2010.12.31
2010年をふりかえる
今年の日本は、民主党政権への国民的失望が深まった年だったと言えると思う。

昨年は歴史的な政権交代を成し遂げた民主党だったが、いまやその支持率も地に堕ちて、地方選挙では「民主党」の看板を隠さねばならないほどだという。

昨日も、マニフェストを全面見直しするというニュースが出ていた。バラマキ路線は維持不可能であることを認めたかたちだ。いまの民主党政権は、もはや政権を維持すること自体が目的化しており、たちあがれ日本へ声をかけてみたり、小沢氏との政局的かけひきなど、数合わせだけの末期的な状態だと思える。

民主党政権は、「政権交代を成し遂げた」ことだけでも、じゅうぶん意味があった。ぜひスッキリ解散・総選挙して、あらためて民意を問うてほしい。

昨年につづき、今年もはてなブックマークの人気エントリ機能を借りて、本ブログで今年2010年に人気を集めたエントリをふりかえってみたい。

1. 世界を上下に分けて下に味方するのが左翼、世界をウチとソトに分けてウチに味方するのが右翼(2010.10.15)
http://mojix.org/2010/10/15/matsuo-uyosayo
2. クラシックのMP3音源が約4200曲 パブリックドメイン・クラシック(2010.01.05)
http://mojix.org/2010/01/05/public_domain_classic
3. 日本で7年間働いた中国人が日本で学んだこと(2010.03.13)
http://mojix.org/2010/03/13/nihon_de_mananda
4. ナチスの「25カ条綱領」は日本人必読では(2010.10.11)
http://mojix.org/2010/10/11/national-socialist-program
5. 田原総一朗、小泉・竹中路線を3ツイートで簡潔に要約(2010.04.05)
http://mojix.org/2010/04/05/tahara_koizumi_takenaka
6. 日本では会社と社員が「密結合」であり、人材が「入れ替え可能」な「モジュール」になっていない(2010.04.21)
http://mojix.org/2010/04/21/nihon_mitsuketsugou
7. 日本の問題は、「人の流動性」が低すぎてノウハウが循環しないことにある(2010.03.08)
http://mojix.org/2010/03/08/knowhow_junkan
8. 大学生が不祥事を起こしたら、その大学に責任があるのか?謝罪の「安売り」は謝罪の「インフレ」をひき起こす(2010.06.20)
http://mojix.org/2010/06/20/shazai-yasuuri
9. いよいよ「派遣禁止」か 雇用規制をさらに強化して、日銀には「雇用の最大化」まで求める民主党政権は、やってることが全部アベコベだ(2010.10.23)
http://mojix.org/2010/10/23/dpj-abekobe
10. プログラマに正社員的な「勤務」はフィットしない(2010.02.02)
http://mojix.org/2010/02/02/programmer_kinmu

1.と4.は右翼・左翼ネタに、リバタリアニズムをからめて書いたもの。リバタリアニズムは「ウヨクでもサヨクでもない」政治的立場なので、「右翼と左翼は1次元的な対立関係にはない」という理解が前提になる。むしろ2次元的に直交しているわけだ。これを書いた1.は、このブログ史上で最大のブックマークを集めた。サンデルの「正義」本などが人気なのを見ても、こういう「思想」への関心が高まっているように感じる。

2.はクラシックネタ。フリー音源ということで人気を集めたようだが、クラシックという音楽ジャンルは、他のどのジャンルよりも古いので、「フリー」と相性がいい。「古典」とはそういうもので、人類の共通財産である。

他のものは、日本や雇用などについて書いたものが多い。解雇規制をはじめとする日本の雇用構造こそ、日本の最大のボトルネックだという私の認識は今年も変わらず、このテーマについてしばしば書いた(タグ「雇用」「日本」など)。いまや民主党政権への幻想も崩壊したので、ずっとワルモノ扱いされてきた小泉・竹中路線も、そろそろ再評価の機運が出てくるだろう。

私自身の個人的な側面では、2010年はちょっとした「転機」の年だった。12月に、このサイトの名前を「Zopeジャンキー日記」から「モジログ」に変えたが、これは私にとって小さくない決断だった。

内容からいって、「Zopeジャンキー日記」ではフィットしない、というのは何年も前から思っていた。しかし、ずっとやってきたサイトの「名前」を変えたくはない、という気持ちもあった。もし変えるのであれば、名前だけでなく、デザインやシステムも変えようと思っていた。

このブログではITネタをそれほど書いていないが、最近の私は、長年にわたる「Zopeへのこだわり」から脱して、より広い技術に目を向けるという方針に変えた。このブログの自作システムも、Zope/Ploneベースだったものを、Flask(Pythonの軽量なWebフレームワーク)ベースに作り直した。

私はただでさえ、30歳くらいでIT業界に入った「遅れてきた人間」で、そのうえ長いあいだZopeにこだわりすぎて、視野が狭くなっていた。今年は私にとって、「Zopeへのこだわり」から脱するリハビリの年でもあった。

12月にサイト名を変更したのは、タイミングとしてはシステムの変更が背景にあったのだが、そのベースになっていたのは、いわば私自身の「マインドの変更」だった。

そんなわけで、今年は初心に帰り、あらためてJavaScriptの入門書を読んだりした1年だった。いい歳をして大学に入りなおすような気恥ずかしさもあるが、昔よりも若さを失った分、「学ぶ」ということの楽しさや偉大さを、より深く感じられるようになった気がする。

昨年につづいて、今年もこのブログの毎日更新を続けることができた。これについて、昨年最後のエントリで、私はこう書いている。

<毎日何か書くという「セルフ・トレーニング」は、たしかにシンドイ面もあるのだが、あとから振り返れば「自分観察日記」が残ることになるので、積み立て貯金みたいなものかもしれない>。

毎日書くのは、正直なところ面倒だ(笑)。「時間のローン」を毎日払っているようなもので、いわば「負債」である。しかし、これは単なる「負債」ではなく、それが「積み立て貯金」あるいは「投資」になっていると信じて、書きつづけている。

このブログは、読んでくれている人に向けて書いてはいるが、基本的には「セルフ・トレーニング」として、私自身のために書いている。他人のためでなく、自分のために書いているからこそ、継続できているのだと思う。

今年、仕事やプライベートでお世話になった方々、このブログを読んでくださった方々、ありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

どうぞよいお年を。


関連エントリ:
2009年をふりかえる
http://mojix.org/2009/12/31/2009_review
サーバの思い出、Zopeの思い出
http://mojix.org/2008/09/22/server_zope
IT業界がいいのは、つねに勉強せざるをえないこと
http://mojix.org/2008/07/27/it_gyokai_advantage