎日更新ではなくなっているので、毎日更新というポリシーはひとまずここまでにしたい。来年はもうすこしラクに構えて、不定期更新にするかわりに、そのぶんのエネルギーを、何かあたらしい試みに使えればと思う。
今年、仕事やプライベートでお世話になった方々、このブログを読んでくださった方々、ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。
どうぞよいお年を。
関連エントリ:
2010年をふりかえる
http://mojix.org/2010/12/31/furikaeru-2010